日本オラクル特集記事

オフィス・デポ、事業の多角化の鍵を握るクラウドへの移行

オラクル・コーポレーション
ロブ・プレストン

オフィス用品全般を取り扱う世界大手のオフィス・デポは、バックオフィス系アプリケーションの大部分を主だった3つのクラウドサービスに集約しようとしている。その背景に、同社はITの近代化を進める戦略を実行し、より充実したビジネスソリューションやテクノロジーサービスを提供する企業へと進化することを目指しているからだ。

オフィス・デポのITアプリケーション担当シニア・ディレクターであるデイモン・ベンゲル(Damon Venger)氏(写真)によると、オフィス・デポが取り組むオムニチャネルのビジネスソリューションプロバイダーへの変革や、スピードが求められる新規ビジネスの立上げなどに合わせて柔軟に拡張できるIT環境が求められる。たとえば、同社はオラクルのサプライチェーンのサービスを活用し、中小企業向けの定額制サービスを販売するプラットフォームを構築した。ベンゲル氏は、「最新技術の導入やベンダー投資をいち早く行い、速やかに物事を進めるためのアジャイル・アプローチを採用し、迅速な意思決定を行っていかなければオフィス・デポは企業として遅れを取ることになります」と語る。

一部の顧客管理アプリケーションについては、「Oracle CX Cloud」への移行を数年前にすでに完了している。オフィス・デポでは新たに、人事、経理・財務管理、サプライチェーンの既存アプリケーションをオラクルが提供するクラウドアプリケーションへ移行するプロジェクトを開始している。アジャイル開発を用い、今後2年間でこの3つのサービスの本格展開を並行して進めようとしている。この大規模なSoftware-as-a-service(SaaS)移行計画の目的は、主にアプリケーションの保守・連携・アップグレードにかかるコストの削減、クラウドで提供される最新機能をすぐ利用できること、部門間でのデータの共有・分析の効率化、および事業部間のプロセスの標準化にある。

クラウド移行への道

オフィス・デポはすでにオラクルのオンプレミスの基幹系アプリケーションを多数導入している――そのほとんどが「Oracle E-Business Suite」アプリケーションであり、一部にはパートナーが開発したアプリケーションも含まれる。ベンゲル氏は、Oracle Cloudへの移行は理に適っていると語る。「何より、私の率いるアプリケーション・チームには、アナリストやソフトウェアエンジニアをはじめ、ベテランのオラクルのスペシャリストが30名ほど揃っていますから。」

また、オフィス・デポは数年前にデータセンターを売却し、アプリケーションの大半を社外のパートナーにホスティングさせている。つまり、クラウドモデルへの移行準備は万端に整っているということだ。 オフィス・デポは「Oracle Human Capital Management (HCM) Cloud」の導入を進めている。まず、人事管理モジュールから始め、続いて、報酬、ラーニング、リクルーティング、評価、給与計算やその他のモジュールも導入していく予定だ。

オフィス・デポのシニア・バイスプレジデント兼最高人事責任者のゾーイ・マロニー(Zoë Maloney)氏は次のように述べている。「今回の『Oracle HCM Cloud』の導入により、従来のオラクルの『PeopleSoft』アプリケーションをはじめ、多数のポイント・ソリューションが不要になります。つまり、一元管理された全世界の人材データにアクセスし、分析を行えるというわけです。また、『Oracle HCM Cloud』の中には、現在導入を検討中のタレントレビュー・後任プランやヘルプデスクといったモジュールも含まれているため、利用したいときにいつでも利用開始ができる状態になっているのも利点です」

予算管理とサプライチェーンの導入も現在進行中

オフィス・デポでは、「Oracle Hyperion」や従前のソフトウェアを利用していた経理・財務計画、レポーティング、決算に関する業務を「Oracle Enterprise Performance Management (EPM) Cloud」に統合するプロジェクトも開始した。

3つのクラウドアプリケーションの導入のうち、最も大規模なチャレンジとなるのが、発注管理、購買、サービス契約を取り扱う「Oracle Supply Chain Management (SCM) Cloud」の導入だ。オフィス・デポのサプライチェーンの複雑さと膨大なトランザクション量を考えると、複数年におよぶ今回の導入計画は「Oracle SCM Cloud」にとっての試金石となるであろうとベンゲル氏は述べる。

オフィス・デポの経営陣と、オラクルのCEOであるマーク・ハード(Mark Hurd)、ソフトウェア製品開発担当プレジデントであるトーマス・クリアン(Thomas Kurian)との会合を経て、両社は互いに力を合わせ、クラウド移行で協力していくことに合意した。オラクルはオフィス・デポの業界ノウハウと大量のトランザクションを取り扱うという経験、またオフィス・デポはオラクルの開発チームと協力して製品の最適化を図るという互いのメリットを享受できることになる。

オフィス・デポのエグゼクティブバイスプレジデント兼CIOであるトッド・ヘール(Todd Hale)氏は、「オラクルとのパートナーシップを拡大し、オムニチャネルビジネスのソリューションや製品を提供するプロバイダーである我々の要望に応える機能・製品ロードマップの構築を支援できることを嬉しく思います。結局のところ、何より重要なのは、お客様に直接恩恵をもたらす機能を提供することです。新しいクラウド型SCMアプリケーションを導入したことによる最大のメリットの1つが、自社の異なるセグメントのサービスをお客様単位に定期課金サービスとして販売することができるようになったことです」、と語った。

新たなビジネスと新たな課題

オフィス・デポはこれまで、小売店、法人営業、Webサイト経由、さらにはカタログによるダイレクト販売やコールセンターなど、複数のチャネルを通して製品とサービスを販売してきた。

現在、同社はさらに広範なサービスの提供に向けて転換を図っており、CompuComを約10億ドルで買収したことによるITサービスへの進出、BizBoxというブランド名のもと、会計、Eメール・マーケティング、給与管理、HRなどの定期課金サービスを中小企業向けに手掛ける予定だ。

オフィス・デポのIT部門は、社内の業務部門と連携し、オラクルの人事管理、財務、サプライチェーンのクラウドアプリケーションで提供される標準機能の最適な利用方法を見極めていくことにしている。四半期ごとに自動的にアップデートされる機能をいかに活用するかが特に重要だと考えている。

「Oracle HCM Cloud」、「Oracle EPM Cloud」、「Oracle SCM Cloud」の導入において、オフィス・デポでは、クラウドアプリケーションの機能にユーザーが手を加えたり、「拡張」したりすることが可能なPlatform-as-a-service (PaaS)は購入しないことを決めた。しかしベンゲル氏は、業界で差別化できる優位性を得られる、かつオラクルの製品ロードマップにその機能が含まれない場合、将来的には、このようなカスタマイズを支援するPaaSの購入を前向きに検討すると述べた。

「ここに、クラウドにおけるアジャイル手法のもう1つのメリットがあります。10年前であれば、事前にすべてを把握し、1,000万ドルをかけて業務アプリケーションを一括購入しなければなりませんでしたが、クラウドではそのような必要はありません」とベンゲル氏は述べている。

ベンゲル氏からのアドバイス

クラウドアプリケーションへの「一元化」を模索している企業に向けて、ベンゲル氏から3つのアドバイス

• ライセンスや保守の費用、人件費、サポート、さらには機会コストなど、現在のアプリケーションの運用管理にかかるコストについてしっかりと把握しておくこと。これによって、クラウドに移行した場合の費用を正しく評価することが可能になる。アプリケーション活用にかかるコストをすべて把握している企業は少なく、その積み上げは決して容易ではない。既存のアプリケーション契約に付随する契約を熟読することで、問題を単純化できる。

• クラウドの四半期ごとのリリースを最大限活用するには、リリース1回ごとで完結するのではなく、継続的な視点でリリースに伴う変更を管理していくプロセスが必要だ。また、クラウドベンダーの営業担当者やソリューションアーキテクトのノウハウを活用することも忘れてはいけない。

• 例えば、5社のベンダーを集めて比較分析に数年を費やすことは無駄な労力かもしれない。「今やテクノロジーの進化はあまりにも急速に進んでおり、うかうかしているとチャンスを逃し、回り道をしてしまうことになります」とベンゲル氏は述べる。既存のアプリケーションの導入状況をもとに、自社にとって何が有効なのかを考え、好ましいと思われる少数のベンダーの実績、現在のクラウドサービスのラインナップ、製品のロードマップ、長期的な事業の継続性を評価するようにしている。

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