Oracle Enterprise Resource Planning Cloud

ERP Cloud
企業意識調査レポート
~クラウドERP戦略的活用

ITRが実施した「企業のERP製品に関する意識調査」から見えてきたERPの動向を解説したホワイトペーパー。今後のIT戦略立案の参考に、ぜひご覧ください。

米八グループ、
Oracle ERP Cloudの導入で
競争力を強化
ITR 浅利氏によるコラム連載
「これからの経営を支えるERP」
第6回(最終回)公開!

第6回 ビジネスと共に成長できるERP

 

 

これからの経営を支えるERP
第3回 理想像を追求するアプローチへの転換

株式会社アイ・ティ・アール
リサーチ統括ディレクター/プリンシパルアナリスト
浅利 浩一

コラムの概要と主旨: 企業ITは、まさしく今、大きな転換期の入り口に立っている。社会・産業のデジタル化の勢いは今後大きく加速し、クラウド、IoT、ビッグデータ、AI、3Dといったデジタルテクノロジが企業の競争力や製品/サービスの優位性を左右するようになっていく。

すべての経営資源を自前で所有しゼロから始めるのは、ビジネススピードやリスク回避から、すでに当たり前の選択肢ではなくなった。そして、それはこれまで企業のビジネスにとって欠かせざるテクノロジであったERPにもそのまま当てはまり、すでにその変化は始まっている。

このような時代にあたり、これからの経営を支えるERPをどのように選んでいくべきか、何を重視すべきかについて解説していく。

現状重視ではなく新たな価値観へ

初期導入から20年以上が経過しているのに、今だにERPの導入でつまづく企業が少なくありません。目標とした納期、品質、コストを満たせず頓挫する場合はある意味わかりやすい失敗例ですが、むしろ、無理やり稼働させたケースや、「使えない」「自社に合わない」といった理由から導入を見送ってしまったケースに、より大きな問題が潜んでいるのではないかと思います。

基幹系の業務システムは、いったん導入したら最低でも5年以上は使い続けるので、こうした「初期導入時の掛け違え」の影響は長く尾を引きます。担当者の業務や操作性への固執、ERPの目利き不足、プロジェクトリーダーの力量不足など原因はさまざまですが、いずれの場合にも共通する傾向として、現状の業務/システムの機能そのままに、ERPの検討を進めることがあります。変化に対する抵抗や恐れと言い換えてもいいかもしれません。

もちろん、自社のビジネスの競争優位性につながる業務/システムは追求していくべきです。しかし、第2回の連載でも述べたとおり、デジタルビジネスやイノベーションへの対応が急務となっている現在、これまでの価値観を大きく変えて、時間の経過に伴いなんらかのレガシー化やサイロ化が避けられないシステムを、スピーディーにオーバーホールすることが重要となってきております(図1)。

図1 重視すべき新たな価値観
出典:ITR

多くの時間とコストをかけて現状と同じシステムを入念に再現しても、厳しくいえばまったく付加価値のない定常的な非戦略的な投資というべきでしょう。ERPのリプレースを検討する企業も、これからERPを導入する企業も、現在が20年に一度のテクノロジの転換期であることを踏まえ、新たな価値観でモダンなERPの選定・導入をしていくべきであると、ITRでは考えています。

理想像を追求するアプローチへの転換

現状はいくらでも詳細に掘り下げて分析できますので、複雑で膨大な課題、いわば先送りされた過去の遺産がどんどん積み上がってしまいがちです。ボトムアップ・アプローチの弊害ともいえますし、詳細を磨き上げればいいものが作れるはずとの、日本人ならではの網羅性を追求する気質に起因する部分もあります。

しかし、現状をいくら詳細化してもそこから将来が透けて見えるはずもなく、むしろ、あるべき姿に飛躍する足かせになってしまうことに注意しなければなりません。ITRでは、そうならないうように、アイデアライゼーションによる理想像の追求を推奨しています(図2)。

図2 アイデアライゼーションのアプローチ
出典:ITR

アイデアライゼーションとは、文字どおり、現在の制約やその延長線上に縛られることなく、ビジネスとテクノロジの理想像を追求していくためのプランニングアプローチです。こうした取り組みは、アイデアライゼーションと命名されていないだけで、すでにビジネスの現場で実践されております。

アイデアライゼーションを簡潔に述べると、①の理想像を描くことから出発する、従来の現状起点とは逆向きのアプローチです。理想のゴールを設定して、②理想から③現状を評価することで、④ゴールへのロードマップと、その道程である⑤マイルストンを設定していきます。 現状を詳細に掘り下げることで、その複雑性と網羅性のジレンマに陥らないようにするためには、むしろシンプルさを追求した理想像から逆向きにアプローチすべきであり、そうすれば進むべき方向性を見失うことがありません。

あるべき姿を描くアプローチこそまず発想を転換すべきであり、モダンなERPの検討にあたっても、「なくせない機能」「あればよい機能」の積み上げを排除していくべきではないでしょうか。

シンプル化の主要素

それでは、どのようにシンプルさを追求していけばよいのでしょうか。これが正解といった答えやマニュアルはありませんが、業種・業態に関わらず、企業に共通する5つの主要なステークホルダーにITを加えて例示してみました(図3)。

図3 シンプル化の主要素
出典:ITR

組織、業務プロセス、製品/ サービス、チャネル、サプライヤーは、システムの大枠を検討する際の必須要素です。まずは、この5つをシンプル化の基軸としつつ、積年の埃を一掃して理想像の追求を進めてはいかがでしょうか。一定規模以上の企業、あるいは、一定期間以上これら要素に関わる見直し作業を行っていない企業では、シンプル化できるターゲットが必ず見つかるはずです。

全般に共通するのは、不定期・非効率業務の見直しや、コモディティ化した業務領域における徹底した前向きなスリム化の推進などであり、現状維持を打破しながら、ビジネスへの直接貢献、および顧客サービス向上を価値感とすることが重要なポイントです。ITは、こうした活動に合せて、不良資産や要改善資産の見直しと削減を図りつつ、ビジネスとの同期性を高めていくことができるよう変えていかなければなりません。

これからのERPを失敗せず導入していくためには、後ろ向きな現状機能の網羅性ではなく、ビジネスの付加価値を高めることができる理想像を、シンプルに、スピーディーに追求する前向きな姿勢が重要です。

ITR 浅利氏が執筆したホワイトペーパー「企業意識調査レポート~クラウドERP戦略的活用」を公開しています。ぜひ、こちらからダウンロードして、ビジネスにご活用ください。

▼次回以降のテーマは以下を予定しています。ご期待ください。

第4回 ムダがなく完結したスイートの価値 (2月24日公開)
第5回 柔軟なデータモデルとオープン性の価値 (5月1日公開)
第6回 ビジネスと共に成長できるERP (7月6日公開)