日本オラクル特集記事

Cloud and on-premise

クラウドとオンプレミス
「共存の10年」が到来

オラクル・コーポレーション
クリス・マーフィー

 

「すべてが金曜までにクラウドに移行するというわけではない。」

オラクルの取締役会経営執行役会長 兼 CTOであるラリー・エリソンは2015年6月に、24種類以上の新しいクラウド・プラットフォームとインフラストラクチャ・サービスを発表した。冒頭の発言はその発表イベントでのことだ。

エリソンは、クラウドの重要性を疑っているわけではない。実際に、オラクルのPaaS(Platform as a Service)製品が「当社にとって最も重要な事業になる」とも語っている。エリソンが予測しているのは、クラウド・コンピューティングの3つの階層であるSaaS(Software as a Service)、PaaS、IaaS(Infrastructure as a Service)が、従来のオンプレミスのソフトウェアとともに機能する「共存の10年」の到来である。

「共存する今後10年のあいだ、オンプレミスとクラウドでのデータ・マネジメントの双方を管理する必要が生じてくる。オラクルは、これをシンプルにするためのツールを提供する」とエリソンは語っている。

そのツールが、オラクルの新しいクラウド・プラットフォームとインフラストラクチャ・サービスであり、データ・マネジメントから統合、アプリケーション開発、ストレージに至るまで、すべてを網羅している。オラクルのクラウド・サービスは、Oracle Database、Java、Oracle Exadataなど、顧客が自社のデータセンターで使用しているものと同じ業界標準のテクノロジーに基づいているため、共存が可能になる。

理想的な計画ではあるが、日々問題と格闘しているIT担当者にとって、「共存」とは何を意味するのだろうか。

オラクルの製品開発担当プレジデントであるトーマス・クリアンはオラクルの新しいクラウド・サービスの発表会で、オラクルのPaaSがどのようにして、クラウドとオンプレミスの共存を可能にするのかを説明した。具体的には、迅速なモバイル・アプリケーション開発、クラウド・アプリケーションとオンプレミス・アプリケーションの統合、新しいハイブリッド環境でのパフォーマンスの監視の3つのポイントを挙げた。

Rapid construction of mobile applications

 

ポイント1:オンプレミス・システムを利用するモバイル・アプリケーションの迅速な構築

新しいOracle Mobile Cloud Serviceにより、iOSやAndroid OSで動作するモバイル・アプリケーションの構築を自動化できる。このサービスの重要な要素として、アプリケーション・アクセラレータがある。これにより、ユーザー・インターフェース(UI)の開発と並行して、APIの公開や統合作業を実施できる。通常、別々で進められることが多いため、このプロセスをサポートするプラットフォームの導入により、開発が加速する。「つまり、バックエンドが利用可能になるまでUI開発者を待たせる必要がなくなる」とクリアンは述べている。

UI開発者は、クリック・アンド・ドラッグによるテンプレートを用いてアプリケーションの基本構造を自動生成する「スキャフォールディング」を作成し、デバイスの種類や、画面上に表示される機能、スタイルの外観などを選択できる。オフラインでの同期や通知など、ネイティブで提供されるデバイス・サービスを追加するためのチェックボックスも用意されている。

Oracle Mobile Cloud Serviceにおけるデータ統合に関しては、多くのアプリケーション(オラクルおよびサードパーティ製)に対応するAPIが提供される。開発者はまた、同じツール内で独自のAPIを構成し、オンプレミスまたはクラウドで稼働する複数のバックエンド・システムからデータを取得できる。

Oracle Mobile Cloud Serviceの重要な機能は3つある。1つ目は、IT担当者が複数のプラットフォームでアプリを構築できるようになる点。2つ目は、アプリケーションがAPIを公開する方法を簡単にし、デバイスが既存システムと連携できるようになる点。そして3つ目は、IT担当者が監視・分析プラットフォームを用いて、モバイル・アプリケーションの導入状況を追跡し、いずれの機能が実際に使用されているのかを確認できる点である。

UI開発者はこうした監視・分析機能を使用することで、ユーザーが「必要な機能を使うのにキーを10回も打たずに済む」ようにできるとクリアンは語っている。また、バックエンドの管理者もこの機能を活用し、修復作業を妨げているボトルネックなど、ビジネス・プロセスの問題を特定できる。

ポイント2:オンプレミス・アプリケーションと新しいクラウド・アプリケーションの統合

Oracle Integration Cloud Serviceの最も興味深い機能の1つに、自動データ・マッピング・ツールがある。これにより統合作業の担当者は、骨の折れる作業を省略できる。

統合開発者が「recommend(推奨)」をクリックすると、システムでセマンティック分析が実施され、一般的なデータ・マッピング・ルートが提案される。あるいは開発者は、ポイント・アンド・ドラッグによって接続を作成できるため、意思決定の自由を手放すことなく、作業をスピードアップできる。

統合作業の担当者は、「インフラストラクチャの整備ではなく、統合の機能的な面に集中」できるようになるとクリアンは語っている。

このサービスは、極めて視覚的な方法で接続を定義し、アプリケーション間のデータ構造をマッピングする。また、オラクルの実績あるエンタープライズ・サービス・バス・テクノロジーを生かし、リアルタイムのメッセージングによってクラウドとオンプレミスのシステムを接続する。

クリアンは、Oracle E-Business SuiteとOracle Service Cloud間のリンクを素早く構築し、オンプレミス・システムで記録されたインシデントを、Oracle Service Cloudを用いて監視できるようにする方法を示している。

ポイント3:オンプレミスまたはクラウド・データベースのワークロードの監視

オラクルは、HadoopやExadata上のOracle Databaseなどを含む、データ管理のための新しいクラウド・サービスを発表した。また、こうしたサービスとともに、オラクルのPaaSおよびIaaSがオンプレミス・システムと同じテクノロジーを用いて構築されている点を強調している。この一貫性により、企業はオラクルのクラウドで開発・テスト作業を開始し、本番稼働に向けて容易にオンプレミスへと移行できるようになる。

しかし、ワークロードが複数のプラットフォームに分散するため、IT担当者はこうした異なるデータベースの動作を追跡する必要がある。IT担当者は長年オンプレミスで使用してきたツールOracle Enterprise Managerを用いて、オラクルのクラウド・データベースを監視できるようになる。

「オンプレミスのOracle Database環境の管理方法を知っているDBAは、クラウドでも同じインターフェースを利用できる」とクリアンは語っている。これは、ハイブリッドのクラウド管理には重要な機能である。IT部門が不具合や遅延を効果的に特定して対応できるようになるためだ。さらに、オンプレミス・システムで培ったOracle Databaseのスキルの多くをクラウド環境にも適用できるため、企業はクラウドに移行する際にデータベースの専門家を新たに雇ったり、多くを抱えたりする必要がなくなる。

CIOは、懐古の情で数十年前のオンプレミスのITシステムを維持しているわけではない。こうしたシステムでまだ作業が行われていて、セキュリティ・プロファイルも十分に理解されている場合が多いためである。

エリソンは新しいクラウド・サービスにより、オラクルのクラウド・サービスが「すべてそろった」と考えている。つまり、顧客が移行の準備を整えればいつでも、業界標準に沿ったほぼすべてのオンプレミスのワークロードをクラウドで処理できるようになる。 「オラクルには、オンプレミスでもクラウドでもこの作業を実施してきた経験がある。出だしは好調だ」とエリソンは語っている。

クリス・マーフィーは、オラクルにおいてクラウド関連のコンテンツを担当するディレクターです。以前は、InformationWeekの編集を務めていました。

本記事はForbes.com OracleVoiceの以下の記事を抄訳しています: