Oracle Red Bull Racing、Oracle Cloudに支えられチャンピオン・シーズンを達成

ドライバーズとコンストラクターズのタイトルの世界チャンピオンであるF1チームは、テクノロジー・パートナーシップを拡大し、リアルタイムのレース・シミュレーション、ファンとのエンゲージメント、エンジン開発などにOracle Cloudを使用しています。

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Oracle Cloudは、今年我々が勝利したすべてのグランプリや大きな結果が出せたすべてのグランプリにおいて、重要な役割を果たしています。

Christian HornerOracle Red Bull Racing、チーム・プリンシパル兼CEO

卓越したドライビングとテクノロジーを駆使した戦略

Oracle Red Bull Racingのマックス・フェルスタッペン氏は、2020年7月に開催されたハンガリー・グランプリの予選で10位になったとき、表彰台に近づくためには、フィールドで戦い抜かなければならないことを理解しました。しかし、フェルスタッペン氏とそのチームは、ただ順位を上げるだけでは不十分だと思っていました。そして、オーバーテイクが難しいコースで、フェルスタッペン氏は8秒近い差をつけ、チーム史上最高の逆転勝利を達成したのです。

Red Bull Racing

ハンガリーのレースは、Oracle Red Bull Racingの2022年シーズンの特徴である、テクノロジーを駆使した戦略、チームワーク、フェルスタッペン氏とドライバーのセルジオ・ペレス氏の素晴らしいドライビングの組み合わせを象徴するものでした。その結果、チームはスポーツ業界のチーム最高賞であるコンストラクターズ世界チャンピオンを獲得し、フェルスタッペン氏のドライバーズ世界チャンピオンも防衛することができました。チームは、Oracle Cloud Infrastructure(OCI)を使用して何十億ものモンテカルロ・シミュレーションを実行し、すべてのグランプリの前と最中にさまざまなシナリオと結果確率を測定するなど、オラクルと密接なテクノロジー・パートナーシップを結んでいます。

「レースが始まる前にすべてのシミュレーションが行われ、すべてが準備されているため、レース中の作戦変更も容易です」とフェルスタッペン氏は言います。「他のチームより間違いなく戦略的に優位に立っていたと思います。」

F1のトロフィーを2つとも獲得するのは並大抵のことではありあませんが、これはチームのイノベーション、そして結果を出すためのデータやテクノロジーの活用を物語っています。オラクルのテクノロジーは、コース上でのシミュレーションに加え、Oracle Red Bull Racingによるファン参加型プラットフォーム「The Paddock」の立ち上げや、Red Bull Powertrainによる2026年デビュー予定の新レース・エンジン開発の初期段階をサポートしています。

Oracle Red Bull Racingのチーム代表兼CEOであるクリスチャン・ホーナー氏は、次のように述べています。「今シーズンは信じられないほど素晴らしいシーズンでした。チームとして、今シーズンはサーキット内でもサーキット外でも、本当に成果を上げることができました。それは、このチャンピオンシップの成功に重要な役割を果たすテクノロジー・パートナーの存在があったからです。」

レースが始まる前にすべてのシミュレーションが行われ、すべてが準備されているため、レース中の作戦変更も容易です。他のチームより間違いなく戦略的に優位に立っていたと思います。

マックス・フェルスタッペン氏Oracle Red Bull Racingドライバー

Oracle Red Bull Racingのレース戦略をサポートするOCIの仕組み

Oracle Red Bull Racingは2022年シーズンのチャンピオンとなり輝かしい記録を獲得しましたが、それまでの道のりは順風満帆とは言えないものでした。シーズン開幕当初、国際自動車連盟(FIA)は2022年に向けてマシン設計を全面的に見直すための新しい規定を導入しました。すべてのF1チームは、その規定に準拠する必要があったため、Red Bull RB18の最初のモデルは、より重く、ドライビングしにくいものとなっていました。バーレーン・インターナショナル・サーキットで行われたF1開幕戦では、レース終盤に技術的な問題が発生し、フェルスタッペン氏とペレス氏は、ゴールを目前にリタイアを余儀なくされました。フェルスタッペン氏はその2戦後のオーストラリアでも「Did Not Finish(リタイヤ)」となり、タイトル防衛のための最初の3戦のうち2戦でノーポイントとなってしまいました。しかしチームは決して諦めることなく、一丸となって改善に取り組みました。

「もちろん、うまくいかないときはみんな動揺するけど、すぐに改善すべき点に集中するんです」とフェルスタッペン氏は言います。「それに、みんなすごくやる気があるんです。タフな週末でも、それを受け止めて、すぐに次の週末のために気分を切り替えるんです。」

Oracle Red Bull Racingは、戦略運営のエンジンとしてバックエンドでOCIを活用しています。モンテカルロ・シミュレーションを実行して、サプライチェーン担当者がボトルネックのリスクを発見したり、ウォール・ストリートの投資家がポートフォリオのリスクをモデル化したりするのと同じように、チームは、レース前とレース中にリアルタイムでOCIを使ってシミュレーションを行い、ピットインのタイミングや、どのタイヤを使用するかなど、戦略的選択による最大ポイント獲得の確率を測定しています。

OCIの低コストと高パフォーマンスを生かし、チームの戦略担当者は2022年のシーズンを通して、各レースで約40億回、つまり毎秒数百万回のシミュレーションを実行しました。チームはOracle Container Engine for Kubernetesを使用してシミレーション用のアプリケーションをコンテナ化し、OCI上の高パフォーマンスなAmpere CPUを使用してそれらのモデルを実行しました。このチームのテクノロジー運用戦略は、業界全体で採用されているものと同様で、クラウド管理されたKubernetesの自動化を利用して、ワークロードの種類ごとに適切な処理能力をペアリングするものです。Oracle Red Bull Racingにとって、この大量のシミュレーションにアクセスできることは、チームの戦略をより詳細なものにし、信頼度を高めることにつながっています。

「Oracle Cloudとの連携により、咄嗟の判断、迅速な対応、そしてレース中の他のレーサーの動きへの適応が可能になりました」とホーナー氏は述べています。「Oracle Cloudは、今年我々が勝利したすべてのグランプリや、今シーズンのすべての記録を塗り替えるような大きな結果が出せたすべてのグランプリにおいて、重要な役割を果たしています。」2022年、フェルスタッペン氏(25歳)はシーズン最多勝の新記録を樹立しました。

多くの印象的なレースの中でも、ハンガリーのHungaroringでのフェルスタッペン氏の活躍は、彼のスキルと冷静さを示すものとして際立っていました。そして、ドライバーとチームが戦略にどれほどの自信を持っているかということの証明でした。レース場のピットウォールでは、レース戦略責任者のウィル・コートニー氏や主席戦略エンジニアのハンナ・シュミッツ氏がこれを指揮しました。

「ハンガリーでは、ただ忍耐強く、ピットインのタイミングとタイヤを選ぶことがすべてでした」とフェルスタッペン氏は言います。「戦略に基づき、自分たちの道を進み、正しいと思うことを行った結果、レースに勝つことができました。」

ファン体験とレース・ビジネスの革新

Oracle Red Bull Racingによる技術革新は、グリッドの外にも及んでいます。Oracle CrowdTwist Loyalty and Engagementを活用して、チームは、ファンがポイントを獲得して限定グッズやデジタル・ダウンロードにアクセスできるプラットフォームである、The Red Bull Racing Paddockを立ち上げました。The Red Bull Racing Paddockの立ち上げ以来、ロイヤルティ会員数が950%以上増加しました。チームは、レースの合間やシーズンオフの間もファンを魅了する機能やコンテンツを追加し続けています。

「チームとして、そして特に増え続けるファンの期待に応えるために、イノベーションの最先端を行くことは非常に重要です」とホーナー氏は言います。「Paddockのような取り組みによって、ファンはレースをより身近に感じたり、情報を得たり、チームと関わったりできるようになり、私たちにもファンを知る機会ができました。チームの生命線であるファンと交流することは、私たちにとって非常に重要なことなのです。」

今後、チームはチャンピオンシップの獲得と同じくらい困難な目標を掲げています。それは、エンジンを自社で設計・製造することです。数年前までは、自動車産業以外の企業では考えられなかったことでした。しかし、高パフォーマンス・コンピューティング・リソースへ、クラウドを介してアクセスできることが、このような高度なエンジニアリングの可能性を大きく変えたのです。そのため、ホンダがF1エンジンの開発を終了することを決めたとき、Oracle Red Bull Racingは2026年シーズンまでに自社でエンジンを開発するという大胆な決断を下したのです。「そのための、才能ある人材も、インフラストラクチャも、そして非常に重要なことですが、ツールも持っています」とホーナー氏は言います。

クラウド・インフラストラクチャは、数値流体力学(CFD)の計算のような高度なエンジニアリングのためのコンピューティングパワーを必要とする企業にとって、同じ土俵を提供します。自動車からコーヒーメーカー、電子機器に至るまで、製品の設計者は開発時にCFDツールを使用しています。しかし、従来は、たまにしか使われない技術のために、オンプレミスのデータセンターへの大規模な投資を必要としていました。Oracle Red Bull Racingのエンジニアは、OCIを利用することで、CFD対応のコンピューティングをすぐに利用できるようになり、その容量が使用されていないときのオーバーヘッドも不要になりました。

「オラクルのクラウド・テクノロジーは、私たちの取り組みを加速させてくれました。データセンターの建設を待つ必要がなかったため、白紙の状態から12か月以内にはエンジンを稼働させることができました」とホーナー氏は述べています。

また、Oracle Red Bull Racingは、世界最高のシムレーサーが、ドライバーとチームのチャンピオンシップを競うF1 Esports Series Pro Championshipにも参加しています。Oracle Red Bull Racingは、シミュレーション・レースのリアルタイムのテレメトリ・データの処理にOCIを利用しており、Esportsレースにおいて1秒間に最大13万件のデータポイントを取り込んでいます。このデータは、チームとドライバーのパフォーマンスを最適化するために、人工知能と機械学習モデルで使用できます。

F1チームとは別に、Red Bull Advanced Technologiesは、オラクルのAIエキスパートと協力して、OCI上で動作するAIを次世代ドライバーの育成に役立てる方法を検討しています。

「Oracle Red Bull Racingとして初めて参加したシーズンは、驚くべきジャーニーだったと言えるでしょう」とホーナー氏は言います。「ピットウォールであれ、新しいエンジンの設計であれ、ファンとのエンゲージメントであれ、オラクルのテクノロジーから多大な恩恵を受けています。ビジネスのあらゆる側面において、この一年はオラクルとの協働により、サーキット内でもサーキット外でも、非常に実りの多い年となりました。

公開:2022年11月14日