Mark Jackley | コンテンツ・ストラテジスト | 2023年7月31日
自動車アフターマーケットの勢いを維持するためにスチールホイールを製造している企業も、ランドマーク的建造物のための建築用製品を製造している企業も、最も困難な問題に対処するためにデータとテクノロジーを活用しています。
以下のケーススタディでは、Alcar Roote、Construction Specialties、Precision Group、ArcelorMittalの4つの産業機器メーカーが、最新のクラウド・アプリケーションを使用することで、業務効率、サプライチェーンの可視性、機械のメンテナンスと修理、グローバルな人材配置、全体的なカスタマー・エクスペリエンスをどのように改善したかを紹介しています。
主なポイント
より迅速に、より優れた品質で、よりコスト効率よく製造すること。これは、コンピューターや、農機具、化学薬品、炭酸飲料のペットボトルなどを、原材料から製造しているメーカーの信条となっています。そのためには通常、従業員だけでなくオートメーションを活用し、重要な作業を何度も繰り返し行う必要があります。
これらのケーススタディでは、Oracle Cloudソフトウェア・アプリケーションを実装することで良くある課題を解決しているさまざまな企業を取り上げています。まず、「スイス製」は単なるラベルではないと考えるメーカーの例から見てみましょう。
多国籍持株会社の一部であるAlcar Ruoteは、自動車アフターマーケット向けにスチールホイールを設計、製造、販売しています。スイスに拠点を置くこのメーカーは、競争力のある価格で最高品質の製品を生産し、納期に間に合うように納品するために、テクノロジーを駆使しています。
新車が市場に出回るとき、同社は仕様に合ったホイールを製造する必要があります。しかし、オンプレミスのアプリケーションでは、販売管理の迅速化、カスタマーサービスの強化、コストの削減に必要なリアルタイムのデータを提供することができませんでした。また、ビジネスシステムを評価し、生産上の問題を含むあらゆる問題を修正するためにも、新しいデータを必要としていました。
Alcar Ruoteは、製造、プランニング、販売管理、調達、財務といった主要なビジネス・プロセスを管理するために、Oracle Fusion Cloud Supply Chain & ManufacturingとOracle Fusion Cloud ERPアプリケーションを選択しました。
Oracle Cloud SCMアプリケーション・スイートの一部であるOracle Fusion Cloud Order Managementは、受注から出荷までのプロセスを自動化しました。これにより、販売オーダーの80%が自動生成されるためめ、受注プロセスが迅速化され、カスタマー・サービスが向上しました。
オラクル・プラットフォーム内のモノのインターネット(IoT)テクノロジーにより、Alcar Ruoteは、製造現場のデバイスからのセンサー・データを分析し、機器の故障を予測して是正措置を講じ、ダウンタイムを削減することができます。このテクノロジーは Oracle Autonomous Database 上で実行され、複数のアプリケーションでリアルタイムにデータを処理します。
「スイスの品質とはある意味ドグマのようなものです」と、Alcar RuoteのIT担当責任者、Stefano Mariani氏は言います。「トップレベルの品質と納期厳守が求められます。」このような目標を達成するためにテクノロジーを利用するにあたり、同氏は「オラクルはベンダーというだけでなく、当社のパートナーだと考えています」と述べています。
75年間にわたり、Construction Specialtiesは、ドア、壁材、建築用ルーバーおよびスクリーン、床材、安全ベントなど、幅広い建築用製品を製造してきました。建築家達は、フロリダのケネディ宇宙センター・ビジター・コンプレックスや、ニューヨークのワン・ワールド・トレード・センターやマディソン・スクエア・ガーデンの新しい外観など、世界で最も堅牢で洗練された構造物のために同社の製品を指定してきました。
近年、環境に配慮したサステナブルな建築物に対する需要の高まりを受けて、競合他社が台頭してきました。Construction Specialtiesは、サステナビリティの実績はありましたが、建築家、インテリアデザイナー、請負業者、不動産所有者、施設管理者に周知する必要がありました。同社が必要としていたのは、さまざまな顧客ペルソナに合わせたマーケティングとソーシャルメディア戦略を管理し、マーケティングからオンライン購入、生産、支払いに至るまで、オーダーのライフサイクル全体を監視できるアプリケーションでした。
目標は2つありました。売上の増加と、各顧客のエンドツーエンドのエクスペリエンスの向上です。
Construction Specialtiesは、オーダーを最初から最後まで管理するためのツールとして、Oracle Advertising and Customer Experience (CX)とOracle Fusion Cloud ERPを選択しました。このアプリケーション・スイートは他のアプリケーションと統合され、デジタル・マーケティング、オンライン販売、サプライチェーン・オペレーション、財務を統合します。販売スタッフと顧客は、非常に複雑な何百もの受注生産製品の検索、設定、注文を単一の場所で行うことができます。
「Oracle Cloudにアップグレードした最大の理由は、お客様との取引を容易にすることでした」と、デジタル・マーケティング・マネージャーのMike Weissberg氏は述べています。
Construction Specialtiesチームは、今では統合されたアプリケーション・スイートで在庫を確認し、最適な出荷オプションを特定し、リードタイムを予測することができます。見積もりが承認され、システムに入力されると、在庫の選択、部品の調達、生産のスケジュールなどのイベントが自動的に開始されます。オーダーが処理されると、アプリケーション・スイートは請求書を作成します。
「クラウドは、私たちを悩ませていたメンテナンスとカスタム・コーディングの必要性を完全に取り除いてくれました」と、エンタープライズ・オートメーション・マネージャーのArthur Cosma氏は述べています。
Precision Groupは、Precision Dies & ToolsおよびPrecision Plastic Productsの、2つの製造会社を運営しています。後者は、UnileverやProcter & Gambleなどの多国籍企業向けにプラスチック包装を製造しています。多くの顧客が、重要な研究開発プロジェクトでPrecisionと提携しています。
1984年にアラブ首長国連邦で設立されたPrecisionは、事務機器や消耗品、資本設備、およびその他の商品やサービスをコスト効率よく調達する必要があります。しかし、同社のエンタープライズ・リソース・プランニング(ERP)アプリケーションは25年も前のもので、自動化と統合に対応していませんでした。そのため、ベンダー評価などの作業は完全に手作業で行っていました。また、管理者は、調達ワークフロー全体を可視化することができませんでした。
Precisionは、Oracle Fusion Cloud Procurementを導入し、サプライヤーの財務的安定性や、高品質の商品やサービスを納期どおりに提供する能力など、サプライヤーを評価するプロセスを迅速化しました。Precisionの調達は現在100%デジタル化されており、紙の発注書は過去のものとなっています。同社では、手作業を必要とせず購買依頼から直接POを生成し、交渉済みの価格と条件をサプライヤーとの契約に基づいて自動的に適用しています。
その結果、Precisionは発注書の承認時間を40%短縮しました。セルフサービス調達機能により、従業員は、モバイルデバイスなどで製品やサービスをすばやく購入できるようになりました。購買依頼は承認のために自動的に管理者に送られるため、承認にかかる時間が数日短縮されました。全体として、以前より約2倍速くトランザクションが処理されるようになりました。
ArcelorMittal は世界をリードする鉄鋼および鉱業会社で、16か国に主要製造施設を持ち、60か国で幅広く事業を展開しています。インドのMittal SteelとルクセンブルクのArcelorが合併して設立された同社は、ルクセンブルクに本社を置き、自動車、建設、鉱業、家電製品、包装など数多くの業界向けに鉄鋼を生産しています。
同社は、グローバルな人材獲得競争において、厳しい課題に直面していました。同社の採用チームは各地に分散しており、それぞれ異なるアプリケーションや慣行を用いていたため、特に専門性の高い職種の人材サーチを調整することが困難でした。また、標準化が進んでいないため、コストのかかる人材派遣会社に過度に依存し、優秀な人材を惹きつけるために必要な一貫したブランディングを行うことができませんでした。
ArcelorMittal は、Oracle Cloud HCM アプリケーション・スイートの一部である Oracle Fusion Cloud Recruitingを導入し、工場作業員、物流コーディネーター、セールス・エグゼクティブ、採掘スペシャリストなど、さまざまな職種を含むグローバルな人材採用プロセスを標準化しました。
また、充足が難しいハイテク職の人材確保には、Oracle Recruitingが貢献しました。多くのハイテク企業やスタートアップ企業が拠点を置くポーランドでは、Oracle Recruitingの使用を開始してからわずか8週間で、ArcelorMittalに1,400件の応募がありました。以前は主要な市場で1つの求人につき1~2件の応募しかないことがよくありました。
今では、採用担当者は、求人依頼を含むすべての採用活動を可視化し、重複を避けることができます。また、さまざまなメトリックに対応した標準化されたレポートにより、ArcelorMittalは、採用戦略を継続的に改善することができます。
例えば、採用までの期間、応募者数、地域や職種ごとの応募者数と面接者数の割合などのメトリックにより、同社は、人材紹介会社をいつ、どのように利用すべきかを知ることができます。
統合された採用システムにより、同じような職種を担当する異なる拠点の人事チームが候補者情報を交換することができます。また、チームは外部の広告リソースを併用することもできます。
ブランディングされたArcelorMittalの採用情報サイトには、すべての募集職種が掲載されており、応募者は簡単に応募し、その応募状況を確認することができます。このようなスムーズな応募体験を提供することで、望ましい職場として会社をアピールすることができます。
Oracle Cloud ERPと統合されたOracle Fusion Cloud Supply Chain Management(SCM) & Manufacturingにより、 産業機器メーカーは、需要・供給・生産をより正確に計画し、中断を減らし、コストを抑え、製品をより一貫して確実に顧客に届けることができます。また、オムニチャネルでの注文処理により、注文が迅速化され、顧客満足度が向上します。よりシンプルで自動化された統合的な調達により、最適なサプライヤーの選択、迅速な注文の作成と承認、コンプライアンスに準拠した支出の実施が可能になります。
Oracle Fusion Cloud Manufacturingは、機械の健全性を監視しながら、製造現場のスケジューリングと生産稼働を簡素化するIoT機能を提供します。オラクルの産業用機械製造用クラウド・インフラストラクチャは、Oracle Autonomous Data Warehouse および Oracle Analytics Cloud と連携して、製造チームがアプリケーション・ワークロード全体でデータを分析できるようにします。Oracle Cloud Human Capital Management (HCM)は、グローバルな競争に必要な人材の雇用と維持を支援します。
このケーススタディに登場した企業は、上述の製品をさまざまな組み合わせで利用して、調達、販売管理、生産モニタリング、財務標準化といった大きな課題を克服しています。
産業用機械製造にはどのようなものがありますか?
産業機器メーカーは、自動車、航空機、鉄鋼、プラスチック、ゴム、化学製品、半導体、コンピューター、家電製品、石油・ガス、建築製品など、さまざまな製品を製造・加工しています。
産業用機械製造における、最重要課題は何ですか
この業界は、熟練労働者の不足、サプライチェーンの継続的な混乱、無数の規制への対応、環境に優しく倫理的なビジネス慣行の確立への圧力、生産工程のさらなる自動化、需要に見合った製品の製造などの問題に直面しています。
メーカーはこれらの重要課題をどのように解決していますか?
産業機器メーカーはますます、重要課題を解決するために、さまざまなテクノロジーを活用するようになっています。たとえば、IoT テクノロジーは、生産、在庫、機械のメンテナンスを監視しやすくします。統合された財務アプリケーションは、各業務部門が一体となって機能するのを支援します。SCM アプリケーションは、サプライチェーンを強化し、サステナビリティと透明性を高めるためのデータ収集を支援します。人材管理アプリケーションは、採用、オンボーディング、トレーニング、キャリア開発の改善に役立ちます。
オラクルのサプライチェーン・ソリューションがリスクとコストをどのように削減するのかをご覧ください。