営業実績管理とはその利点とハウツー、およびヒント

平凡な営業担当者とスーパースターを区別するものとは何でしょうか。実のところ、優秀な営業担当者を生み出す魔法の数式などというものは存在しません。しかし、テクノロジーの進化とよりスマートなデータ活用により、営業組織はパフォーマンスへのアプローチにおいてより戦略的になり、セールス・プロセス、および成功の推進方法、テリトリーのバランスをとる方法、運用効率の向上方法について、より多くのインサイトを得るようになっています。この記事では、営業実績管理についてセールス・マネージャーが抱く主な疑問の一部を詳細に説明します。

営業実績とは

営業実績とは、セールス・チームが割り当てられた収益目標に対してどれだけ効果的に成果を上げたかを示す指標です。これには、営業担当者個人の成績だけでなく、営業のリーダーシップがテリトリー全域にわたり、営業組織全体の計画、予測、目標設定、成果の追跡をどの程度適切に実行しているかにも関係します。営業実績は、セール・チームがリーダーシップによって設定された目標（見積もり対成約率、平均販売サイクル期間、顧客維持率、解約率、顧客生涯価値など）をどの程度達成しているかも測定します。

営業実績管理（SPM）とは

営業実績管理（SPM）とは、営業組織が実行する主要なアクションを可視化および管理するプロセスです。これには、営業実績の予測、計画、実施、モニタリング、リワードが含まれます。従来、これらのプロセスの多くは手動で行われてきました。現在、成功している営業組織は高度なデジタル・ツールを導入し、ノルマ管理、テリトリー管理、インセンティブ報酬計画などの中核機能をより効果的に管理しています。これらのデジタル・ツールは、営業実績管理（SPM）ソフトウェアとして知られるようになりました。これらのシステムは、ビジネス・データと機械学習をますます高度な方法で利用できるようになり、セールスリーダーは、より広範な営業およびビジネス戦略と個々の営業目標および活動をより適切に連携させることができるようになりました。

主なポイント

• 組織は、営業実績管理戦略を利用して、収益増加を支援するとともに、営業組織による計画、管理、リワード、分析、予測の改善を支援します。
• SPMは、企業が営業目標やインセンティブを、顧客満足度および顧客維持、生涯顧客価値、営業担当者の離職率など、単に取引の成約にとどまらないより広範な企業目標と連携させることができるよう支援します。
• SPMテクノロジーは、より広範な運用とあまりに連携されておらず、また主に販売管理用に設計されていないスプレッドシートまたはレガシー技術で管理されていた営業サポート・プロセスに対する企業の処理を支援するために進化しました。
• 最適なSPMアプリケーションは、コア・ビジネス・システムに統合でき、AIと機械学習を活用できます。

営業実績管理の説明

営業テリトリーの分割はどのような方法で行うのでしょうか。営業担当者の配置は地域別に行いますか。製品別ですか。それとも業界別でしょうか。営業担当者に必要とされる販売額はいくらで、どのようなリワードが与えられるべきでしょうか。ビジネス環境の急激な変化にはどのように対応すべきでしょうか。営業実績管理は、このような質問に回答するために設計されています。SPMには、企業の営業活動を推進するすべての要素をモニターおよび改善するために必要な戦略、戦術、分析が含まれます。最も高いレベルでは、SPM戦略は成長、顧客満足などの要因に関する全社的な目標から始まります。SPM戦術は、報酬、ノルマ設定、トレーニング、パイプラインの最適化などの機能を通じて、各営業担当者が目標成績を達成し、潜在的な営業能力を十分に発揮できるようにする方法について検討します。SPMソフトウェアは、これらの指標を追跡および適用するための分析を提供します。

営業実績管理ソリューションは、作業成果を最適化するための長い試みの歴史から発展しました。パフォーマンス管理の概念は、Frederick Winslow Taylorの科学的管理の原則にまでさかのぼり、100年以上の歴史があります。たとえば、「経験則」による判断よりもワークフローに科学的な分析を適用したり、従業員とマネージャーに共通の目標を設定することで不和を減らしたりすることは、最新のパフォーマンス管理システムにも見られる原則です。

組織の目標を達成するために最も重要な推進要因を特定し、それを測定する必要性は、パフォーマンス管理において不変です。しかし、そのためのテクノロジーは、時代とともに大きく変化してきました。1990年代の企業アプリケーションの台頭により、この機能はERPシステム内のインセンティブ報酬管理モジュールを通して自動化されるようになりました。このベースライン・テクノロジーは、営業組織が利用可能なデータが増えるにつれて、またセールスリーダーがより高い運用効率を追求するにつれて、より高度なシステムへと進化していきました。

営業実績管理が重要な理由

企業は、しばらくの間であれば、シンプルなテリトリー・マップとスプレッドシートを使ったインセンティブ計画で営業組織を運営できる可能性がありますが、このアプローチでは長期的にはうまくスケールしません。セールス・インサイト・ラボの最新データによると、営業担当者の61%が、わずか5年以前と比較して販売が難しくなった、または非常に難しくなったと認識しています。営業業務が高度化し、顧客の期待が複雑化する中、強固な営業実績管理の実践が必須となっています。

SPMから得られる最も有益な成果の一部は次のとおりです。

• 営業戦略と営業活動の連携: 長年にわたり、営業担当者はコミッションやボーナスを追い求めることしか考えていないという悪評を受けてきました。営業担当者にとって報酬は重要ですが、「取引を成立させれば儲かる」という単純な計算は、最新の営業組織にはあまり適合しません。営業戦略では、顧客満足度、契約更新率、営業担当者の離職率、セールス・イネーブルメント・プランなどの要因がますます重視されるようになっています。営業実績管理プロセスを効果的に導入することで、このようなより微妙で詳細な状況を把握します。これにより、ノルマと報酬の透明性が向上し、営業組織は営業担当者の行動と組織全体の戦略との連携（およびリワード）を強化することができます。
• 主要業績評価指標（KPI）の可視化:効果的に営業実績管理を行うには、営業戦略と営業活動を連携させるだけでなく、営業組織のKPIを追跡することも必要です。これらのKPIは、営業担当者のパフォーマンス、テリトリー管理、顧客満足度、販売コストなどの要因間の複雑な関係をカバーしていることがよくあります。これらのKPIをモニタリングすることで、セールスリーダーはチームのパフォーマンスをより包括的に可視化し、月次売上成長率、平均購買価値、パイプライン速度、売上につながるリードの割合などに関する重要なインサイトを提供することができます。
• ビジネスのより優れた予測の提供: 営業実績に関するより深いインサイトを得ることは、営業組織だけに利益をもたらすわけではありません。営業はあらゆる企業の生命線であることから、営業実績をより詳細に把握することで、他のビジネス部門も予測と予算編成が容易になります。

営業実績管理の構成要素

営業実績管理の構成要素には、パーツとプロセスという個別の要素があります。その両方を見てみましょう。

営業実績管理システムの中核は、次の3つの部分で構成されています。

1. テリトリー管理は、営業組織が地域、事業部門、製品ライン、業界、指定アカウント、その他の要因に基づいて、バランスのとれた最適なテリトリーを作成することを可能にします。
2. ノルマ管理により、組織は営業ノルマを企業目標、個々の営業担当者の目標、パフォーマンス基準と連携させることができます。また、テリトリーの収益の可能性に基づき、公平で達成可能な目標を設定することができます。
3. インセンティブ報酬は、統合された顧客データとバックオフィスのコア・システムを活用することで、金銭的・非金銭的インセンティブを含む、正確で高度な営業報酬プロセスの構築を支援します。

営業実績管理プロセスは、5つのサイクル・ステージで構成されています。

1. 営業および企業の目標に沿った責任、期待、目標の計画
2. 設定された基準と期待に対する営業組織のパフォーマンスの継続的な管理およびモニタリング
3. パフォーマンスに基づいた、個人またはグループとしてのチーム・メンバーへのリワード
4. 顧客、コア・ビジネス・システム、業界／競合のベンチマーキングからのデータを使用した、ゴールと目標に対するパフォーマンスの分析
5. 結果とパフォーマンスの予測による、次の営業実績サイクルに対する期待値設定の支援

完全なSPM戦略とシステムは、営業実績管理のパーツとプロセスの両方を考慮に入れ、高度な分析と機械学習によってデータを活用し、各要素を管理します。

営業実績管理のメリット

営業実績管理には、組織のあらゆるレベルで数多くのメリットがあります。それらには以下のようなもの含まれます。

• 企業にとってのメリット: 企業レベルでは、SPMは収益予測に対する可視性を大幅に高め、計画と予算編成をより簡単かつ正確にします。
• 営業組織にとってのメリット: SPMは、テリトリー、ノルマ、インセンティブをより包括的かつ詳細に可視化します。企業がテリトリーやノルマをより綿密に計画すれば、営業担当者が数字を上げ、モチベーションを維持し、収益目標を達成できる確率が高まります。SPMはまた、営業組織が高度な営業戦略を策定することを支援できるので、利用可能なリソースをより効率的に運用することができます。
• セールスリーダーにとってのメリット:SPMにより、セールスリーダーは営業担当者の実績をリアルタイムで可視化できるため、チームを成功に導くためのコーチングやサポートが可能になります。また、リーダーがチームに現実的で測定可能な目標を設定することも支援します。
• 営業担当者のメリット: SPMにより、営業担当者はそれぞれの強みを発揮することができるようになるため、スキル・レベルと担当アカウントに見合う現実的な営業テリトリーやノルマを割り当てることができます。また、営業担当者は、リワードがどのように支払われるのか、そして最も効果的に時間を使う方法をより明確に理解することができます。

営業実績管理の課題

SPMがもたらす潜在的なメリットは明らかですが、営業実績管理戦略の効果を妨げる可能性のある課題がいくつかあります。それらには以下のようなもの含まれます。

• 明確なビジョンの欠如: いかなる優れたシステムでも、何を測定するかが重要です。効果的にSPMを行うためには、営業組織が達成をめざしている内容を明確に理解する必要があります。明確なビジョンや戦略がなければ、セールスリーダーは何を測定し、何にリワードを与えるべきかがわかりません。
• 適切なデータの不足: 常に言えることですが、ゴミが入ればゴミが出てきます。組織がコア・ビジネス・システムから正確で包括的なデータを共有できなかったり、そのデータへのアクセスがあまりに多くの手動による介入を必要とする場合、営業実績管理システムは十分に活用されず、時代遅れになることがよくあります。その結果、SPM戦略に支障をきたすことになります。
• モチベーションにつながる要素の欠如: SPM戦略がセールス・チームのモチベーションを高めなければ、それは失敗です。営業実績管理計画は、ノルマ、テリトリー、目標を、営業担当者が高いパフォーマンスと意欲を維持できるように連携させる必要があります。.
• セールス・イネーブルメントの欠如: 営業実績管理システムは直感的で使いやすいものになりましたが、セールスリーダーと営業担当者が最高の効果を得るためには、まだある程度のトレーニングが必要です。SPMイニシアティブに関するターゲットを絞ったトレーニングにより、セールスリーダーは効果的な測定、コーチング、リワードに必要なナレッジとツールを得ることができます。また、営業担当者がシステムの仕組みをよりよく理解することで、ナビゲーションに費やす時間を減らし、より長い期間システムから価値を得ることができます。

営業実績管理プロセスの導入方法

ここまでで、営業実績管理とは何か、それが重要である理由、そのメリットと課題について、ご理解いただけたと思います。それでは、このプロセスを実施するためのステップを見ていきましょう。

営業実績の測定方法

上記のとおり、営業実績管理は営業組織のすべてのレベルにメリットをもたらします。そのため、すべてのレベルで営業実績を測定することが重要です。個々の営業担当者の実績はいかがでしょうか。セールスリーダーはどの程度適切にチームをモニター、管理、コーチングできていますか。営業戦略はいかに実行され、その戦略はより広範な企業目標とどう連携していたのでしょうか。これらの質問に正確に答えるには、適切なKPIを作成し、適切なシステムとデータを使用して測定する必要があります。

営業実績管理ソフトウェアの選択

営業実績管理ソフトウェアは、個々の営業担当者とチームの営業実績を追跡およびモニターできるものである必要があります。また、テリトリー管理、ノルマ管理、インセンティブ報酬の要素も備えている必要があります。より堅牢なシステムであれば、これらの基本的な要素にとどまらず、コア・ビジネス・システムとシームレスに統合し、AIと機械学習を活用してより深いインサイトを得ることができます。メリットを最大限に引き出すには、包括的で直感的、かつ明らかにエンド・ユーザーを考慮して構築されたソフトウェアを探す必要があります。結局のところ、SPMシステムが使いやすくなければ、営業担当者は取引を成約させて顧客にサービスを提供するのではなく、SPMシステムのトレーニングとナビゲーションに貴重なサイクルを費やすことになる可能性があります。

オラクルの営業実績管理による収益の増加

収益の増加と企業の幅広い顧客目標の達成を支援するSPMソリューションをお探しの場合、Oracle Sales Performance Managementには、インセンティブ報酬、ノルマ管理、テリトリー管理、その他の主要機能のための高度なツールが用意されています。強力なデータ基盤と機械学習機能に基づくこのソリューションは、個々の営業目標を企業の営業戦略に連携させることで、収益の増加を支援します。

営業実績管理に関するFAQ

パフォーマンス管理の5つのステージを教えてください。
パフォーマンス管理の5つのステージとは、計画、管理、リワード、分析、予測です。

パフォーマンス管理の3つの種類を教えてください。
パフォーマンス管理の最も一般的な3つの種類は、バランス・スコアカード、目的別管理、予算ドリブンのビジネス計画です。営業実績管理ソフトウェアの最も一般的な3つの構成要素は、テリトリー管理、ノルマ管理、インセンティブ報酬です。

営業実績の測定方法を教えてください。
パフォーマンスを測定するには、企業の営業およびビジネス戦略に連携した主要業績評価指標（KPI）を作成し、モニターする必要があります。これらのKPIは、営業担当者のパフォーマンス、テリトリー管理、顧客満足度、販売コスト、その他の変数間の複雑な関係をカバーしていることがよくあります。営業実績管理は、こうしたさまざまな要因のバランスを支援します。