Oracle Data Platform for Healthcare

Healthcare supply chain optimization

可視性を高めてサプライチェーンの回復力と柔軟性を向上

新型コロナウイルスのパンデミックは、サプライチェーンをかつてないほど逼迫させ、効果的なサプライチェーン計画の重要性を浮き彫りにしました。新型コロナウイルスの発生前は、ジャスト・イン・タイム在庫は手持ち在庫を減らすことで経費を削減できるため、最良の在庫管理手法として推奨されていました。しかし、パンデミックで明らかになったように、この方法ではコストの削減はできても、混乱や緊急事態の発生時には極めて脆弱な状態になります。同時に、手元に在庫がありすぎるのも、維持費がかかるだけでなく、賞味期限切れの製品を使用できずに廃棄することが多くなり、無駄が増えるので好ましくありません。最近のある調査報告によると、平均して、手術室の在庫の13%は棚の上で期限切れになっています(PDF)

効果的なサプライチェーン・プランニングと在庫管理はあらゆる業界で重要ですが、特にサプライチェーンの混乱が患者のケア、安全性、転帰に影響を与えかねない医療業界では極めて重要です。最適なアプローチを見出し、在庫の過不足を避けるためには、メーカーと医療機関はサプライチェーンの上流と下流の両方を可視化する必要があります。プロセス全体を可視化することで、サプライチェーンのすべての関係者が、混乱が発生した際に異なるソース・プロバイダーを活用できる敏捷性を得ることができます。

完全に可視化するためには、医療機関は多くの外部および内部ソースからのデータをブレンドする必要があります。データへのアクセス、透明性、データの正確性に苦戦している組織は、継続的なサプライチェーン・プランニングに移行し、継続的なオペレーションを確保するために、これらの課題を解決する必要があります。

あらゆる適切なデータを使用してサプライチェーンを最適化

現在、利用可能なサプライチェーン・データは膨大な量にのぼり、その量は年々飛躍的に増加しています。多くの医療機関が直面している問題は、データの不足ではなく、データを理解できず、有意義なインサイトを構築するために必要なデータにアクセスできないことです。

このユース・ケースでは、医療向けOracle Data Platformを使用することで、高度な分析と機械学習を使用してサプライチェーンを破壊的なイベントから保護しながら、コストを削減し、患者の安全性を高めるプロセスを簡素化する方法をご紹介します。

サプライチェーン最適化の図と説明

この図は、ヘルスケア向けOracle Data Platformを使用して、パフォーマンス監視により価値ベースのケアをサポートする方法を示しています。このプラットフォームは、以下の5つの柱を掲げています。

  1. 1 データソース、検出
  2. 2 取込み、変換
  3. 3 永続化、キュレーション、構築
  4. 4 分析、学習、予測
  5. 5 測定、実行

データソース、検出の柱には、2つのカテゴリーのデータが含まれます。

  1. 1. ビジネス・レコードは、ERP、倉庫管理システム、在庫、資材、ぷラニングおよびスケジューリング、EPMで構成されます。
  2. 2. 技術的なインプットには、輸送管理、遠隔測定データ、 ログ、イベント・ストリーム・ソースからのデータが含まれます。

取込み、変換の柱は、3つの機能で構成されます。

  1. 1. 一括転送には、OCI FastConnect、OCI Data Transfer、MFT、OCI CLIを使用します。
  2. 2. バッチ取り込みには、OCI Data Integration、Oracle Integration Cloud、Data Studioを使用します。
  3. 3. 変更データの取得には、OCI GoldenGateとOracle Data Integratorを使用します。

3つの機能はすべて、永続化、キュレーション、構築の柱の中で、サービング・データ・ストアとクラウド・ストレージに一方向で接続します。

永続化、キュレーション、構築の柱は、5つの機能で構成されます。

  1. 1. サービング・データストアには、Autonomous Data Warehouse、Exadata Cloud Service、Exadata Cloud@Customerを使用します。
  2. 2. マネージドHadoopには、Oracle Big Data Serviceを使用します。
  3. 3. クラウド・ストレージには、OCI Object Storageを使用します。
  4. 4. バッチ処理には、OCI Data Flowを使用します。
  5. 5. ガバナンスには、OCI Data Catalogを使用します。

こうした機能は、柱の中で接続されています。クラウド・ストレージは、サービング・データストアとマネージドHadoopに一方向に接続され、バッチ処理にも双方向に接続されます。

マネージドHadoopは、サービング・データストアに一方向に接続されます。

2つの機能が、分析、学習、予測の柱に接続されます。サービング・データストアは、分析と可視化機能、そしてデータ製品とAPI機能の両方に接続されています。クラウド・ストレージは、機械学習機能に接続します。

分析、学習、予測のピラーは、3つの機能で構成されています。

  1. 1. 分析、可視化は、GraphStudio、Oracle, Analytics Cloud、GraphStudio、およびISVを使用します。
  2. 2. データ製品・APIは、OCI API GatewayとOCI Functionsを使用します。
  3. 3. 機械学習には、OCI Data Science、Oracle Machine Learning、ML Notebooksを使用します。

AIサービスには、Oracle Digital Assistant、OCI Language、Speech、Visionが含まれます。

サービング・データストア、マネージドのHadoopおよびオブジェクト・ストレージは、OCI Data Catalogにメタデータを提供します。

測定、行動の柱は、サプライチェーンの最適化をサポートするためにデータ分析を適用できる方法を捉えます。これらの結果は2つのグループに分けられます。

  1. 1. 第1のグループ「人とパートナー」には、継続的改善とパフォーマンス測定、需要予測と在庫計画、サプライチェーンの設計とネットワークの最適化が含まれます。
  2. 2. 第2のグループ「アプリケーション」には、リコール通知の取得、スペースと在庫管理の改善、AI/MLを使用した業務プロセスの改善などが含まれます。
  3. 3つの中心的な柱である、取り込み、変換と永続化、キュレーション、構築と分析、学習、予測は、インフラ、ネットワーク、セキュリティ、IAMでサポートされています。



柔軟性があり、オープンでパフォーマンスの高いデータ・プラットフォームを構築するために、アーキテクチャにデータを注入する方法は主に3つあります。

  • 開始にあたって、全体的な在庫状況を把握する必要があります。そのためには、Oracle Cloud Infrastructure(OCI)のGoldenGateを使用して、すべての在庫アイテムとそれに関連する事業部門について、運用データベースからほぼリアルタイムの倉庫在庫データを変更データ取得で取り込み可能にします。
  • ERPシステム、倉庫管理システム、人事システム、健康管理情報システム、エンタープライズ・パフォーマンス管理システムなどの関連データセットを追加することで、サプライチェーンを完全に理解し、その健全性を把握できるようになりました。これらのデータセットは、多くの場合、大量のオンプレミス・データから構成されており、ほとんどの場合、バッチ取り込みが最も効率的であることが一般的です。アプリケーション間の統合(または他のOCIサービスとの統合)においては、Oracle Integration Cloudは、プロセスが簡単でコスト効率が高く、実績のあるトップクラスの手法です。
  • 一括転送サービスは、既存のオンプレミスの分析リポジトリや他のクラウド・ソースからのデータなど、大量のデータを初めてOracle Cloud Infrastructureに移動する必要がある場合に使用します。具体的にどのような一括転送サービスを利用するかは、データの保存場所や転送頻度によって決まります。例えば、過去の計画やデータウェアハウス・リポジトリから大量のオンプレミス・データをロードするためには、OCI Data Transfer ServiceやOCI Data Transfer Applianceを使用することがあります。大量のデータを継続的に移動させる必要がある場合は、お客様のデータセンターとOCIの間を広帯域の専用プライベート・ネットワークで接続するOCI FastConnectの利用を推奨しています。

データの永続化と加工は、3つの(オプションとしては4つの)コンポーネントの上に構築されています。

  • 取り込まれた生データはクラウド・ストレージに保存されます。ERPデータ、在庫データ、デバイスやアプリケーションからの遠隔測定データ、ログおよび製品参照データなど、現在永続化されているデータのバッチ処理には、OCIデータフローを使用します。処理されたデータセットはクラウド・ストレージに戻され、永続化、キュレーション、分析が行われ、最終的には最適化された形でデータ・ストアにロードされます。また、アーキテクチャのプリファレンスによっては、マネージド Hadoop クラスタとしてOracle Big Data Serviceを使用して実現することもできます。
  • これで、最適化されたリレーショナル形式で、キュレーションや問合せのパフォーマンスのために、サービング・データ・ストアで永続化できるデータセットを作成しました。これにより、在庫回転率、純患者収益に占める供給経費の割合、代替品が特定されたアイテムの割合、サプライヤーの充填率、購入総額に占める期限切れ/廃棄製品の数など、ほんの数例を挙げるだけでも、いくつもの貴重な主要業績指標の迅速な評価が可能になります。

分析、学習、予測機能は、4つのテクノロジーで構築されています。

  • 分析および可視化サービスは記述的分析(ヒストグラムやチャートで現在の傾向を説明)、予測的分析(将来のイベントを予測し、傾向を特定し、不確実な結果の確率を決定)、処方的分析(最適な意思決定をサポートする適切な行動を提案)を提供し、医療機関を支援することができます

    • 手持ち在庫に占める期限切れ商品数を計算
    • サプライチェーンでデジタルツインを使用し、リスクなしのwhat-if分析を実行
    • 純患者収益に対する供給費の割合を決定
    • 代替品が特定されているアイテムの割合を把握
  • 高度な分析とともに、機械学習モデルの開発、トレーニング、導入が行われます。これらのモデルは、API経由でアクセスしたり、サービング・データストアに導入したり、ストリーミング分析パイプラインの一部として組み込むことができます。
  • 機械学習モデルを作成する場合、OCI Data Science、利用可能なOCI AI Services、またはその2つの組み合わせを柔軟に使用することができます。以下に、OCI AI Servicesのいくつかの例と、それらをサプライチェーンのAI/MLパイプラインの一部として使用する方法をご紹介します。

    • OCI Anomaly Detectionは、サプライチェーンのパフォーマンス指標(例えば、原材料の在庫、生産スループット、仕掛品、通過時間、在庫回転率)をリアルタイムで監視し、混乱を特定し対処する上で役立ちます。複雑なサプライチェーンにおいて、特定された異常の重大度スコアは、観測されたビジネスの障害に優先順位をつけて対処する上で役立ちます。
    • OCI Forecastingは、需要、供給、リソース容量などのサプライチェーン指標の予測を支援し、将来のパフォーマンスを予測することで、適切なアクションを取ることができます。
    • OCI Vision and Languageは、発送する製品の品質レポートや欠陥レポートなどのドキュメントを理解し、分析のためのサプライチェーンのデータを充実させる上で役立ちます。
  • オラクルのキュレーション済み、テスト済み、かつ高品質なデータおよびモデルは、お客様のガバナンスルールやポリシーを適用し、データメッシュアーキテクチャ内のデータ製品(API)として公開し、医療機関の組織全体に配布することが可能です。

自動化されたインテリジェンスを利用して収益性と患者の安全性を向上

サプライチェーン全体を把握することで、医療機関は現在では対応できない多くの疑問点を解明できるようになりますが、そのためには適切なデータ・プラットフォームが必要です。プラットフォームは柔軟で必要なデータ型をすべて扱えること、オープンで他のクラウドやオンプレミスのデータセンターまたはサードパーティ組織と簡単に接続できること、そしてセキュアであることが求められます。すべてのデータにアクセスすることで、医療機関は次のような多くの目的を達成することができます。

  • 患者需要と可能性のある破壊的なイベントを理解しながらサプライヤーのリスクを管理-サプライヤーのリスクと患者需要の関係に関する深い知識が、適格で信頼できるサプライヤーの一元化されたリストにより促進される、ビジネス・オペレーティング・モデル全体にわたる、より効果的に運用を遂行するための基盤を構築
  • 医療系サプライチェーンを強化し、患者の安全性を高めると同時に、品質管理を向上シ、コストを削減
  • データ共有を通じてサプライヤーに対する理解を深めることで、サプライチェーンの回復力を強化
  • 俊敏性の向上と計画決定とトレードオフの迅速化、変更に伴う計画の調整とモニタリング

関連リソース

Oracle Modern Data Platformを使い始める

20以上のAlways Freeクラウド・サービスを30日間の試用版で試す

オラクルは、Autonomous Database、Arm Compute、Storageなどの一部のサービスについて時間制限のない無償枠を設けています。また、その他のクラウド・サービスをお試しいただくために300米ドル分の無償クレジットもご用意しています。詳細をご確認のうえ、今すぐ無料アカウントにご登録ください。

  • Oracle Cloud Free Tierの内容

    • 2つのAutonomous Database、それぞれ20GB
    • AMDおよびArm Compute VM
    • 200GBの合計ブロック・ストレージ
    • 10GBのオブジェクト・ストレージ
    • 10TBのアウトバウンド・データ転送/月
    • 10以上のAlways Freeサービス
    • 300ドルの無料クレジットが30日間提供

段階的なガイダンスで学ぶ

チュートリアルとハンズオン・ラボを介して、幅広いOCIサービスを体験してください。開発者、管理者、アナリストのいずれであっても、OCIの仕組みを把握できるよう支援します。多くのラボは、Oracle Cloud Free TierまたはOracle提供の無料ラボ環境で実行されます。

  • OCIコア・サービスを使い始める

    このワークショップのラボでは、仮想クラウド・ネットワーク(VCN)やコンピュートおよびストレージ・サービスを含むOracle Cloud Infrastructure(OCI)コア・サービスの概要を説明します。

    OCIのコア・サービス・ラボを今すぐ始める
  • Autonomous Databaseのクイック・スタート

    このワークショップでは、Oracle Autonomous Databaseの使用を開始する手順について説明します。

    Autonomous Databaseのクイック・スタート・ラボを今すぐ始める
  • スプレッドシートからアプリを構築

    この演習では、スプレッドシートをOracle Database表にアップロードし、この新しい表に基づいてアプリケーションを作成します。

    このラボを今すぐ始める
  • OCIへのHAアプリケーションのデプロイ

    このラボでは、ロード・バランサを使用して高可用性モードで構成された、Oracle Cloud Infrastructure (OCI)の2つのコンピュート・インスタンスにWebサーバーをデプロイします。

    HAアプリケーション・ラボを今すぐ始める

150以上のベストプラクティス設計の詳細

アーキテクトなどのお客様が、エンタープライズ・アプリケーションからHPCまで、マイクロサービスからデータレイクまで、さまざまなワークロードをどのように導入しているかを参照してください。ベストプラクティスを理解し、当社のBuilt &Deployedシリーズで他のお客様のアーキテクトから話を聞くとともに、「Click to deploy」機能を使用して多くのワークロードをデプロイしたり、GitHubリポジトリから自分でデプロイすることができます。

一般的なアーキテクチャ

  • Apache TomcatとMySQL HeatWave Database Service
  • Oracle Weblogic on KubernetesとJenkins
  • 機械学習(ML)およびAI環境
  • Tomcat on ArmとOracle Autonomous Database
  • ELKスタックによるログ分析
  • OpenFOAMを使用したHPC

OCIのコスト削減効果をご覧ください

Oracle Cloudの価格は、わかりやすく、世界中で一貫性のある低価格であり、さまざまなお客様事例をサポートしています。コストを見積もるには、コスト見積ツールをチェックし、ニーズに応じて、サービスを設定します。

違いを体感してください。

  • 1/4のアウトバウンド帯域幅コスト
  • コンピューティングのコストパフォーマンスが3倍向上
  • すべてのリージョンで同じ低価格
  • 長期的なコミットメントのない低価格

営業へのお問い合わせ

Oracle Cloud Infrastructureの詳細にご関心をお持ちの場合は、当社のエキスパートにお問い合わせください。

  • 次のような質問に回答します。

    • OCIで最適に動作するワークロードは何ですか?
    • オラクルへの投資全体を最大限に活用するには、どうすればよいですか?
    • OCIは、他のクラウド・コンピューティング・プロバイダーと比較して、どうですか?
    • OCIはIaaSPaaSの目標をどのようにサポートできますか?