カスタマ・ケア、需要サイド管理 | 2018年9月24日

Robert Metcalfe

ナッジは互いに押し出し合うか?

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計画されたものであれ、偶然のものであれ、ナッジ(特定の選択肢に誘導させるもの)は私たちの周りに数々あります。私たちの行動は、これらの情報および環境的変化で決まります。これらは、経済的な誘因を変えずに、私たちの行動に影響を与えます。顧客がオプトインからオプトアウトに決定を変えたり、顧客の決定が友人や一般に公開されることを顧客に通知する場合を考えてみます。ナッジを単独で検証するとその効果が認められても、現代の慌ただしい状況では一部のナッジが押し出されて行動に影響を与えない場合もあります。これは、効果的な行動的介入を計画する上で深刻な問題です。複数のナッジを使用する効果が、単独で使用する効果の合計より低い場合は、単独でナッジを使用する効果が誇張されている可能性があります。

従来の調査は、この問題の性質や程度を説明するのにほとんど役に立ちません。社会心理学の調査では、調査員が対象者に何かをやってほしいと事前に頼むと、対象者が社会性のある行動をとる傾向が高くなり、そうでない場合は傾向が低くなることがわかっています。どのように影響するか、その方向性はあいまいです。別の調査では、今日社会性のある行動をとることは、明日利己的な決定をするかどうかに多かれ少なかれ影響を与える可能性があることを示しています。効果的な一連のナッジを選択しようとする政策立案者にとって、「そうかもしれないし、そうでないかもしれない」という回答はほとんど役に立ちません。

全米科学アカデミー紀要に掲載された新しい論文で、共著者と私は、社会的ナッジ — 同調願望など個人の社会的本能に訴えるもの — をすでに受け取った人が別の(しかし関連はある)社会的ナッジを受け取った場合に、その効果が低下するかどうかを調査しました。2つのナッジを単独で使用した場合の効果と、組み合せて使用した場合の効果を比較すると、押し出し現象が起きるかどうかを調べることができます。

2014年夏、Opower (現在のOracle Utilities)を使用して南カリフォルニアで大規模な現場実験を実施しました。電力網の負荷がピークになるとき、政策立案者は通常、需要の低下を望みます。一般的に、1日を通して、または数日にわたり卸売価格と再販価格は異なるため、電力消費が別の時間帯にシフトすると、排出量を大きく減らすことができ、社会福祉に寄与できます。第1のナッジは「ピーク時エネルギー・レポート」(PER)で、ピーク時の世帯の電力消費量をターゲットにしています。第2のナッジは「家庭用エネルギー・レポート」(HER)で、世帯の総電力消費量をターゲットにしています。

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調査は、3日間のピーク日に実施されました。42,100世帯を次のいずれかにランダムに割り当てました。

  • 管理グループ(通知を一切受けない)
  • HERのみのグループ
  • PERのみのグループ
  • HER + PERグループ
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私たちは、時間別世帯電力消費量の観測結果を3,000万件収集しました。

押し出し現象を評価するために、ピーク時に両方の社会的ナッジを受け取った効果と、HERナッジとPERナッジを単独で受け取った効果の合計を比較しました。両方を組み合せた場合の効果が、単独の場合の効果の合計より低い場合、今後、1つの社会的ナッジが別の同類ナッジを押し出すことになります。

調査の結果、PERを受け取るとピーク時に電力消費量が3.8%削減され、HERを受け取ると2.1%削減されました。2つの社会的ナッジを組み合せて受け取ると、世帯の電力消費量が6.8%削減されました。つまり、世帯がすでにHERを受け取っていてもPERの効果は押し出されず、2つのナッジが完全に加算的であることが示されました。次のグラフは、1日を通した各グループの影響を示していますが、重要なのは負荷がピークになる時間帯(午後1時から6時)です。HER + PERグループ(赤線)の処理効果は、PER (青線)とHER (グレー線)グループの処理効果が加算されたものであることが明確です。

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これらの効果を総体的に見ると、負荷がピークになる時間に需要が7%削減されると、電気料金が約70%増加することになります。需要がピークになる時間帯に人々は価格弾力性がないため、このナッジは社会的効率の向上に役立ちます。

この結果はすべての地域や産業に該当しないかもしれませんが、電力市場で複数の政策目標を達成するためにナッジが有効であることを示す最初の証拠になります。この分野でのさらなる調査が不可欠です。ナッジと行動的介入が単独で発生することはほとんどなく、これらをどのように組み合せるかを把握することが必須です。

このブログは最初にMediumに掲載されました。著者の許可を得てここに再掲します。

詳細については、Oracle Utilities をクリックしてください

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