会計および財務管理のためのERP

Natalie Gagliordi|コンテンツ・ストラテジスト| 2024年8月14日

エンタープライズ・リソース・プランニング(ERP)ソフトウェアは、企業が財務部門だけでなく、ビジネス全体を管理することを支援するために連携するアプリケーション・スイートです。しかし、会計と財務管理は、すべてのERPシステムの主要要素です。企業は、ERPの財務管理を利用して、請求書の送付、現金支払いの収集、税金の計算など、ルーチン・タスクでありながら必須のタスクを効率的に実行するとともに、財務データを独創的な方法で分析および適用し、マネージャーによる戦略的な投資意思決定と組織の成功に向けた計画を支援します。

ERPにおける会計および財務とは

RPシステムの会計・財務モジュールEは、財務チームに組織の財務面を一元管理するために必要な機能を提供します。これらのツールには、レポート、買掛金と経費、売掛金と資金管理、収益認識などの標準的な会計機能が含まれています。ERPは、予算編成、予測、注文処理などの高度な機能も提供できます。

主なポイント

  • ERPソフトウェアは、会計の基本を超えて、ビジネスと財務管理のあらゆる側面をカバーし、ビジネスのあらゆる分野を結びつけることを支援します。
  • ERPソフトウェアは、会計の基本を超えて、ビジネスと財務管理のあらゆる側面をカバーし、ビジネスのあらゆる分野を結びつけることを支援します。
  • ビジネス・ソフトウェアが全社のデータをまとめることで、会計および財務チームがより深く、より適切なモニタリングと財務実績の分析を実行できるよう支援します。

財務会計におけるERPの説明

ERPシステム内の財務会計機能は、総勘定元帳の管理、キャッシュ・フローの追跡、売掛金・買掛金の管理、経費や請求書の処理などの機能を提供し、標準的な会計ソフトウェアで利用可能な内容を含んでいます。会計と財務にERPシステムを使用する主な利点の1つは、さまざまなソースからデータを収集および統合し、レポート、分析、およびその他の主要な財務業務で使用するために一元的に保存する機能です。この統合ビューにより、ERPの財務会計機能は、戦略計画や予算編成、投資の意思決定のために、事業部門間のコラボレーションのためのデータ基盤を提供することができます。

財務会計におけるERPの重要性

財務会計にとってのERPgの重要性を考える際には、「自動化」と「分析」という2つの幅広い分野を考慮します。ERPは、請求書の照合、収益認識の計算、勘定科目の照合など、日常的ながら重要なタスクの自動化を実現します。この自動化の要素は、AIや機械学習によってサポートされることがますます増えています。こうした自動化により、財務会計担当者は、ビジネスをガイドし、重要な意思決定を支援する分析、計画、予測に必要な時間を確保できます。

ERPは、財務会計チームが分析や計画を実行し、その結果を有意義で実用的な方法で共有するために必要なデータと機能を提供します。たとえば、ERPシステムは、顧客が誰であるか、何の支払い義務があるか、どのくらいの頻度で購入を行うかを整理できるように支援することができます。販売およびサプライチェーンシステムと統合され、インテリジェントに運用を管理します。財務および全社にわたり、最新の情報に基づいて予測と予算策定を行うチームを支援することができます。全体として、ERPシステムは、会計および財務チームがスプレッドシート上で数字を合計するだけよりもはるかに効果的に組織を管理できるよう支援します。

財務会計におけるERPのメリット

財務会計チームは、資金配分およびキャッシュ・フロー管理、財務モニタリング、レポート、監査、予算編成および予測などの主要な機能において主要な役割を担っています。財務会計チームが効果的なERPシステムから得られるメリットは、最終的に作業を迅速化し、意思決定者により適切なデータを提供し、分析とレポートにより強い確信が持つことができる要支援することです。

  • 自動化: ERPシステムによるプロセスの自動化は、日常業務における人手不足を解消し、ヒューマンエラーのリスクを軽減することで、ビジネスの運用効率化を支援します。たとえば、経費の評価プロセスでは、特定の閾値以上の経費が発生した場合、下位マネージャーによる評価や承認を待たずに、承認権限を持つエグゼクティブに自動的にルーティングすることができます。請求書や経費が入力されるとすぐに、ERPシステムはその承認権限者を検出することができ、より効率的な運用を支援します。
  • リアルタイム・データ: 最新の情報を入手することで、組織の全体像に基づいたビジネスの意思決定が可能になります。ERPシステムは、部門をまたぎ継続的にデータを収集し、ダッシュボードやその他のデータ可視化ツールを通じてそのデータへのアクセスを容易にすることで、特にビジネス状況の変化が激しいときに、企業全体としてより優れた運営を支援することができます。たとえば、ERPシステムはリアルタイムの統合データを活用し、売上、顧客支払、生産、投入コストなど全体にわたり、キャッシュフローを圧迫する可能性のある問題を特定し、継続的なキャッシュフロー予測を行うことができます。
  • レポートのスピードと正確性:財務会計チームの責任の多くはレポートに関係しています。企業の新しい資産の購入や除却に伴い、会計士が追跡する必要のある貸借対照表の重要な構成要素である固定資産を例にとって考えてみましょう。ERPシステムを使用すると、部門レベルのマネージャーが新しい資産に関する情報をシステムに追加することができます。財務会計はその変更をすぐに確認し、レポートが自動的に更新されます。もうひとつの例は、月末や四半期末の決算処理です。ERPシステムの自動化と機能の使用により、財務会計チームは決算処理を迅速に行うことができ、エグゼクティブや事業部門のリーダーに重要な情報をいち早く提供し、企業全体のアナリストが改善点を評価するための時間をより多く確保することができます。
  • 予測と分析: ERPシステムが給与計算、購買、買掛金、売掛金、販売などの分野を統合することで、すべての情報をまとめてレポートを作成し、ビジネスが迅速な対応と長期計画のために利用する予測と分析を行うことができます。そのデータの全体像は、より詳細なシナリオ・プランニングと差異分析もサポートし、リーダーが財務目標を戦略目標と一致させられるよう支援します。ITチームが個々のシステムから手作業でデータを収集しなければならない場合、必要な情報が膨大になることから大掛かりな取り組みとなり、データがすぐに陳腐化するため、正確な予測を行うことが難しくなります。リアルタイム・データを活用し、組織のさまざまな部分からの情報にアクセスできるERPシステムは、予測を簡素化および改善し、ビジネスが目標を達成する可能性を高めます。

会計および財務向けの主要なERPモジュール

ERPソフトウェアはモジュール化されているため、企業はさまざまなビジネス分野のニーズに特化した一口サイズの機能を追加することができます。財務会計では、財務プロセスの管理、コンプライアンス要件への対応、予測と予算編成、エグゼクティブやステークホルダーへの正確な財務レポートの提供などを支援するERPモジュールが中心となっています。

  • 会計: 効果的なERPシステムは、全社的な会計プラットフォームとして機能し、異なる取引システムと外部ソースシステムからの財務データを統合し、法定、企業、規制、および管理レポートのニーズを満たす詳細な会計項目を作成します。財務会計チームは、ERPシステム内の会計ツールを使用して、すべての財務取引を記録および統合する会計システムの主要コンポーネントである総勘定元帳を実行し、損益計算書や貸借対照表などの財務報告を作成するための基礎を提供します。元帳と補助元帳のデータは、ビジネスの分析インサイトを生成するために使用することができ、意思決定者が運用結果をより深く把握できるようにします。
  • 買掛金と経費:財務会計チームは、ERPの買掛金(AP)モジュールを使用して、サプライヤーとベンダーへの支払を自動化および管理し、それを一部使用して、請求書の入力や照合などの手作業を排除します。ERPにより、財務チームは通常、買掛金残高日数(DPO)を用いて測定される買掛金について、より高度な資金管理を実現できます。通常、DPOは高いほうがキャッシュを長く保有できるため優れており、ERPシステムはチームが支払いを滞らせることなく最適なDPOで実行できるよう支援することが可能です。財務チームはERPを利用して、企業が資金不足のリスクを負うことなくサプライヤーに早期支払いを行い、早期支払いの割引を請求するタイミングをERPにおけるAIモデルが推奨するダイナミック・ディスカウントなどの戦略をサポートすることもできます。
  • 売掛金: ERPシステムの売掛金(AR)コンポーネントは、支払義務のある請求書と顧客からの入金を処理します。このシステムは、財務チームによる支払いの記録、請求書の送付、請求書からのデータの統合、顧客からの支払いと未払い残高の照合と追跡を支援します。財務部門は流動性のバロメーターとして売掛金に細心の注意を払い、支払いが期日通りに行われ、顧客に適切な支払い条件と信用を与え、ビジネスが健全なキャッシュフローを維持していることを確認しています。ERPシステムは、顧客請求書の作成、支払い督促の送信、支払い収集など、売掛金管理業務の多くを自動化することを支援し、データ入力および支払い処理を手作業で行う必要性を低減するとともに、資金残高や予測などのリアルタイムの財務可視性を上昇させることができます。このシステムは、売掛債権回転日数(DSO)などの売掛金KPIに関するレポートとダッシュボードを提供することができます。
  • 固定資産管理: 固定資産とは、企業がビジネスを運営するために長期的に使用するために所有する、製造機器、オフィスビル、家具、車両、コンピューター、その他の機器などの物理的なものを指します。ERPシステム内の固定資産管理モジュールは、資産の減価償却、廃棄、メンテナンスを計算することにより、ビジネスが取得から除却までの資産ライフサイクルを管理し、コスト削減機会を発見できるよう支援します。また、ERPシステムは、使用権資産やリースの耐用年数中にASC 842やIFRS 16のリース会計基準に対応するなど、複雑なリース会計を管理し、これらのリースと負債の貸借対照表上での適切な資産計上を確保することができます。
  • 資金管理: キャッシュフローと流動性の予測と最適化は、財務会計チームにとって最も重要な機能の1つです。ERPシステムは、総勘定元帳、買掛金、売掛金、給与計算などの分野からのデータを統合することで、資金管理プロセスを最適化し、キャッシュの流入と流出を直接可視化し、コア業務の運営に必要な資金を常に確保できるように支援します。ERPシステムの資金管理機能は、財務チームによる銀行照合の追跡、資金出納の管理、資金予測の作成など、資金サイクルのモニターと管理を支援します。
  • 財務報告:財務報告は、ビジネスの健全性とパフォーマンスを社内のリーダーや社外のステークホルダーに伝えるために使用されるもので、財務管理の重要な要素およびERPシステムからの標準的な出力となります。一般的な財務会計チームは、損益計算書、貸借対照表、キャッシュフロー計算書などの財務レポートを四半期ごと、また多くの場合は月ごとに作成するほか、詳細な財務分析とアドホックな財務分析のためのカスタム・レポートを作成します。ERPシステムはこのプロセスを大幅に改善し、財務データの収集と処理を自動化することで、エラーを削減し、財務報告の正確性と一貫性の確保を支援することが可能です。また、ERPシステムの資金管理機能は、財務チームによる銀行照合の追跡、資金出納の管理、資金予測の作成など、資金サイクルのモニターと管理を支援します。たとえば、高度なERPシステムでは、AIをレポート・プロセスに導入することで、運用データや取引データ内の異常の特定を支援することができます。
  • 予算編成と予測: ERPシステムの予算編成と予測モジュールは、財務チームによる予算の作成、管理、分析を支援し、ビジネスの財務計画と分析サイクルの基礎となります。ERPモジュールを使用して作成される予算には、財務チームが予算との差異を把握するために追跡できる、今後の期間の収益と支出目標などの詳細な財務計画が含まれます。予測もERPツールを使って行われ、売上と経費の履歴データと新しい製品および投資計画、経済見通しを組み合わせます。ERPシステムの予算編成および予測は、シナリオ・プランニングと差異分析のツールにより、ビジネス・ゴールと戦略目標を連携させ、目標が達成に向かっているかを追跡できるよう支援します。予算編成と予測モジュールは、財務チームが掘り下げて予算と予測の内容と実績を比較し、必要に応じて軌道修正を決定する部分でもあります。
  • コンプライアンスと監査管理: コンプライアンスと監査管理に焦点を当てたERP機能は、ビジネスが会計基準、規制、社内ポリシーのコンプライアンスを維持できるよう支援します。財務チームは社内外のコンプライアンス監査を実施し、組織の規制コンプライアンス・プロセスの弱点を特定し、コンプライアンス基準を日々の運用とワークフローに組み込むことで、リスクの低減とコンプライアンス違反による法的トラブルや罰金の回避を目指しています。ERPシステムは、職務分離コントロールの違反を防ぐためにシステムへのアクセス要求を自動的にチェックすることで、この取り組みを支援できます。また、ERPシステムは、コンプライアンス・レビューに必要なレポートや監査証跡も提供します。

Oracle ERPによる受け身の財務から戦略的な財務への移行

会計および財務機能内でERPソフトウェアを使用することは、ビジネス全体にメリットをもたらし、意思決定と効率の向上のために財務サイドと業務を連携させることができます。ERPシステムは、ビジネスのあらゆる部分にまたがる共通のデータ・ソースを確立し、現在の部門データを財務会計チームと共有することで、予算編成、予測、レポート、調達、プロジェクト管理、ガバナンス、リスク、コンプライアンスに関する正確性と効率化を向上させ、企業の業務改善を支援します。

Oracle Fusion Cloud Enterprise Resource Planning (ERP)は、財務会計プロセスの自動化、業務効率の向上、市場の変化に対応し成長を推進するための分析を支援する数多くの統合機能を備えています。Oracle Fusion Cloud ERPは、統合アプリケーションの包括的なスイートであるため、各部門にわたるスムーズなデータの流れと容易なコラボレーションを実現し、可視性と意思決定を向上させます。Oracle Fusion Cloud ERPに組み込まれた分析とレポート機能により、主要評価指標をリアルタイムで可視化できるため、組織は財務実績をモニタリングして傾向を把握し、十分な情報に基づく意思決定を迅速に行うことができます。インタラクティブなダッシュボード、カスタマイズ可能なレポート、および予測分析が、応答性の推進を支援し、組み込みのコンプライアンス機能により、企業は規制要件、業界標準、およびベストプラクティスを常に把握することができます。

財務会計のERPに関するFAQ

ERPが財務管理に影響を与える仕組みを教えてください。
ERPソフトウェアは、企業による財務会計機能の効率、精度、可視性の向上を支援し、財務目標の達成と持続可能な成長を推進する取り組みをサポートします。

会計および財務のERPコンポーネントが実行できる活動を教えてください。
ERPシステムの会計および財務コンポーネントは、総勘定元帳、買掛金および売掛金、資金管理、予算編成および予測、レポート、コスト会計などの機能の管理に関する活動を実行します。

会計担当者はERPシステムを使用していますか。
ERPシステムは監査と財務管理に必須な機能を数多く提供しているため、さまざまな業界の会計士が一般的に日常業務で使用しています。

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