業界戦略担当バイスプレジデント、Brad Williams
15年以上前にAdvanced Distribution Management Systems(ADMS)という用語を作ったとき、それは、公益事業業界が障害からの復旧を自動化し、共通のモデルおよびオペレーターUIから公益事業の配電グリッドのパフォーマンスを最適化するために必要な新しいテクノロジーでした。しかし、電力供給に関するビジネス要件の進化により、公益事業者はより広範なグリッド・モダナイゼーション・プロジェクトを実施し、顧客と社会の期待が拡大する環境においてAMDSが安全要件を満たしていることを確認できるようになりました。ガートナー®は、ADMSマーケット・ガイドで、「新しいビジネス要件をサポートするために、電力供給ネットワークは進化している」と指摘しています。基本的に、配電を担う公益事業者では、グリッドに追加される分散型エネルギー資源(DER)を安全に統合するための新しいツールが必要です。
グリッドに追加されるデバイスやシステムの数は急激に増えています。最近の投稿では、私はグリッドに追加されるDERの増加に関する興味深いレポートを共有しました。その後すぐに、BloombergNEFは、エネルギーの転換への世界的な投資が拡大し続けていることを指摘し、このデータを裏付けました。
配電事業者が直面する課題は、そのシステムが、すべてのセグメントにわたって負荷の柔軟性をサポートし、これらすべての新しい再生可能エネルギーの断続的な生成に対して、負荷の適合とスケジュールの調整を行う必要があるという点にあります。現在、これらの公益事業者は、電気自動車(EV)、スマート・サーモスタット、その他の顧客技術がグリッドに及ぼす影響についても計画を立案する必要があります。
これらの課題に対処し、また、将来がどのような状況であっても対応できる極めて高いスケーラビリティを提供できるように、高度な配電グリッド管理へのプラットフォーム・アプローチの導入が進んでいます。今年の夏、FirstEnergyは、グリッド・モダナイゼーション・プロジェクトの一環として、600万人以上の顧客の需要を満たすために、このアプローチを使用して、10の事業会社にわたって新しいADMSを稼働させました。これは間違いなく、コスト、スケジュール、機能の面において業界で最も成功した大規模な公益事業ADMSの取り組みです。
これを実現するには、ADMSに何が必要でしょうか。ガートナーのレポートと当社のお客様の課題のどちらにも、グリッドのモダナイゼーションを実現するためにADMSに必要な特徴に関する似たようなテーマが含まれています。以下では、それらについて説明します。
1.デジタルツインとして機能し、中枢機能を担う必要がある
配電網は、老朽化していると同時に、グリッド・エッジのビジネス要件をサポートするために進化もしています。ソーラー・パネル、電気自動車充電器、高度な測定インフラストラクチャ、スマート・インバーター、エネルギー・ストレージ・システムなどはすべて、動作条件に応じて安全に動作し、最適化されている必要があります。これをサポートするには、公益事業者が利用する主要な配電インフラストラクチャを表現するネットワーク・モデルが必要です。
2.OTアーキテクチャの要件、OTとITは異なる
ADMSは幅広い配電業務シナリオに対処する必要があるため、ADMSは、従来分離されていた情報技術(IT)ドメインと運用技術(OT)ドメインの両方をカバーし、消費者技術(CT)ドメインにおけるスマート・デバイスの管理を含めた監視機能と制御機能の拡張をサポートする必要があります。ADMSで重要点は、OTとITの違いを十分に理解することです。このシステムでは、生命、機器、環境の保護に関するOTの要件を考慮して設計されていること、サービスの信頼性を維持すること、リアルタイムの双方向通信/制御を運用可能にすること、損失が多く複雑なハイブリッド無線ネットワークだけでなく、グリッド・エッジおよび顧客構内のメーターの先にある他のIoTデバイスをサポートすること、レガシー機器やレガシー・プロトコルをサポートすること、規制要件に対処することが重要です。
3.DERを統合する必要がある
DERの拡大により、配電グリッドは複雑さを増しています。分散型発電、貯蔵、および需要削減を管理するには、高度な監視、分析、制御、最適化、およびコラボレーションが必要です。この結果として、ガートナーは「公益事業者では、従来のDMSとOMS、さらには第1世代のADMSを、多数の参加者を網羅し、新しい価値フレームワークを備えた統合ADMSスイートに置き換えている」と分析しています。ii ADMSは、公益事業者が所有するDERと顧客が所有する、メーターの先にあるDERの両方を統合する必要があるだけでなく、DERの急激な増加に対応できる高い拡張性と、将来のどのようなテクノロジーにも対応できる柔軟性を備えている必要があります。
4.ADMSはDERMSではない
最新のADMSでは、監視制御とデータ取得(SCADA)、障害管理、故障管理、およびネットワーク分析機能が共通のユーザー環境内で単一のソフトウェア・プラットフォームに統合されています。ADMSは、通常、公益事業者所有のSCADA接続機器、資産、DERを監視および制御することを目的として構築されます。
分散型エネルギー資源管理システム(DERMS)は、エネルギー市場参加者がDERのライフサイクルを管理するのに役立ちます。このシステムは、公益事業者にとって、顧客の効果的なエンゲージメント、DERの管理と最適化、DERに関するビジネス・プロセスの自動化を実現するスケーラブルなソリューションです。これは、屋上ソーラー・パネル、エネルギー・ストレージ、電気自動車など、電気グリッドに追加され、増え続けるグリッド・エッジ資源を整理し、インテリジェントに管理するように設計された配電事業者向けのソフトウェア・ソリューションです。
Oracle Utilitiesは、両方のソリューションに加え、プラットフォーム・ベースの分散グリッド管理アプローチを提供しています。つまり、変化に対応し続ける、際限のない柔軟性と、グリッド管理に対して構成可能なアプローチを取るために必要なツールを獲得できます。
5.長期にわたる複雑なプロジェクトの資源を適切に準備する
ガートナーは、ADMSをSCADAからDERMSまでのサードパーティ・システムと統合して、真のイベントドリブンのリアルタイム・プラットフォームを作成するために必要なソリューションがプラグアンドプレイであることが機能的に重要であると指摘しています。また、サポート、パッチ管理、自動回帰テスト、および導入プロセスに特に注意を払うことが重要であるとも指摘しています。
最終的に、グリッド・モダナイゼーション・プロジェクトの成功は、結果を提供する能力によって左右されます。配電グリッド全体から多様化が進むデータを取り込み、それを調整して利用可能なものにし、運用担当者やすべての関係者にメリットもたらす必要があります。オラクル独自の能力、つまり、OTとITを組み合わせる、ライフサイクル全体ですべてのグリッド資産およびメーターの先に接続された顧客DERデバイスを管理する、そして最も重要なものとして、これらのプロジェクトを期限内および予算内に実施する能力を求めて、オラクルを利用するお客様が増えています。
Oracle Utilitiesを活用して、サステナブルかつ低コストの未来に備えましょう。より優れたグリッド管理ツールから、よりスマートな公益事業資産管理オプションまで、公益事業の適切な作業に必要なすべてのステップでサポートを受けることができます。詳細については、Oracle Utilitiesをご覧ください。