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オラクル・コーポレーション
ERP/EPM担当プロダクト・マーケティング・ディレクター
ディー・フーチェン
IT専門調査会社のIDCによると、米連邦政府のクラウド関連支出は2016年に67億ドル(全IT支出の8.5%)に達し、早ければ2018年には全IT支出の約半分を占めるものと見込まれている。
米連邦政府調達局(US General Services Administration)は2009年に、クラウドテクノロジーを用いることで、政府の関連業務を効率的に処理することができると主張し、「連邦政府・クラウドコンピューティング・プログラム・マネジメント・オフィス」(Federal Cloud Computing Program Management Office)を設立した。当時の米連邦政府CIOであるヴィヴェク・クンドラ (Vivek Kundra)氏は、クラウドの重要性を理解しない政府機関に対して毅然たる態度を取った。2011年に米政府は、クラウドコンピューティングをフル活用してシステム利用率を最大化し、ITの柔軟性と俊敏性を向上させ、コストを最小化する「クラウドファースト」政策を発表し、政府機関に適用を求めた。
クンドラ氏はこの政策書で、連邦政府のIT環境の特徴として非効率性を挙げた。この非効率性は、国民に対する政府のサービス提供能力に悪影響を及ぼすものであり、資産使用率の低さ、リソース需要の断片化、システムの重複、調達時間の長さなどが含まれる。
政策書には次のように記載されている。「クラウドコンピューティングは、こうした非効率性を解決し、政府のサービス提供能力を向上させる重要な役割を果たす可能性がある。クラウドコンピューティングモデルは、政府機関が限られたリソースで信頼性と革新性の高いサービスを迅速に提供するべく取り組む上で、大いに役立つものと思われる」
クラウドを推進する州政府
米連邦政府機関によるクラウド投資が増加している一方で、州政府も独自に多大な投資を行っている。「全米州政府CIO会議」 (National Association of State Chief Information Officers:NASCIO)が実施した「2015年州政府CIO調査 (2015 State CIO Survey)」によると、73%の州がクラウドでアプリケーションを導入し、今後もアプリケーションの追加を検討している。回答した州の20%が、クラウドサービスに「多大な投資を実施」していると述べており、2013年のわずか6%から大きく増加している。
州政府は他の公共機関や企業と同様に、ITコストの削減やシステムの刷新、新規アプリケーション/サービスの開発促進に向けて、プライベートおよび商用クラウドサービスへの移行を進めている。
たとえば、カンザスシティ公共電力委員会(Kansas City Board of Public Utilities)のIT責任者であるポール・ポーシック(Paul Pauesick)氏は、2015年のOracle OpenWorldのパネルディスカッションで「次世代に備えるための財務システムが必要」だと語っている。
オンプレミスで「Oracle PeopleSoft Financials」を導入していた同委員会は、「Oracle ERP Cloud」にアップグレードすることで、7カ月で21のモジュールを導入することができた。さらに、財務分析のために「Oracle Hyperion Public Sector Planning and Budgeting」をオンプレミスに導入し、クラウドからデータを引き出せるよう構成した。
コスト削減に留まらないクラウドのメリット
クラウドでのサービス提供によるメリットが拡大していることは、政府機関が成否の判定に使用しているさまざまな指標にも現れている。費用対効果は当然のことながら最も重要であるが、たとえば、問い合わせへの対応に必要な人数を削減し、魅力的なセルフサービスツールを備えた市民向けポータルの増加も挙げられる。
ただし、メリットは財務上のものに留まらない。政府機関は、コミュニティに提供されるサービス品質の向上や、環境面でのメリットも実感している。
実際、米国の2015年の「議会調査局レポート(Congressional Research Service Report)」では、クラウドへの移行によるエネルギー効率を再度強調しており、政府機関はクラウドベンダーのデータセンターに依存することで、グリーンイニシアティブを促進できると指摘している。こうしたデータセンターは通常、電力使用や冷却の効率を最大化するように設計されているからである。