Oracle Communications、エグゼクティブ・バイスプレジデント兼ゼネラル・マネージャー、Andrew Morawski
通信業界は近年、大きな転換と急速な進化を遂げています。通信サービスプロバイダーは、スタンドアロン型の5Gコアネットワーク導入や関連サービスを通じて5Gへの投資の収益化を図る一方で、自社の業界外で課題に直面しています。多くの企業が、グローバルな情勢変化、環境問題、経済的な圧力といった外的要因への対応と克服を余儀なくされ、それはサプライチェーンやデータストレージから人材管理、さらには財務報告や予測の方法に至るまで、あらゆる領域に影響を及ぼしています。
こうした業界の課題や機会を単に乗り切るだけでなく、真に成功を収めるには、適切なテクノロジー・パートナーの選定が不可欠です。クラウド、自動化、カスタマー・エクスペリエンス重視のデジタル・トランスフォーメーションが業界全体で進む中、これらのクラウドベースのソリューションに適したパートナーを見極めることが、市場のリーダーとなる鍵を握ります。通信業界は今、新たな時代の入り口に立っており、現在進めている戦略的な取り組みこそが、未来の勝者を決定付けるでしょう。
通信事業者にとってのオラクルの価値
40年以上にわたる通信業界での経験と実績、複数業種への専門性を備えた企業向けアプリケーションのグローバル・リーダーとしての地位、そしてグローバルなハイパースケール・クラウドの能力を有するオラクルだけが、5GとIndustry 4.0がもたらす新たな標準とサービス機会に応える、分散型クラウド・インフラ、クラウドベースの業界特化型ソリューション、アプリケーションの包括的なポートフォリオを提供できます。世界中で、オラクルは大手通信事業者がビジネス成果を向上できるよう支援しています。これは、成果向上という約束を確実に実現できると、オラクルの最高のソリューションとサービスを信頼しているからです。
通信事業者は、オラクルと共に以下を実現できます。
DISH、Verizon、Vodafone、AT&T、Telefónica、Bharti Airtelなど、業界を代表する通信事業者やイノベーターを支援しています。オラクルのソリューションは、規模や複雑さを問わず通信事業者の成果向上を支援できるだけでなく、カスタマー・エクスペリエンス、サービス、ネットワーク運用のあらゆる面で課題の解決と成功の実現も支援しています。
大手通信事業者が選ぶオラクル:VodafoneとTelefónica Techの事例
5Gネットワーク戦略を支えるために、Vodafone UKはオラクルのクラウドネイティブなネットワークポリシー管理ソリューションを5Gコアの一部として採用しました。商用5GとIoTの到来により、Vodafoneはよりインテリジェントなポリシー判断と、新しいサービスの迅速な検証・導入が求められていました。オラクルにより、Vodafoneは5Gサービスをより迅速に顧客に届けることが可能になり、次世代モバイルが約束する低レイテンシ、高速通信、特有のユースケースの利点を最大限に活用できるようになりました。
オラクルのポリシー・ソリューションで新たな消費者ニーズに対応する一方で、Vodafoneは通信の多様化に対応し、Industry 4.0や企業向けの新たなビジネス・チャンスを支援するために、Oracle Cloud Infrastructure(OCI)も採用しました。
Vodafoneは180か国以上に広がる多様な業界の顧客にサービスを提供しており、ビジネスおよび業務システムを含む基幹ITアプリケーションが、社内関係者と最終顧客の急速に変化するニーズに対応できるようにする必要がありました。フロントエンドとバックエンドのサービスが相互接続されており、低レイテンシかつ高セキュリティが求められる中で、パブリック・クラウドへの移行はVodafoneにとって新たな課題となっていました。そこでVodafoneは、OCIのパブリック・クラウドの機能と利点を自社データセンター内に取り込めるOracle Cloud@Customerを採用しました。OCIの柔軟性により、Vodafoneはより優れたデジタル・エクスペリエンスを提供し、新しいクラウドベースのアプリケーションの開発と複数市場での同時展開を加速できるようになりました。
同様に、Telefónica Techはオラクルと提携し、マネージド・クラウド・サービス・ポートフォリオの一環としてOCIサービスを提供し、スペイン国内で高まるクラウド需要に対応しています。実際、TelefónicaはOracle Cloud Madrid Regionのホスト・パートナーとして、スペインの企業および公共部門の顧客に対して、低レイテンシ、高性能、最高レベルのセキュリティを備えたクラウド・サービスを提供しています。オラクルのハイブリッドおよびマルチクラウド戦略は、すべての顧客データを可能な限り地域または国内でホストするというTelefónicaの目標と合致しており、その結果、顧客はデータ主権要件を満たすクラウド・ソリューションを利用できます。
5Gコアからフィールド・サービスまで:DISHの事例
Vodafoneと同様に、DISHも新たな5Gサービスにおいてビジネス成果を向上させるために、オラクルの多様なソリューションを活用しています。DISHは、ゼロからの5Gネットワーク構築における技術パートナーとして、まずオラクルを選びました。新たな5Gユースケースに応じて迅速にスケーリング・適応できるクラウドネイティブなネットワーク機能を求めていたのです。特にDISHは、ネットワークおよび加入者レベルのサービスデータを活用し、顧客ごとにカスタマイズされたエクスペリエンスを提供できる企業向けネットワークの提供を目指していました。オラクルのサービスベース・アーキテクチャと5Gクラウドネイティブ技術を用いてネットワークを自動化することで、DISHはさまざまな業界における企業のデジタル・トランスフォーメーションへの取り組みを支援可能となりました。
さらにオラクルは、DISHのカスタマーサービス分野も支援しており、Oracle Advertising and Customer Experience(CX)に含まれるアプリケーション・スイートOracle Field Serviceを通じて、フィールド技術者の訪問スケジューリングを最適化しています。実際にこのソリューションは、DISHのすべてのフィールド従業員(従業員、請負業者など)を管理するために利用されています。
Oracle Field Serviceの導入により、DISHは時間通りの訪問率を83%に向上させ、「技術者は今どこ?」という問い合わせコールを40%削減しました。さらに、DISHのネット・プロモーター・スコア(NPS)は95%に達し、家庭訪問技術者満足度に関するJ.D. Power調査で3回にわたり最高評価を獲得するなど、顧客満足度全体の向上にも寄与しました。
Oracle Field Serviceは、現場業務の効率化とコスト削減にも貢献しました。技術者の生産性は15%向上し、残業時間は55%削減されました。さらに、DISHは計画および配車担当者を93%削減し、社用車の走行距離も10%削減しました。
カスタマー・エクスペリエンスの向上と計画、人材、IT全体の卓越した運用:AT&Tの事例
すべてのクラウド・アプリケーションが同じように作られているわけではありません。AT&Tがクラウドへの移行を検討した際、成果を生み出せる信頼できるアプリケーション・パートナーが必要でした。
通信事業者は、Oracle Fusion Cloud Applicationsの受賞実績を信頼し、ビジネス最適化、迅速かつ的確な意思決定、そして変化への先回り対応を実現しています。実際、Gartner®は今年オラクルを7年連続でクラウド人材管理(HCM)のリーダーに、2022 Magic Quadrant™でサービス中心型企業向けエンタープライズ・リソース・プランニング(ERP)のリーダーに、さらに6年連続でSales Force Automationのリーダーに選出しました。
たとえば、ヨハネスブルグを拠点にアフリカおよび中東23か国で3億人の契約者に携帯電話、インターネット、モバイル送金サービスを提供するMTN Groupの事例があります。MTNは、迅速な対応、精度向上、そして従業員の業務効率向上を図るため、アプリケーション・ポートフォリオの簡素化と業務プロセスの標準化を必要としていました。
そのため、Oracle Cloud Enterprise Performance Management(EPM)を採用しました。この通信事業者は、予算編成、財務報告、税務対応における精度とスピードを向上させただけでなく、予算作成にかかる時間を半分に短縮できたと見積もっています。
財務モデリングと計画の効率化を受け、MTNはサプライチェーン・マネジメントの課題への対処にも、オラクルの支援が有効だと判断しました。世界中の15,000社を超えるベンダーから製品やサービスを効率的に調達するために、MTNはサプライチェーン・プロセスを単一プラットフォーム上で自動化・デジタル化できるソリューションを求めていました。迅速な導入が必要だったため、MTNはOracle Cloud Supply Chain Management(SCM) の主要アプリケーションの導入を加速させました。その結果、調達サイクルを33日短縮し、グローバルなサプライヤー・ネットワーク全体を可視化できるようになりました。同社はサプライヤーのオンボーディングも簡素化し、新たに1,200社を容易に追加し、サプライチェーン全体の回復性を高めました。
同様に、オランダの大手通信事業者KPNもOracle Cloud Applicationsを活用してビジネスのデジタル・トランスフォーメーションを図り、同時に二酸化炭素排出量の削減にも取り組んでいます。オラクルの統合クラウド・プラットフォームにより、KPNは財務計画と予測の最適化、人事プロセスの最新化、調達とサプライチェーン・マネジメントの統合・効率化を実現しました。この導入は、KPNのビジネス全体における運用コストとエネルギー消費の大幅削減という目標達成にも貢献しています。
しかし、通信業界における成功を最も強く牽引するデジタル・トランスフォーメーションのイニシアチブの1つは、より優れたカスタマー・エクスペリエンスの創出です。たとえばSwisscomは、リード・ジェネレーションやマーケティング・キャンペーン管理のプロセスでは新たなビジネス・チャンスやリード・ジェネレーションに対応しきれていないという課題を抱えていました。この課題に対応し、キャンペーン管理の簡素化とカスタマー・エクスペリエンスの向上を図るために、SwisscomはOracle Digital Experience for Communicationsを採用しました。その結果、Swisscomはオプトイン率を40%から80%に倍増させ、売上につながる高品質なリードを大幅に獲得することができました。