業界をリードするエンタープライズ・リソース・プランニング(ERP)クラウド・ソリューションが、ビジネス・プロセスやアプリケーションの統合管理として機能して、回復力とリアルタイムの敏捷性を獲得し、成長のために態勢を整える様子をご確認ください。
エンタープライズ・リソース・プランニング(ERP)は、会計、調達、プロジェクト管理、危機管理とコンプライアンス、サプライチェーンの業務のような、日々のビジネス活動を管理するために組織が使用するソフトウェアのタイプを指します。完全なERPスイートには、経営管理ソリューション(EPM)と、組織の財務結果に関するプランニング、予算編成、予測、レポートに役立つソフトウェアも含まれています。
ERPシステムは、多数の業務プロセスを結び付け、このようなプロセス間のデータの流れを実現します。ERPシステムは、複数のソースから組織で共有しているトランザクション・データを収集して、データの重複を排除し、単一の信頼できるソースを使用した形で、統合データを提供します。
今日、すべての規模のすべての業界で繰り広げられる何千ものビジネスを管理するためには、ERPシステムが非常に重要となります。このような企業にとってERPは、いわゆる電力供給と同様に必要不可欠なものと言えます。
このようなソリューションによって、会計、財務、調達、プロジェクト管理、サプライチェーン、製造など、組織の日常業務をどのように管理できるのでしょうか。
エンタープライズ・リソース・プランニング・システムは、オンプレミスまたはクラウドによって、生産や流通のビジネスのあらゆる側面を管理できる、包括的な統合プラットフォームです。さらに、ERPシステムは、財務管理や人事、サプライチェーン管理、製造のあらゆるの面を主要な会計機能でサポートします。
またERPシステムは、生産やロジスティクス、財務のあらゆる面をトラッキングすることにより、業務プロセスにおける高い透明性を提供します。これらの統合システムは、エンド・ツー・エンドのワークフローとデータのビジネスの中核として機能し、さまざまな部門がアクセスすることができます。
ERPシステムとソフトウェアは、業界向けのカスタマイズを含めて、規模を問わず、エンタープライズ、中規模、または中小企業全体に対して、複数の機能をサポートしています。
「財務」という言葉は、ERPソフトウェアを説明する際によく使用されますが、財務とERPは同じではありません。財務は、ERP内のモジュールのサブセットを指します。
財務は、組織の財務部門に関連するビジネス機能であり、財務会計、補助元帳会計、会計ハブ、買掛金と売掛金、収益管理、請求、交付金、経費管理、プロジェクト管理、資産管理、ジョイントベンチャー会計、および集金のモジュールが含まれます。
財務ソフトウェアは、レポート機能および分析機能を使用して、国際会計標準(IFRS)、米国の一般会計原則(GAAP)のための財務会計基準審議会(FASB)やその他の国(ドイツではHGB、フランスではPCGなど)の管理機関のレポート要件に準拠します。
公共団体の場合、財務ソフトウェアは、米国証券取引委員会(SEC)(四半期10-Q、年10-Kなどのレポート)、欧州証券市場監督局(ESMA)など、規制当局に提出する定期的な財務諸表を生成できる必要があります。このようなタイプの財務レポートには、ナラティブ・レポート・ツールが使用されます。最終的に財務関連の責任を負うのは、CFOです。
財務ではビジネスの1つの領域を処理しますが、ERPには財務を含む幅広いビジネス・プロセスが含まれます。ERPソフトウェアには、調達、サプライチェーン管理、在庫、製造、保守、販売管理、プロジェクト管理、ロジスティクス、製品ライフサイクル管理、リスク管理、経営管理ソリューション(EPM)、人事/人材管理などの機能が含まれます。
ERP はまた、顧客関係管理(CRM )ソリューションなどのフロントオフィスのアプリケーションと統合できます。これにより、顧客の全体像を把握することができます。クラウドベースのERPアプリケーションは、多くの場合、Internet of Things(IoT)やブロックチェーン、AI、機械学習、デジタル・アシスタントなどの次世代型テクノロジーに組み込まれています。このような高度なテクノロジーが提供するデータや機能は、単に従来の多くのERP機能を強化するだけではありません。効率性の向上や新しいサービスの提供、企業全体にわたるより深いインサイトの獲得などの新しい機会を生み出します。ERPシステムは企業全体にわたって包括的であるため、多くの場合、その管理にはCFOのみならず、CIO、COO、その他の主要なエグゼクティブ・リーダーとの連携が含まれます。
クラウドベースのERPアプリケーションは、多くの場合、モノのインターネット(IoT)、ブロックチェーン、AI、機械学習、デジタル・アシスタントなどの次世代テクノロジーに組み込まれています。
ERPシステムは通常、共通のデータベースを持つ単一の定義済みデータ構造(スキーマ)を中心として設計されています。このため、企業全体で使用される情報が正規化され、共通の定義とユーザー・エクスペリエンスに基づいていることを確認できます。次に、このような核となる構造がビジネス部門(財務、人事、エンジニアリング、マーケティング、業務など)全体のワークフローによって動くビジネス・プロセスと相互に接続され、システムとそのシステムを使用するユーザーとをつなぎます。つまり、ERPは現代の企業全体で人、プロセス、テクノロジーをつなぐための手段となっているのです。
業界アナリストによるOracle Cloud ERPとその他の財務管理ソフトウェア・プロバイダーの比較についてご確認ください。
たとえば、複数のサプライヤから部品やコンポーネントを調達して自動車を製造する企業について考えてみてください。ERPシステムを使用すると、このような製品の要求と購入を追跡し、調達から支払いまでのプロセス全体で各コンポーネントがエンタープライズ・ワークフロー、業務プロセス、レポート、分析につながる、統一された整合性のあるデータを確実に使用できるようになります。
この自動車製造会社にERPが適切に展開されている場合、たとえば「フロント・ブレーキ・パッド」というコンポーネントが、部品名、サイズ、素材、ソース、ロット番号、サプライヤ部品番号、シリアル番号、費用、仕様、その他の記述的でデータドリブンの項目により一様に特定されます。
データは、現代のすべての組織における生命線といえます。ERPによって、情報を必要としているすべての従業員およびシステムが簡単に収集、整理、分析、配布できるようにして、彼らが役割と責任をより適切に果たすことができます。
また、ERPは、このようなデータフィールドと属性が企業の総勘定元帳の正しいアカウントにロールアップされ、すべてのコストが適切に追跡および表示されるようにします。もし、フロント・ブレーキ・パッドというキーワードが、あるソフトウェアシステム(または一連のスプレッドシート)では「フロントブレーキ」と呼ばれ、別のソフトウェアシステムでは「ブレーキパッド」、あるいは「フロントパッド」と呼ばれていた場合、この自動車製造会社ではフロント・ブレーキ・パッドの年間費用を確認したり、サプライヤの切り替えや価格交渉が必要かどうかを把握したりすることが非常に難しくなります。
ERPの主要な原則は、広範囲に分散されるデータの中央収集です。つながりのないスプレッドシートや無限の在庫を抱える複数のスタンドアロン・データベースの代わりに、ERPシステムは、CEOから買掛金担当者に至るすべてのユーザーが共通のプロセスによって取得した同じデータを作成、保存、使用できるようになり、実質混乱状態であったデータに秩序をもたらします。安全で一元化されたデータリポジトリを使用すると、組織の全員がそのデータが正確で最新かつ完全なものであると確信を持って作業に取り組むことができます。データの整合性は、四半期財務諸表から単一の未処理売掛金レポートまで、組織全体で実行されるすべてのタスクに対して保証されます。エラーが発生しやすいスプレッドシートに頼る必要はもうありません。
ERPを取り巻く環境は、Software as a Service(SaaS)のクラウド・アプリケーションの急速な進化とともに変化しています。モバイル・プラットフォームや、場所や時間を問わない人員や業務の分散化によって、ERPシステムを今までのオンプレミスのバックオフィス・アプリケーションと連携させることができなくなります。次世代のクラウドベースで最新のERPソリューションは、新しい業界のダイナミクスをサポートしながら、サポートの時間を短縮し、組織が変化の激しい市場や業界のトレンドに迅速に対応できるようにします。
今日のビジネスの世界において、ERPの影響を無視することは不可能です。企業のデータとプロセスはERPシステムに統合されているため、各部門を連携させてワークフローを改善し、結果として収支の大幅な節約を実現できます。次に、具体的なビジネス上の利点について例を挙げます。
紙のカードからモバイルデバイスへ
ERPの歴史は100年以上前に遡ります。1913年、エンジニアのFord Whitman Harris氏は、後に経済発注量(EOQ)のモデルとして知られるようになる、生産スケジュールの製造システムを紙ベースで開発しました。その後何十年もの間、EOQは製造基準となりました。1964年、工具メーカーのBlack and Decker社が、EOQの概念とメインフレーム・コンピューターを組み合わせた資材所要量計画(MRP)ソリューションを採用した最初の企業となり、状況は一変しました。
MRPはその後、1983年にMRP IIと呼ばれる製造資源計画が策定されるまで、製造基準として維持されてきました。MRP IIは、主要なソフトウェアのアーキテクチャ・コンポーネントや、購買、部品表、スケジュール、契約管理を含む統合されたコアな製造コンポーネントとしての「モジュール」を特色としていました。ばらばらだった製造タスクが、初めて共通のシステムに統合されたのです。MRP IIはまた、組織がソフトウェアを活用してエンタープライズ・データを共有・統合し、生産計画の改善、在庫と廃棄物(スクラップ)の削減によって業務効率を高める方法に関する強固なビジョンも提供しました。1970~1980年代にかけてコンピューター・テクノロジーが進化するにつれ、MRP IIと同様のコンセプトが次々と開発され、財務、顧客関係管理、人事データを組み込んだ、製造のみにとどまることのないビジネス活動に対応できるようになりました。1990年には、テクノロジー・アナリストによって、この新しいカテゴリのビジネス管理ソフトウェアに「エンタープライズ・リソース・プランニング」という名前がつけられました。
ERPの過去: 1990年代から21世紀へ
1990年代から21世紀の初めにかけて、ERPの導入は急速に拡大しました。同時に、ERPシステムの実装コストも上昇し始めました。ソフトウェアを実行するために必要なハードウェアは、通常、組織内部のサーバールームにある大型機械でした。当時はハードウェアとソフトウェアの両方のライセンスで設備投資が必要となり、5〜10年で減価償却されました。また、ほとんどの企業の場合、自社のニーズに合わせてERPシステムをカスタマイズしたいと考えていたため、ソフトウェアのコンサルタントやトレーニングなどの追加費用も必要でした。
一方、ERPテクノロジーはその後も進化を続け、組み込み分析などの新機能や新性能を搭載してインターネットを活用するようになっていました。時が経つにつれ、多くの企業はオンプレミス型のERPシステムでは、最新のセキュリティ要件やスマートフォンなどの新技術に対応できないことに気づきはじめました。
Software as a Service(SaaS)
クラウドに登場します。具体的には、ERPがSoftware as a Service(SaaS)で実装できるようになりました。ERPソフトウェアがクラウド上のサービスとして配信されると、企業のサーバールーム内ではなく、リモートサーバーのネットワーク上で実行されるようになります。オンプレミスシステムで5〜10年ごとに高価なアップグレードを行うのではなく、年に数回、クラウドプロバイダーがソフトウェアにパッチをあてる形で管理・更新を行います。クラウドを使用すると、企業はソフトウェアやハードウェアを購入したり、ITスタッフを追加で雇ったりする必要がないため、運用費(OpEx)と設備投資(CapEx)の両方を低減できます。代わりに、このようなリソースによって新しいビジネスチャンスに投資でき、組織は常に最新のERPソフトウェアで最先端の状態を維持できるようになります。従業員は、ITの管理から、イノベーションや成長などのより付加価値の高いものに注力業務をシフトすることができます。
企業や中小企業など、すべての規模の企業にとって、オンプレミスのシステムを廃止して、すべてを一度にクラウドに移行することはできません。少なくとも、短い開発期間の中で行うのは気が引けるものです。一方、クラウドソリューションとしてのエンタープライズ・リソース・プランニングの利点をすべて無視して、オンプレミスのERPを使い続けることは、もはや理想的な道ではありません。ではなぜ、オンプレミスのシステムからクラウドに置き換えたり拡張したりすることを検討する必要があるのでしょうか。
人工知能(AI)などの次世代テクノロジーにより、クラウドベースのシステムは、機能を即時に向上させることができます。従来のシステムとは異なり、定期的な更新は必要ありません。エンドユーザーからの追加または新規の入力がなくなるため、ERPシステムの管理と使用が大幅に容易になります。
従来のソフトウェアをクラウド・アプリケーションで強化および統合して、重要なタスクの補完、強化、補足を実現できます。この方法は、従来のERPシステムに新しい命を吹き込むことができ、企業にクラウド機能を取り入れる絶好の機会でもあります。
従来のERPソフトウェア・モジュールを補完するクラウド・アプリケーションがあれば、急速に進歩する新しいテクノロジーやユーザーパラダイムの改善をすぐに活用することができます。このため、業務を根本的に変更せずに、コストをかけることなく、ビジネス機能と価値を即座に提供するシステムを得られます。
従来のシステムのレポートと分析では、通常、実用的なビジネス・インテリジェンスを生成するために、サードパーティー・ベンダーの関与が必要です。従来のERPベンダーのクラウド・アプリケーションを使用して、多くの場合、ベンダーの依存関係を増やさずに、今以上に優れたインテリジェンスが生成されます。
従来のシステムは、最新のレポートエンジンとしての利用をまったく想定していませんでした。クラウドベースのテクノロジーは過去10年間に誕生し、中核となる原則として、ERPプラットフォームで何が可能であるかだけでなく、何が成功するために必要かについて、まったく異なる見識を持って開発されました。
クラウド・ソリューション・サービスプロバイダーでは、クラウドセキュリティの問題と脅威を24時間プロアクティブに監視し、最新の状態に保つことに特化した、大規模なチームが常時稼働しています。
次世代の若い労働者は、モバイルで使いやすく常時接続のシームレスなテクノロジーで育ってきました。オンプレミス・テクノロジーのみに依存し続ける組織では、年齢に関係なく、優秀な人材を採用することはできません。
組織は常に、ビジネス上のニーズを満たしながら、従来のERPの高いコストと複雑性と、カスタマイズされた機能と柔軟性とのバランスに苦慮してきました。Oracle ERP Cloudによって、接続されたチーム、統一されたデータ、リアルタイムのインサイトを実現して、貴社と貴社の財務チームが最良のビジネス上の意思決定を確実に行えるようにする方法をご覧ください。ERPをクラウド内のサービスとして提供して、組織は将来の変化を見据えて、対応することができます。
SaaSモデルの利点の1つは、ソフトウェアが最新の機能、性能、ベストプラクティスによって最先端の状態に維持されていることです。クラウドのERPプロバイダーは、更新を定期的に公開しています(オラクルの場合は毎月)。つまりこれは、利用者にとって、画期的な最新テクノロジー(AI、デジタル・アシスタント、機械学習、ブロックチェーン、拡張現実、Internet of Things(IoT)など)を定期的なサイクルで使用できるようになるということを意味します。
このような新しいテクノロジーにアクセスして、組織はERPソフトウェアの進化に合わせてビジネス上のベストプラクティスを迅速に改善できます。財務会計の照合など、これまで手作業による介在が非常に多く必要とされていたプロセスを自動化できるようになります。また、ユーザーはフロントオフィスだけでなく、倉庫、工場、企業のすべての場所でのビジネス活動を包括的かつリアルタイムに把握できるようになります。この知識は、スマートフォンやタブレットなどのモバイルデバイスを使用して、適切なすべての従業員がすぐに利用できます。
デジタル時代に向けて構築された、今日のERP Cloudでは、モバイル、ソーシャル、分析、最新のテクノロジーを積極的に活用しています。組織が前進するために欠かすことのできないテクノロジーです。
簡単に言うとERPとは何ですか。
ERPとは、エンタープライズ・リソース・プランニングの略です。ERPは、人事、製造、サプライチェーン、財務、会計など、企業経営の成功に必要なすべてのツールとプロセスを含むソフトウェア・システムです。
一般的なERPの3つのタイプとは?
ERPの最も一般的な3つのタイプは、オンプレミス、クラウドベース、ハイブリッドのERPになります。オンプレミスのERPシステムは企業のサーバー上で稼働するのに対し、クラウドベースのERPはサードパーティのリモートサーバー上で稼働します。ハイブリッドERPとは、その両方をミックスしたもので、多くの場合、本社ではオンプレミスERP、子会社ではクラウドベースのERPシステムを使用します。
ERPの例を教えてください。
ERPの一例として、業界に特化したERPシステムがあります。業界に特化したERPシステムは、業界特有の要件を満たすように設計されており、材料計画や特殊な製造記録管理など、業界特有の機能を提供します。これらのシステムはニーズに合わせた機能を提供するため、企業は多くのカスタマイズを行ったり、他の多くの外部ツールと統合したりする必要がありません。
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