グリッド・エッジの課題をチャンスに変える: Oracle Utilities Digital Asset Managementの力

プロダクト・マネジメント担当ディレクター、Rahul Desai

シニア・プリンシパル・プロダクト・マネージャー、Kyle Harding

公益事業業界では、最新のデジタル・パワーと情報通信テクノロジーの採用を通じて、大規模な変革が起きています。この変革は、分散型エネルギー資源(DER)の急増と、顧客側資産と公益事業資産の両方の自動リモート監視および管理を実現する新しいスマート・グリッド・インフラストラクチャの出現によって推進されています。これらのデジタル・テクノロジーを公益事業業界に統合することで、数多くのメリットがもたらされます。第一に、公益事業者はエネルギー効率を改善することで、コストを削減し、温室効果ガス排出量を減らすと同時に、より信頼性の高いエネルギー供給を実現できます。第二に、エネルギー使用量をリモートで監視および管理できることは、公益事業者が、変化するエネルギー需要に適切に対応し、グリッド全体の安定性を向上させるのに役立ちます。これは最終的に、すべての人にとって、より効率的でサステナブルなエネルギーの未来につながります。

Guidehouse1は、北米のDER容量が2022年の40 GWから2031年の146 GWに増加し、住宅・商業施設部門がその増加の約80%を占めると推定しています。

ただし、これらの異なる資源の管理は、特に大規模で多種多様なポートフォリオを扱う場合、複雑で時間がかかる可能性があります。そのような課題の1つは、これらの新しいデジタル技術によって生成される膨大な量のデータを処理できる、安全で信頼性の高い通信インフラストラクチャが必要になることです。さらに、公益事業者は、顧客データのプライバシーとセキュリティを保護し、システムが既存の規制や基準に準拠していることを確認することも必要です。

増加するDERを効果的に管理するには、一元化された資産管理システムが必要です。このシステムには、大量のデータ・デバイスをサポートし、総合的に最適化された資産戦略にDERを統合するように特別に設計された資産レジストリを含める必要があります。DERの統合は単なる運用上の問題ではなく顧客に関する問題になりつつあるため、このプロセスでは、顧客中心の考え方が重要です。従来サイロ化されていた公益事業の職務は、より協調的になり、新しい責任を引き受ける必要があります。従来、公益事業所有のT&D資産を管理する役割を担ってきた資産マネージャーは、ビハインド・ザ・メーター資産の管理とサポートを受け入れる必要があります。カスタマーサービス・マネージャーは、提供されるさまざまなプログラムへの顧客登録を調整したり、顧客の自宅におけるデバイスの設置とサポートを調整したりする必要があります。ネットワーク・オペレーターは、新しいツールを自分の裁量で活用して、需給を調整する必要があります。

このような状況では、ハードウェアに依存しない統合プラットフォームが大きな効果を発揮する可能性があります。公益事業者は、すべてのDERとプログラムを1か所にまとめることで、業務を合理化し、エネルギー・システムをリアルタイムかつ大規模に最適化できます。

顧客対応の一例としては、公益事業者が需要対応プログラムを作成して、顧客とそのデバイスをそれらのプログラムに登録し、決められた経済的な事象が発生した際に顧客デバイスを制御することで需要と供給のバランスをとり、プログラムに参加した顧客に報酬を与える機能が考えられます。

「世界のエネルギーと水の課題に対処するために最適なソリューション・セットを提供する」というOracle Energy and Waterのミッションに沿って、当社はシームレスな機能を提供するOracle Utilities Digital Asset Cloud Serviceという新しいクラウド・サービスを開始しました。

Oracle Utilities Digital Asset Cloud Service(DACS)には、次の機能があります。

  • プログラムを作成し管理する
  • デバイス在庫レベルや再発注ポイントの追跡、実地棚卸の実行など、DACS関連デバイスについての在庫機能を有効にする
  • デバイス関連のすべてのバージョン情報、属性およびドキュメントを取得する
  • 顧客とそのデバイスをプログラムに登録する
  • プログラム関連デバイスの設置/交換/撤去のアクティビティをスケジュールする
  • プログラム・イベントへの顧客およびデバイスの参加を追跡する
  • プログラムやイベントへの参加に対して顧客に報酬を与える

プログラムの作成と管理

プログラム・マネージャーに、どの顧客がどのプログラムを利用できるかを決定する基準、プログラムに関連するデバイス、および顧客を登録するために満たす必要がある登録適格性に関する質問を定義する機能を提供します。プログラム・イベントが開始されたときにどのデバイスが参加に適格かを識別するプログラム・ルールも、プログラム・レコードに関連付けられます。



顧客とそのデバイスの登録

DACS顧客ポータル

カスタマーサービス担当は、顧客が登録されているプログラム、および顧客が適格である他のプログラムを表示できます。登録は、このポータルから開始します。このポータルには、顧客のプログラムおよび関連するイベント・アクティビティの時系列タイムラインも表示されます。



プログラム登録プロセス・フロー

構成可能で繰返し可能な登録プロセス・フローを通じて、登録インタラクション中にカスタマーサービス担当者と顧客との間のインタラクションが促進されます。



プログラム・ダッシュボード

プログラム・マネージャーは、主要なプログラム指標を監視して、データに基づく意思決定を促進し、プログラムを成功に導くことができます。


詳細については、Oracle Utilities Digital Asset Cloud Serviceを参照してください。

分散型エネルギー資源(DER)の拡大は、資産管理の変革につながっています。公益事業者が導入する高度なシステムは、より複雑になり、大規模化しているため、監視とメンテナンスに対する革新的なアプローチが必要です。

ハードウェアに依存しない統合資産プラットフォームは、公益事業者がDERとプログラムをより効果的に管理するための強力なツールです。リアルタイムの監視と制御、可視性の向上、スケーラビリティ、効率化により、公益事業者はエネルギー・システムを最適化し、システムが常に最適な状態で稼働していることを確認できます。


1出典: Guidehouse「Analyst Insight DER Year in Review, Global Deployment Insights」、2022年第1四半期