Oracle ACEってどんな人?世界基準のトップエンジニアにインタビュー
《第12回:北條 将也氏》 エンジニアとしてのレベルアップに向け
Oracle ACEプログラムの認定がモチベーションを喚起

Oracle ACE Associate
北條 将也氏

2003年、伊藤忠テクノソリューションズ入社。入社後、社内横断組織にてオラクル製品のエンジニアとして13年プリセールス活動(技術支援や社内外啓蒙活動)に従事。「Platinum of the Year」2012, 2014、および第1回POCOコンテスト受賞。Database Security Consortium(DBSC)DB内部不正対策WGメンバー。2016年から現職。
ブログ:Private Oracle BLOG(http://oracleblog.jugem.jp)


オラクルは、Oracleデータベースをはじめとする製品やテクノロジーの普及に貢献する活動を展開し、同社のビジネスへの貢献を果たしているエンジニアを認定する「Oracle ACE」と呼ばれるプログラムを展開している。エンジニアのスキルを認定する制度としては「ORACLE MASTER」が広く知られているが、Oracle ACEは業務での実践を通したプロのエンジニアとしての高度に熟練した技術力が問われ、しかも自らの知識や経験についての積極的な共有に努めていることが重要な要件となる。ORACLE MASTERが“資格”であるのに対し、Oracle ACEはいわばオラクルの製品とテクノロジーの“エキスパート”であることを証明する“称号”である。

Oracle ACEの認定は、プログラムを運営する米国本社のオラクル・コーポレーションが当たる。そういう意味では、認定基準はグローバルで共通であり、試験や面接のようなものはなく、自薦や他薦による推薦状に記載された応募者の実績に関する厳格な審査が実施される。具体的には、その有するスキルの熟練度はもちろん、オラクル関連のブログや技術論文、記事や書籍などの執筆、Oracle Technology Networkの掲示板やオラクル・ディスカッション・フォーラムでの活動、関連セミナーやイベントでのプレゼンテーションの経験などが問われることになる。

認定のレベルとして、「Oracle ACE Associate」から「Oracle ACE」、そして最上位の「Oracle ACE Director」に至る3つの段階が設けられている。これらOracle ACEの称号を得ているエンジニアの総数はおよそ500名ときわめて少数。日本国内について言えば15名程度に過ぎない。こうした数字からも、その認定を受けることがいかに“狭き門”であるかがうかがえるはずだ。

その審査の厳しい関門を突破し、2015年12月、晴れてOracle ACE Associateの認定を受けたのが伊藤忠テクノソリューションズ株式会社の北條将也氏だ。

オラクルの製品とテクノロジーのエキスパートの認定を目的に、米国オラクル・コーポレーションが展開するOracle ACEプログラム。“Oracle ACE”を冠することのできる認定者は、技術者コミュニティのリスペクトを一身に集める、まさにグローバルレベルのトップのエンジニアだ。その審査の厳しい関門を突破し、2015年12月、Oracle ACE Associateの認定を受けた伊藤忠テクノソリューションズ株式会社(以下、CTC)の北條将也氏にお話を聞いた。

■13年間のプリセールスエンジニア生活でOracleデータベースにかかわるスキルを研鑽

Q. まずは、これまでの職歴についてお聞かせください。

北條将也氏(以下、北條):2003年に新卒で入社して以来、CTCがお客様に提供するOracleデータベースのプリセールスのエンジニアとして、製品の検証をはじめ、ソリューションのご紹介、導入支援などを担当してきました。

オラクルからは年々、新たなテクノロジーが登場してくるので、そうした最新動向をいち早くキャッチアップし、また社内で動いているさまざまなお客様のシステム構築案件を横断的に見ることを通して、Oracleデータベースやその周辺のテクノロジーにかかわるスキルを日々研鑽できるという観点で、エンジニアとしては恵まれた環境でした。

2016年4月には、ビジネス・イノベーション部に転属。IoTやAIなどの先端テクノロジーを軸に、CTCが今後推進していく新規事業の企画に携わっています。ここでも、これまで13年間にわたって蓄積してきた自身のOracleデータベースにかかわる知見やノウハウを活かして貢献を果たしていきたいですね。

■会社のプレゼンス向上が認定を目指す決定的な動機となった

Q. Oracle ACE Associateの認定を受けるに至った経緯をお聞かせください。

北條:私自身、ORACLE MASTERについては「Platinum Oracle Database 10g」の第1号合格者になるなど、かなり精力的に取り組んできました。また、それに関連して、オラクルのビジネスに貢献したORACLE MASTER Platinum取得者に授与される「Platinum of the Year」も2度頂戴しています。

約4年前に当時、おつきあいのあった日本オラクルの方からOracle ACEのプログラムに申し込んでみてはどうかというお話をいただいたのですが、実のところ当時はあまり興味がなかったというのが実情です。ところが、その後、CTCのオラクル製品にかかわる技術力を市場にアピールし、関連ビジネスのプレゼンスを高めるうえでの一助になるのではないかという考えに至り、ぜひトライしてみようということになりました。

それからは、Oracle ACEにおいて重視される、「業務としてではなく個人として、情報発信を積極的に行っていること」という要件を満たすために、以前から続けていたブログの更新頻度も多くし、Oracleデータベースの最新のアップデートやパッチについての内容紹介、それらの適用に伴って必要となるテストに関する解説を精力的に紹介しました。あわせて、関連セミナーなどでも可能な限りセッションを担当させていただくようにしました。

その後、2015年11月半ばくらいに自己推薦というかたちで日本オラクルを通じて応募。かなり積極的に情報発信をしていらっしゃる国内の方々が、何度応募してもなかなか認定されるに至らないなど、審査が従来にも増して厳しくなっているということも耳にしていましたので、難しいかなとは思っていました。1カ月ほどして、Oracle ACE Associateに認定されたという通知をいただいた次第です。

■認定者に提供されるチャンスを活かしエンジニアとしてのレベルアップを図る

Q. 認定後、何か身の回りに変化はありましたか。

北條:環境に大きな変化があったということはないのですが、Oracle ACEに認定されると認定メンバー限定のメールマガジンが届くようになります。そうしたものを受け取ると、自分もACEコミュニティの仲間入りを果たし、世界中のトップエンジニアと呼ばれる方々と気軽にコミュニケーションできる立場になれたことを実感できます。もちろんそのことが、今後、Oracleデータベースにかかわる自らのスキルをなお一層ブラッシュアップし、これまで以上に情報発信を活発に行っていこうというモチベーションを高めることにつながっています。

また、認定者にはOracle Technology Network(OTN)上での記事や論文の執筆、あるいはオラクルやそのほかの団体が主催するイベントで講演するなど、さまざまな機会をいただけるらしく、そうしたものにチャレンジすることで、エンジニアとしてのさらなるレベルアップが図れるのではないかと期待しています。

一方で、Oracle ACEについては、一度、認定を受けたとしても、毎年定期的に活動状況の審査が行われ、思わしくない場合には、“Alumni(アラムナイ)”、すなわち“卒業生”という扱いになってしまいます。そうなってしまうことのないよう、気を引き締めて、さらなる活動に勤しんでいかなければならないと思っています。

■特定のテクノロジー領域において“トンがる”ことも有効なアプローチ

Q. 今後、エンジニアとしてどのような活動を展開していきたいですか。

北條:冒頭でもお話ししたとおり、現在、私は業務でCTCの最新テクノロジーを駆使した新規事業を企画していく業務に携わっています。そうしたなかで、とりわけ注目しているのがIoT。IoTならこんなことができるのではないか、あんなことも実現できるのではないかと、あれこれ模索している状況です。この領域に関していえば、たとえばオラクルでも、IoTを支えるシステムの構築を支援する「Oracle Internet of Things Cloud Service」などを提供しています。そうしたものを、今後の企業のお客様のビジネスにいかに役立てていけるか、まだまだ未知な領域ではありますが、その可能性を探っていきたいと考えているところです。

Q. それでは、最後にOracle ACEの認定を目指す方々にメッセージをいただけますか。

北條:やはり最も重視されるのが個人としての情報発信活動。ブログはもちろん、FacebookなどのSNS上でもよいので、オラクルの製品やテクノロジーに関する価値ある情報を発信していくことだと思います。もちろん、JPOUG(Japan Oracle Users Group)などにも積極的に参加して、多くの方々とのコミュニケーションの輪を広げていくことも重要でしょう。また、技術力を証明するという意味では、ORACLE MASTERの取得が有効なアドバンテージになるものと考えます。特に個人的には、多岐にわたるオラクルの製品やテクノロジーの、ある特定の領域で突出したスキルや知見の獲得を目指すというアプローチもありかなと思っています。

いずれにせよ、現在、オラクルのテクノロジーに携わる広範なエンジニアの方々がOracle ACEにチャレンジし、そうしたなかでより多くの認定者が生まれれば、それらの人たちが牽引するかたちで国内のオラクルテクノロジーにかかわるエンジニアコミュニティもさらに活性化するはずです。そうした意味でオラクルには、国内でのOracle ACEに関する認知度向上に努めていってくれることを期待しています。