Oracleエンタープライズ・サーバー

A Silicon Expression of Strategy

オラクルの戦略を具現化したSPARC M7プロセッサ

John Soat著

 

オラクルのシステム担当エグゼクティブ・バイス・プレジデントであるジョン・ファウラー氏は、サンフランシスコで開催されたOracle OpenWorld 2015で、同社の最新マイクロプロセッサ(SPARC M7)をベースにした新しいサーバーを紹介しました。SPARC M7は、2010年のSun Microsystems買収以来、オラクルがリリースした6番目のSPARCマイクロプロセッサです。この新しいプロセッサは、オラクルにとってエンジニアリング上の分岐点となるものであり、「Software in Silicon」と呼ばれる手法を使用して、セキュリティ機能とパフォーマンス機能をチップに直接組み込んだ製品です。

ファウラー氏は、SPARC M7の開発に至るまでのエンジニアリング作業や、この新しいプロセッサがテクノロジー市場にもたらすであろう影響について語りました。

 

ジョン・ファウラー氏

Q: 新しいSPARC M7プロセッサには、オラクルの全体的なテクノロジー戦略がどのように反映されているのですか?

ファウラー氏: 「オラクルがSunを買収したのは5年半ほど前のことですが、当時は、その目的や意図が一般にはあまり理解されていませんでした。しかしその後、数々のエンジニアド・システムやイノベーションを提供してきた結果、我々がハードウェアとソフトウェアを組み合わせ、連携してエンジニアリングされた統合性の高い製品を提供していることの価値が、ようやく理解されるようになりました。

SPARC M7のすばらしさは、その全体的なコンセプトがシリコン・レベルで実装されている点にあります。我々は、ソフトウェアとハードウェアのエンジニアが連携して作業できるという利点を活かして、エンタープライズ・アプリケーションに役立つ機能をマイクロプロセッサ自体に組み込みました。

このことに、我々自身大変興奮しています。この種の開発作業には、きわめて大規模な予算と開発期間が伴いますが、オラクルには、このプロジェクトを実行できるだけの経済力と知的資産があります。

我々にとって、SPARC M7は単なる製品ではありません。オラクルの戦略を具現化したプロセッサだと考えています。」

Q:「Software in Silicon」という手法はどのような経緯で採用されたのですか?

ファウラー氏: 「我々はハードウェアとソフトウェアの共同設計チームから数百ものアイデアを集め、その中から特に面白いアイデアを選び出しました。そしてシミュレーション・モデルを記述し、特に有望なアイデアに適用するモデルを設計しました。その後、シミュレートしたプロセッサ内にモデルをコーディングし、モデルに対して実際のベンチマークを実行して、モデルが想定どおりに機能するかどうかを確認しました。

つまり、SPARC M7は単にいくつかのアイデアを反映した製品ではなく、厳密な管理体制の下でアイデアを検証しながら、エンジニアリング主導のアクティビティとシミュレーション・モデリングを通じて開発された、完成度の高い製品なのです。この開発は我々にとって非常にエキサイティングな体験でした。」

Q: マイクロプロセッサ開発の観点から見て、この製品はイノベーションと呼べるものですか?

ファウラー氏: 「これについては、マイクロプロセッサの歴史を振り返ってご説明します。約20年前、64ビット・プロセッサが登場し、まったく新しい世代のソフトウェアが利用可能になりました。また10年前には、マルチコアおよびマルチスレッド・プロセッサが登場しました。これにより、パフォーマンス追求のあり方は劇的に変わり、以来、我々はコアとスレッドの性能を着実に高めてきました。

これからの10年間は、ソフトウェア機能をチップに組み込むことで性能を追求していく時代になると私は考えます。SPARC M7は、この手法を活用した最初の製品です。我々はその先駆者になったことを嬉しく思っています。」

Focus on Oracle Cloud Platform

「我々にとって、SPARC M7は単なる製品ではありません。オラクルの戦略を具現化したプロセッサだと考えています。」

—オラクル システム担当エグゼクティブ・バイス・プレジデント ジョン・ファウラー氏

Q: SPARC M7がエンタープライズ・コンピューティングにもたらすもっとも大きなメリットはどのような点ですか?

ファウラー氏: 「我々は3つの基本領域を対象に開発を行いました。その1つ目の領域がセキュリティです。これについては、2つの重要な要素がありました。

1つ目の要素は、超高速の暗号化です。この機能をチップに実装する取り組みは以前から行ってきましたが、SPARC M7でこれをさらに改善しました。きわめて高パフォーマンスの暗号化機能をチップに組み込むことで、暗号化を高速化するだけでなく、他のプロジェクトに回せるプロセッサ・リソースを大幅に増やすことができました。これは非常に重要なポイントです。通常、ソフトウェアのみの暗号化スキーマでは、チップの処理リソースがすべて消費されてしまうからです。

暗号化はエンタープライズ・コンピューティングの基盤を成す機能なので、この技術はもっと以前から開発するべきだったと思っています。どの企業でも、データセンターは完全に暗号化された環境で稼働する必要があります。暗号化なしでの運営は考えられません。このことは、これらかのクラウドについても同様です。ディスクでも、ネットワークでも、ラップトップでも、またバックエンドのデータセンターやテープ・ドライブにおいても、すべてのデータに暗号化が要求されます。それを可能にする初めてのプロセッサが、SPARC M7なのです。」

Q: セキュリティについては、他にどのような重要要素があったのですか?

ファウラー氏: 「セキュリティに関する2つ目の要素は、「Silicon Secured Memory」によるメモリ保護を実現することでした。当初、メモリ保護の機能はソフトウェア・チームが担当していました。ソフトウェア・チームでは、大規模なインメモリ・データストアを開発しており、それらを破損トラブルから保護するための機能を必要としていたからです。

しかしその後、この機能をより汎用的な機能としてプロセッサに実装し、すべてのアプリケーションに利用できるようにすることで、セキュリティ侵害をより幅広く防止できるという考えに至ったのです。たとえば、ハートブリードはプログラミングに起因する脆弱性で、ブランド化されたことでも有名ですが、オラクルのハードウェア・メモリなら、この種のエラーにも対応できます。」

Q: チップに組み込む機能を決定するうえで、どのようなことを考慮しましたか?

ファウラー氏: 「データベース・チームが重視したのは、データベースのパフォーマンスだけではなく、その効率性も改善するということです。これは、すべてをインメモリ・コンピューティングに移行するという我々のビジョンに基づくものです。ハードウェアの世界で近年フラッシュに注目が集まっていることは私も知っていますが、率直に言って、私はこれにはそれほど興味をそそられません。フラッシュは、すべてがインメモリに移行されるまでの中継点にすぎないからです。

我々は、データベースをプロセッサと統合するという観点から、緊密に関連する2つの機能に着手しました。まず最初に取り組んだのが、SQL処理の2つの部分です。大規模メモリをスキャンして特定の文字列を検索する処理と、行のフィルタリングや結合を支援する処理です。これらは非常に低いレベルのデータベース操作ですが、我々はこれらをシリコン内のコプロセッサにカプセル化しました。

これにより、非常に高度な処理を行う際に、きわめて高いパフォーマンスを提供できるようになります。また、これらの操作は通常、ソフトウェアのみで実行すると非常に時間のかかる処理なので、効率性の改善にもつながります。データベースの有効性をプロセッサ上で高めることができるのです。

以上が、今回特に重視したポイントです。チップ設計にカプセル化できるシンプルな処理でありながら、お客様に大きなメリットを提供できるのはどの機能かを検討したのです。データベースとチップの両方を自社開発できるオラクルだからこそ、データベースの機能を詳細に分析し、どの機能がチップにもっとも適しているかを判断できたのです。」

Q: その他の組み込み機能で、パフォーマンスに大きく寄与するものはありますか?

ファウラー氏: 「クエリの高速化に寄与する高度な機能として、メモリの圧縮解凍があります。これは、少しわかりにくいのですが、データを圧縮解凍するためのシリコン・アクセラレータを、先ほど述べたSQL関連の機能と連携させるというものです。これにより、2テラバイトを超えるような大規模なデータベースでも、すべてのデータをインメモリで保持し、ディスク上での通常サイズの8分の1や10分の1にサイズを抑えながら、フル・パフォーマンスで稼働させることが可能になります。

これら2つの機能を連携して機能させ、データベース処理をコアからオフロードすることで、効率性が高まり、処理が高速化されます。またデータベース全体をより小規模なメモリに収容できるので、お客様はシステムのコストを抑え、より重大な問題に対処できるようになります。

これらの機能は、SPARC M7の性能をセキュリティとデータベースの面から支える最初の2本柱となっており、従来のプロセッサにはない大きなメリットを提供します。」

Q: それでは、3つ目の柱は何ですか?

ファウラー氏: 「最後の柱は、世界最速の商用マイクロプロセッサを提供するということです。これは以前から、プロセッサ・エンジニアリングにおけるオラクルのモットーでもあります。Oracleアプリケーションを使用しているかどうかにかかわらず、処理性能を高めたいお客様や、マシンの数を減らして環境をシンプル化したいお客様のために、オラクルは世界最速の商用マイクロプロセッサを提供したかったのです。

SPARC M7は、32コア、256スレッドを備えた世界初のサーバー・チップです。メモリ帯域幅、総合的パフォーマンス、ベンチマークのいずれで測定しても、世界最速の商用プロセッサとなっています。

我々にとって、このことはSPARC M7の全体的なコンセプトの帰結点とも言えます。セキュリティの向上やデータベース性能の改善によるメリットを抜きに評価しても、市場最速のプロセッサであることが重要なのです。」

Q: SPARC M7を使用したサーバーがリリースされた今、特にどのようなことにわくわくしていますか?

 

ファウラー氏: 「エンジニアたちが楽しみにしていることの1つは、これらの製品がお客様が実際に使用されている様子を見ることです。Silicon Secured Memory、新しい暗号化テクノロジー、データベース高速化、メモリ圧縮など、きわめてリッチな機能が様々なお客様によって活用されるのを、心から楽しみにしています。」


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