2012年、新たなOracle ACE が久々に誕生しました。それまでの15人(日本国内)に加えて、今回新たに3名の方がOracle ACE として認定されました。今回、株式会社コーソルの渡部 亮太氏にOracle ACE 認定の感想を伺いました。渡部氏はJPOUGのボードメンバーとしても活動されています。(編集部)
Oracle ACE
渡部亮太氏
株式会社コーソルにて、オラクル製品の技術サポートを行っている。
JPOUG ボードメンバー
著書:「プロとしてのOracle運用管理入門」(ソフトバンククリエイティブ)、
「プロとしてのOracleアーキテクチャ入門」(ソフトバンククリエイティブ)
ブログ:コーソル DatabaseエンジニアのBlog (co-sol.jp/techdb/)、WR blog(www.csus4.net/d/Twitter:@wrcsus4
現在、株式会社コーソルにてOracle Databaseの技術サポートを行う部署で働いています。Oracle Databaseを本格的に使うことになったのはこの仕事からで、かれこれ5年以上Oracle Databaseのサポートを続けています。この部署は、オラクル製品を利用されているお客様からの技術的な問合せに対応する役割を担っています。
技術的な問合せといっても様々な内容、レベルのものがあります。たとえば、Oracle Databaseの不具合に関わるトラブルシューティングに関する問い合わせもありますし、新しい機能がどのように動作するかを説明するといったQ&A的な問い合わせなどもあります。オラクル製品の中でもOracle Databaseは特に機能が多いため、私がそれまで使ったことのない機能についてお問い合わせいただく場合もあります。そのような場合でもいい加減な回答はできませんので、自分の手で動かし、自分の目で確かめ、きちんとした回答をするよう心がけています。また、時々ドキュメントに明確に書かれていないことをお問い合わせいただくこともあります。この時ばかりは苦労します。こうしたケースでは、動作検証を踏まえた形でお答えしなければなりません。また、お問い合わせをいただくお客様はシステム開発や運用のプロフェッショナルであり、高いレベルの技術スキルが求められるため、日々の技術の研鑽と蓄積が欠かせません。
Oracle OpenWorld 2012 に初めて参加しました。日本の感覚では信じられないくらい大規模な技術カンファレンスであり、とても刺激的でしたね。会場近辺をORACLEのロゴが付いた赤いバスが走りまわり、車道や公園には赤い色の特設テントが設置され、サンフランシスコがオラクル一色という雰囲気でしたね。とてもわくわくしました。
Oracle OpenWorldというと、名物社長のLarry Ellisonなどが登場するKeynoteが話題になりますが、技術セッションも行われています。私はKeynoteではなく技術セッションを中心に聴講しましたが、非常に多数のセッションがあるため、どんな人でも必ず興味があるセッションを見つけられると思います。ただ、業務時間のほとんどをOracle Databaseに費やしているサポートエンジニアの立場から見ると、技術セッションは特別高度な内容ではないという印象を持ちましたね。
また、同じく日本から参加したパートナー企業のエンジニアや、全世界のOracle ACE 、Oracle ACE Directorとの交流など、実際にその場に行かないと体験できないことも多くあり、とても意義のある出張となりました。決して少なくない費用を負担してくれた会社と、快く送り出してくれた同僚に感謝しています。
「自分が習得したい技術は、仕事として取り組んだ方が良い」と私は思っています。私は前職ではプロジェクトマネージャーやシステムエンジニアを務めていましたが、Databaseへの興味が高じて今の会社に転職し、サポートエンジニアとしてOracle Databaseにどっぷりつかった生活をしています。密度の濃い仕事をして得た知識によって、個人的な目標であった書籍の執筆や講演を行うことができました。
もちろん、業務外の時間を使って技術を習得できる方もいらっしゃるとは思います。しかし、私の感覚では、普通の技術者にはそのようなことはちょっと難しいと思います。時間を捻出するにしても限りがありますし、限られた時間で習得できる技術の幅や深さにも限界があります。また、自分の仕事として責任を負うことは技術習得のための「良い」プレッシャーになります。さらに、自分の興味がある技術、つまり好きなことを仕事にできるわけですから、精神衛生上も良いですよね。
ただ、中にはすぐ転職をするのは難しい、という方もいらっしゃるでしょう。転職しないまでも、メインの仕事とは別に、習得したい技術を使う仕事を作ってしまうのもオススメできるやり方です。たとえば、私はOracle VMに興味があったので、社内向けの検証環境を整備するという名目でOracle VMを使用する機会を設けました。検証環境をつくることで同僚にも感謝されますし、上司にも評価してもらえます。もちろん、業務を通して興味ある技術を習得できますので、一石二鳥です。
日本にオラクル製品に関わる多くの技術者がいるにもかかわらず、互いに交流する場が少ないと感じていました。 そんなことを考えているとき、「みんなが集まれば、何か新しいことができるんじゃないだろうか」という思いに至り、有志とともに「Japan Oracle User Group」(//www.jpoug.org/)(以下、JPOUG)を2011年に立ち上げました。オラクル製品に関わる技術者が気楽に集まり、交流を図れる場を目指したものです。
皆さんも技術者コミュニティの重要さや有益さについてはご理解いただいているかと思いますが、運営側の立場からすると正直大変なことも多く、頭を悩ますことも山積しています。ただ、オープンソースソフトウェアのコミュニティと異なり、オラクル技術者のコミュニティはまだまだ規模も小さく、存在感がない状況がありますので、これから、もっと発展させ、オラクル技術者にとって有益な活動を行いながら、その他の技術者コミュニティと比べても十分存在感のあるコミュニティにしていきたいと考えています。
今回、Oracle ACE に認定していただいたわけですが、私が所属する会社としては、Oracle ACEの認定は2人目となります(1人目は松下 雅氏)。Oracle ACE に認定される条件はいろいろありますが、こうした技術者コミュニティへの貢献を評価していただいたことは自分としてもとてもうれしかったです。もちろん、会社もOracle ACEの意義と技術者コミュニティへの貢献の重要性について理解してくれています。やはり、ここでも「好きなことを仕事にしている」形になりますね。
オラクルに対して期待することは、これからも「No.1」であって欲しいということです。そして、JPOUGもそれを支えるNo.1コミュニティを目指したいと思います。
Oracle Databaseを中心に,MySQLやJavaなどのオラクル製品およびサービスはもちろんIT関連技術全般にわたる情報交換の場を提供することを活動とするグループです。技術者やユーザーが主体となって世界のオラクル・ユーザー・グループの一員として活動しています。
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