AIが財務を変革する方法

Megan O'Brien |コンテンツ・ストラテジスト| 2024年3月26日

人工知能は何十年も前から存在していましたが、生成AI(GenAI)が2022年から2023年にかけて消費者に広く利用可能になることで、広く注目を集め、まったく新しい可能性が開かれました。ビジネスは迅速にこの革新的なテクノロジーの実践的な利用をテストし始め、特に財務部門は潜在的な競争上の差別化要因としてGenAIや他の形態のAIを検討しています。

財務におけるGenAIの活用により、財務機能の運用方法を変革する体制が整いつつあるようです。2024年第1四半期のDeloitte CFO Signals調査によると、CFOの70%はテクノロジーの導入により1%から10%の生産性向上を見込んでおり、13%は10%を超える向上を見込んでいます。

多くの企業が、財務予測と計画、キャッシュフローの最適化、規制コンプライアンスなどの分野で精度とスピードを推進するため、GenAIやその他のAIアプリケーションに注目しています。また、買掛金の3者間マッチングの自動化、会社間消去、請求書の取得など、より基本的な、しかし急速に進展しているAIの応用に注目している企業もあります。CFOが考えるGenAI導入への最も高いハードルは、技術スキル(65%)と習熟度(53%)です。

AI機能がタスクの自動化、インサイトの生成、コンテンツの作成によりワークフローを向上させることで、財務チームが組織全体にわたり、ビジネス上の価値を生み出すインサイトを共有することで、財務部門の将来はより分析ドリブンかつ戦略的なものになることが見込まれます。

AIとは

AIとは、コンピューターが人間と同じようなタスクをこなすシステムの開発を指します。このテクノロジーにより、コンピューターと機械は人間の知的機能(学習、会話の解釈、問題解決、知覚、そしていつかは推論など)をシミュレーションすることができます。AIには、機械学習(ML)、意思決定木、推論エンジン、コンピュータ・ビジョンなど、さまざまなテクノロジーが含まれます。GenAは、テキスト、画像、コード、音声、音楽、動画など、さまざまなタイプのコンテンツを作成できるAIの一種です。MLモデルを使って人間が生成したコンテンツを処理し、パターンや構造を特定することで機能します。して、そのデータ・セットから学習したパターンに基づいて新しいコンテンツを生成します。

AIによる財政の変革方法と、財務におけるAIのユースケース財務におけるAIのユースケース

AIの進化に伴い、財務における活用も進みます。GenAIの機能は、財務プロセスの管理に使用される既存のソフトウェア・システムにますます組み込まれるようになり、チームは、買掛金や売掛金、予算編成と予算の照合、決算などの既存のワークフローで、そのような機能にアクセスできるようになります。現在、AIは意思決定、効率の向上、最終損益の改善のためにすでにいくつもの分野で活用されており、その例としては以下のようなものが挙げられます。

1. 財務予測と計画

AIは予測分析を通じて財務予測と計画プロセスを変革しています。予測分析は、トレンド、相関関係、原因を特定するためにビジネスで使用されるデータ分析の一種です。データ、統計アルゴリズム、機械学習を使用して、履歴データと既存トレンドの分析に基づいて将来の結果を予測します。

予測分析を使用することで、財務チームは企業の履歴データおよび広範な業界のデータを使用して将来のキャッシュフローを予測できます。従来の財務予測は状況が変わると手動で調整する必要がありましたが、データドリブンの予測は新しいデータに基づき再調整が可能なため、予測と計画を適切かつ正確に維持できるよう支援します。GenAIは、予測モデルによって作成された予測を説明し、予測を推進する重要な要因を明確にするために、コンテキストに沿った解説を自動的に作成することもできます。

2. 規制コンプライアンス

世界中で規制コンプライアンスが複雑化する中、近年、規制レポートにかかるコストとリソースの負担が急増しています。組織は、これらの要件を満たすために多大な時間とリソースを費やしています。AIは、コンプライアンス・モニタリング、監査証跡管理、規制レポート作成を自動化することで、ワークロードの一部を担うことができます。

規制コンプライアンスにおいて特に価値のあるテクノロジーは、自然言語処理(NLP)です。NLPは、コンピューターに人間の言葉を理解させ、生成させるAIの一分野です。NLPは、大量のテキスト・データを迅速に解析し、生のテキストや音声を意味のあるインサイトに変換することが可能です。また、長文のドキュメント、契約書、ポリシー、その他のテキスト・ソースを分析し、重要な情報、適切な変更点、潜在的なコンプライアンス・リスクを抽出することができます。NLPは、ドキュメント管理を簡素化し、所定の基準に基づいて自動的にドキュメントを分類することもできます。

3. キャッシュ・フローの最適化

効果的なキャッシュフロー管理は、常にCFOとそのチームの優先事項の上位に位置付けられており、AIはキャッシュ・フロー最適化の貴重なツールであることが証明されています。膨大なデータが必要となるため、ほとんどの財務担当者は、現金と流動性に関する統合ビューを構築するのに、1日以上を要します。また、それでも予測には誤りが含まれ、迅速に陳腐化する可能性があります。

予測分析と機械学習を使用することで、企業は、履歴データおよび現在のデータなど、あらゆる関連ソースからデータを自動的に収集し、将来のキャッシュ・フローを継続的に予測することができます。より迅速で正確なキャッシュフロー予測により、企業は健全な流動性レベルを維持するために先行的に手を打つことができます。たとえば、余剰資金があれば、サプライヤーとの早期支払割引の利用や、ビジネスに再投資する分野の特定が可能です。一方、資金が乏しい場合は、融資ポジションの見直しや子会社間で為替取引を行うことができます。また財務チームは、AIを活用して、市場の状況や支払い履歴などに基づいてサプライヤーを選定し、適切な早期支払いインセンティブを適用することで、運転資金を最適化することもあります。

4. 経費管理

経費管理は、迅速にフラストレーションを生む原因になる可能性があります。従業員にとって、手動での領収書の収集、フォームへの記入、経費報告書の提出により経費規定のルールに従うことは、手間がかかり、エラーも生じがちです。また、財務チームが手動ですべての支出をレビューして支出がコンプライアンスに準拠しているかを確認することなど不可能です。AIは経費管理を加速し、その複雑さを取り除く強力な手段です。たとえば、手書き、印刷、または画像化されたテキストをスキャンし、関連情報を抽出してデジタル化するAIの一種である光学式文字認識(OCR)は、領収書処理や経費入力を支援できます。OCRは、アップロードされた領収書や請求書をスキャンし、販売店名、日付、合計金額といった経費報告書のフィールドに自動的に入力します。

経費管理におけるAIの役割はそれだけではありません。企業はAIを用いて承認ワークフローを自動化し、あらかじめ設定したルールに基づいて財務担当者のレビューが必要な経費のみにフラグを立て、「例外別管理を行う」文化を促進することもできます。AI対応の経費アシスタントも一般的になりつつあり、経費を自動的に分類し、それぞれに必要となるドキュメントを入力してファイリングし、企業のコンプライアンス・ポリシーに関するガイダンスを提供することで、従業員を支援します。

5. タスクの自動化

おそらく最も一般的で、間違いなく最も影響力のあるAIの機能の1つは、タスクの自動化です。AIは、財務チームを疲弊させていた以下のような、手作業で時間のかかる数多くの財務プロセスの自動化を支援することが可能です。

  • データ入力:明細書、請求書、領収書、その他の財務ドキュメントから関連情報を抽出し、企業のシステムに入力します。
  • 請求書の取得と処理:紙の請求書をスキャン、読み取り、デジタル化します。
  • 照合と検証:請求書を対応する発注書と納品書に自動的に比較および照合します。
  • 支払実行:キャッシュフローを最適化するための支払いスケジューリング、希望する支払い手法の選択、自動的に、または最小限の人的介入で支払いを実行するなど、支払いプロセスを促進します。
  • 照合:支払取引と銀行明細を照合し、金額と受取人が一致していることを確認する自動照合プロセスを実行します。
  • 口座コードの組み合わせデフォルト設定:未払い請求書行の口座コードの組み合わせのセグメント値を予測し、自動的にデフォルト設定します。
  • 決算プロセス:インテリジェント・プロセス・オートメーション(IPA)は、決算の複雑なオーケストレーションの自動化と複数システムにわたるタスクのステータスのモニターを行い、継続的な自動化をガイドする新しいルールを推奨し、依存タスクが完了した時点で自動的に決算プロセスを開始し、決算カレンダーを更新します。

大量の反復的かつ日常的な手作業を高度に自動化することで、時間とコストの削減、エラーの減少、財務担当者がより戦略的で付加価値の高い業務に集中できることによる従業員の満足度の向上など、多くのメリットが得られます。

6. 財務レポートと分析

AIは、財務レポートと分析プロセスにおける複数の側面を自動化および強化することを支援できます。初期段階では、様々なデータ・ソースから関連する財務情報を抽出します。その後、エラー、不整合、欠落値を特定し、注意が必要な領域を財務担当者に通知することで、財務データのクリーニングと処理を行うことができます。

AIはその後、データを用いて損益計算書、貸借対照表、キャッシュフロー計算書などの財務諸表の生成を支援し、主要業績評価指標(KPI)、傾向、観察を明示するレポートに変換することができます。また、規制レポートも支援します。GenAIは、担当者がレビューおよび確認できるように、財務チームから提供されたデータにより必要なフォームを入力することができます。

GenAIはナラティブ・レポートの作成に使用でき、財務諸表とデータをそれぞれの説明と組み合わせることで、数字にコンテキストをもたらすことができます。GenAIは、脚注や経営陣による検討および分析(MD&A)を含む、10-Qや10-Kの初期草案の作成を支援することもできます。

財務におけるAIのメリット

AIを財務に統合することには、以下のような数多くのメリットがあります。

1. 効率と生産性の向上

AIが財務部門の効率と生産性の向上を支援できる方法は、すでに数え切れないほどありますが、それはほんの始まりに過ぎません。データ収集、統合、入力など多数の財務プロセスの自動化は、すでに注目に値する機能追加です。これは、財務の役割を過去のレポートから、企業に役立つ分析と予測を通じて未来に焦点を当てることへとシフトさせることを支援します。

しかし、これは財務部門が効率性と生産性を推進するためにAIを導入できることのほんの手始めにすぎません。とえば、財務チームは情報の検索、ナレッジ・ギャップの解消、仕事の遂行を容易にするためにもGenAIを導入しています。ユースケースには、文章作成支援、要約、分析、チャットなどがあります。Boston Consulting GroupとMIT Sloanによる2023年のある調査によると、GenAIは、GenAIを使用しなかった従業員と比較して、非常にスキルの高い従業員のパフォーマンスを40%も向上させました。2024年のPwCのレポートでは、CEOの60%がGenAIが効率性にメリットをもたらすことを期待していることがわかりました。また、2024年にNVIDIAが世界の金融サービスのプロフェッショナル400人を対象に行った調査によると、「業務効率の向上」は、43%と調査対象者が最も多く挙げたAIのメリットであることがわかりました。

2. カスタマー・エクスペリエンスと維持の改善

AIは、ビジネスがさまざまなタッチポイントにわたりパーソナライズされ、先行的で統合的なやりとりを提供することで、カスタマー・エクスペリエンスと顧客維持を向上できるよう支援します。パーソナライゼーションはその良い例です。Forresterによる2024年のレポートでは、調査対象のエグゼクティブの42%が、カスタマー・エクスペリエンスのハイパーパーソナライゼーションをAIの主要ユースケースとして挙げました。

AIは、顧客データ、嗜好、行動を分析し、適切な製品の推奨、コンテンツの提案、オファーを提供することで、パーソナライゼーションの実現を支援します。また、企業はAIによるカスタマー・セグメンテーションをさらに活用することで、よりターゲットを絞ったマーケティング・キャンペーンやプロモーションを行うことができます。AIは、個々の顧客の嗜好、市場の変化、競合他社の活動に関するリアルタイムのインサイトを利用して価格と割引を最適化し、価格設定をパーソナライズすることも支援できます。

AIは、将来の顧客行動、生涯価値、さらには解約の可能性まで予測する予測分析により、問題が発生した際に先行的に対処することにビジネスの取り組みを集中させ、顧客維持に不可欠な存在になりつつあります。

最後に、AIによるチャットボットとデジタル・アシスタントは、オンデマンドで質問に答え、24時間体制で迅速なサービスを提供することで、顧客との関係を強化します。

3. エラーの削減

財務におけるAIは、特に人がミスを犯しやすい分野でエラーの削減を支援することが可能です。大量の反復的な作業はヒューマンエラーにつながることがよくありますが、コンピュータにはそのような問題はありません。AIが提供する高度なアルゴリズム、データ分析、自動化機能を活用することで、データ入力、財務レポート、簿記、請求書処理などの分野で一般的なエラーの特定と修正を支援することができます。

4. コスト削減

AIはすでにコスト削減を支援する機能を発揮しています。NVIDIAの調査では、回答者の80%以上がAI対応アプリケーションを使用することで収益の増加と年間コストの削減を報告しています。さらに、Bank of Americaの2023年10月のレポートによると、AIの導入により、今後5年間でS&P500企業のコストが約650億ドル削減される可能性があります。

AIはさまざまな方法でコスト削減を支援できます。タスクの自動化は明らかなコスト削減戦術であり、企業は人件費を削減し、労働力のギャップを埋め、生産性と効率の向上を図り、従業員を戦略的で付加価値の高い活動に集中させることができます。企業はまた、AIにより促進されるインサイトと意思決定の向上がコスト削減のカギになると述べています。AIを活用する組織は、在庫水準とサプライチェーンの最適化、不正検出、コスト削減機会の特定、およびリソースの効果的な配分をより適切に実行できる可能性があります。

5. 意思決定の改善

オラクルとNew York Timesのベストセラー作家であるSeth Stephens-Davidowitz氏による2023年の調査では、意思決定をめぐるビジネス・リーダーが直面するジレンマに焦点が当てられ、その結果は衝撃的なものでした。

調査対象となったビジネス・リーダーのうち...

  • 74%が、毎日行う意思決定の数が過去3年間で10倍に増えたと考えています。
  • 97%が意思決定においてデータの支援を求めています。
  • 93%が、適切な意思決定インテリジェンスが組織の存亡を左右しうると感じています。
  • 72%が、膨大なデータ量により意思決定が全くできなくなっていることを認めています。
  • 89%は、データ・ソースの増加が組織の成功を制限していると考えています。
  • 94%は、適切なデータとインサイトにより、財務部門はより適切な意思決定ができると感じています。

データ管理収集、分析、コンテキスト化をはじめとするAIの機能の数々は、ビジネス・リーダーが挙げる意思決定の障害の多くを排除することを支援します。

6. リスク管理の強化

AIは特に不正検出において有益です。トレーニングした機械学習モデルは、現在と過去の両方の取引データを処理し、取引や行動のパターンを照合することで、マネーローンダリングやその他の不正行為を検知します。

AIベースの異常検出モデルも、不正を示す可能性のある取引を特定するようにトレーニングすることができます。この場合、AIシステムは継続的に学習しており、どの異常が不正取引で、どれがそうでないかを学習することでアルゴリズムが改良され、時間の経過とともに誤検出を減らすことができます。

大量のデータを短時間で分析できるAIの能力は、財務チームにおける重要な資産です。サプライチェーン、運用、金融市場のいずれの分析であっても、AIは潜在的なリスクを迅速に特定し、予測モデリング技術を使用して、起こり得る結果の可能性と影響の評価を支援することができます。

7. スケーラビリティ

AIが現在急速に普及し、これほど多くの企業がアクセスできるようになった主な理由は、今日のクラウドベースのAIプラットフォームにあります。AIシステム、特に生成AIには、多くの処理能力が必要です。また、モデルも頻繁に更新されます。この2つの要因により、AIを「購入」して自社のデータセンターで実行することは非常に困難です。クラウド・コンピューティング・プラットフォームは、AIアプリケーションを導入および実行するためのスケーラブルなインフラストラクチャとリソースを提供するため、企業は必要な機能に対して料金を支払うだけで、パッチ適用やソフトウェア・アップデートの必要なく更新が可能です。クラウドベースのERPシステムを使用している企業には、同じクラウドからAIテクノロジーを使用することに対する大きなインセンティブがあります。元となるシステムが同じクラウド・インフラストラクチャに存在する場合、AIのためにデータを移動したり準備することへの懸念ははるかに少なくなります。

財務におけるAIの未来

AIは単なる流行りのテクノロジーではなく、インターネットやクラウド・コンピューティングのような、ビジネス環境に変革をもたらすことが期待される稀有な進歩のひとつであることが証明されつつあります。CFOとそのチームにとっては、この上ないタイミングでの到来と言えるでしょう。

「財務リーダーは、収益を拡大しながら利益率も拡大するという課題に常に直面しています」と、オラクルのグローバル・ビジネス・ファイナンス担当エグゼクティブ・バイスプレジデントであるMatt Stirrupは、Wall Street Journalのインタビューで語っています。「そのためには、ビジネスをより効果的に運営し、AIなどのテクノロジーを活用して成長機会を見いだし、非効率を検出することが必要となります。」

財務の将来を見据えて、Stirrupは財務機能に大きな変化が訪れると考えています。AIが財務チームのメンバーに完全に取って代わることはないでしょうが、日常業務の重要な部分を占めるようになる可能性はあります。

「将来的には、人工知能は反復的な作業の自動化を進めるだけでなく、より付加価値の高い活動を支援するようになるでしょう」とStirrupは語ります。「AIツールによる支援を受けた財務担当者は、最も複雑な分析や戦略的意思決定に時間を集中させることができます。従業員のスキルと人工知能を組み合わせることで、より大きな財務インサイトとインパクトがもたらされるでしょう。」

AI活用の長期化に備え、企業が今できることは何でしょうか。第一に、積極的にプロセスを自動化し、トランザクション作業を削減することです。次に、AIツールと効果的にやりとりし、テクノロジーを活用した分析機能を構築するためのスキルを身につけられるよう、スタッフをトレーニングすることです。また、財務担当者にAIに対する理解を深めさせることも、適切なセキュリティ、管理、テクノロジーの適切な利用を確保する上で不可欠です。

「ビジネスが利益率を拡大しながら収益を成長させる必要に迫られている中、財務チームがその取り組みを推進する原動力となることはです」と、Stirrupは述べます。「世界はデータで動いており、適切なプランニングおよび分析ツール、クラウド・テクノロジー、AIの効率的なアプリケーションを通じて、データから迅速に学習し、それを実行できる組織が最終的な勝者となるでしょう。」

オラクルによるより適切なデータの迅速な取得と収益の拡大

AIをはじめとする高度なテクノロジーは、財務のあり方を変えつつあります。しかし、導入を難しくしている障壁が複数あります。

Ciscoが2023年に実施した調査では、調査対象となった世界の民間企業リーダーの84%が、AIは自社のビジネスに非常に大きな影響を与える、または大きな影響を与えると考え、97%がAIによるテクノロジーを導入する緊急性が高まったと回答しています。しかし、調査対象者の86%はAIをビジネスに統合する準備ができていないと感じており、81%の回答者がサイロ化または断片化したデータを主な問題として挙げています。

AIはデータに依存します。Oracle Fusion Cloud ERPを使用することで、企業は一元化されたデータ・リポジトリを手に入れ、AIモデルに正確で最新の包括的なデータの基盤を提供します。AI機能が組み込まれた包括的なクラウドERPシステムを使用することで、財務チームは予測精度の向上、レポート・サイクルの短縮、意思決定の簡素化、リスクとコンプライアンスの管理強化の支援に必要なデータを得ることができます。Oracle Cloud ERPに組み込まれたオラクルの幅広いAI機能ポートフォリオにより、財務チームは、より多くの自動化の機会、より適切なインサイト、継続的なキャッシュ予測機能により、受動的な対応から戦略的な対応へと移行することができます。

AIと財務に関するFAQ

財務におけるAIの活用方法を教えてください。
財務におけるAIの活用により、請求書の入力、売掛金の追跡、支払取引の記録などの手作業が自動化され、従業員は付加価値の高い戦略的業務に集中できるようになります。財務部門もAIによるツールを導入して、大量のデータ分析の迅速な支援、インサイトやレコメンデーションの提供、予測の改善、企業全体にわたるデータドリブンな意思決定を推進しています。

財務はAIに取って代わられるのでしょうか。
財務担当者がAIに完全に取って代わられることはないでしょう。多くの業務が自動化されるか、AIシステムに任せることになるでしょうが、AIにできないこと(人間の創造性、判断力、感情的知性、人間関係の構築、批判的思考など)を提供するために、財務の業務には依然として人間の関与が必要となります。AIに取って代わられるのではなく、AIツールによる支援を受けた財務担当者は、極めて複雑な分析や戦略的意思決定に集中することになるでしょう。

財務におけるAIが解決できる問題を教えてください。
財務チームには、企業が収益を伸ばしながら利幅を拡大し、複数のカスタマイズされたフォーマットでリアルタイム・データを提供し、全社的にデータドリブンな意思決定を推進する一方で、労働力不足に対処することが求められています。AIは、財務チームに投資やコスト削減の可能性に関するインサイトを提供し、トランザクション作業を自動化し、必要なデータを自動的に生成し、データの可視化を強化することで、これらの問題の解決を支援することができます。

財務におけるAIの未来について教えてください。
AIはすでに財務機能に大きな変化をもたらしており、その影響は今後も拡大することが見込まれています。AIテクノロジーとそれを活用する人々のスキルが高まるにつれ、AIは財務機能に深く浸透していくでしょう。将来、AIはより多くのタスクを処理し、より多くのデータ・ソースをより正確かつ迅速に評価できるようになり、財務の多くの分野、特に財務予測、コネクテッド・プランニング、リスク管理、シナリオ・プランニングに恩恵をもたらすことが期待さています。その結果、財務機能は、組織の価値を推進することに焦点を当てた、より戦略的で先進的なものへと進化し続けるでしょう。

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