日本オラクル特集記事

ラリー・エリソンが語るOracle OpenWorld
5つの注目ポイント

オラクル・コーポレーション
ロブ・プレストン

72歳になるオラクルの会長 兼 最高技術責任者(CTO)ラリー・エリソンは9月に開催したOracle OpenWorldで何度も姿を見せ、説得力のある基調講演を2回実施するとともに、顧客のエグゼクティブ向けフォーラムで来場者の質問に答えた。

エリソンはいつものように、自らのテクノロジーの世界観を率直に語り、ライバルとなるAmazon.comに宣戦布告した。さらに、情報セキュリティの重要性の高まりを力説し、ヨット人生から得たビジネスの教訓を披露した。以下に、5つの注目ポイントをあげる。

1. 「ユーティリティ・サービスとしてのIT」が現実に

エリソンによると、クラウド・コンピューティングへの「世代交代」のさなかにあるIT業界は、世界の他の主要ユーティリティ業界が数十年にわたって取り組んできた方法に追い付きつつある。すべての家や企業に自前の井戸や発電装置があるわけではないのと同様に、大半の企業は今後、自社でのデータセンター運用をやめるだろう。

「私たちは公共設備(ユーティリティ)から水や電気を引くことで、スケールメリットと専門的な労力をうまく利用し、低価格で優れたサービスを得ている。情報ユーティリティから自分のデータを引き出せるようになれば、同様の経済面・品質面のメリットを得られる」とエリソンは述べている。

エリソンによると、ユーティリティは背後にある技術的な複雑さをすべて覆い隠す。水の浄化も発電も、そしてサーバーの実行も同様だ。「ユーティリティはすべてを舞台裏で行い、シンプルなネットワークの反対側の、極めてシンプルなデバイスを通じてサービスを提供している。蛇口やプラグ、あるいはスマートフォンやWebブラウザなどだ」

2. セキュリティは引き続き最優先

「次の米大統領選挙の結果を、ウラジーミル・プーチンが決めてしまう可能性もある。セキュリティは重要だが、どうしたら1人の男が次の米大統領を決定できるのか、と思うだろう」。エリソンはオープニングの基調講演で大げさに問いかけた。その手段は、主要候補者2人に関するメールをハッキングして、リークする。「そういうことだ」

「セキュリティは、オンプレミスのデータセンターからクラウドの大型データセンターへと移行する際に直面する、おそらく唯一最大の問題だ。ずっと前にフォードが掲げていた言い回し(Quality is Job 1、品質第一)を借りれば、クラウドへの移行を進めるオラクルは『セキュリティ第一(Security is Job 1)』だ」

これはオラクルが約40年前に、最初の顧客である米中央情報局(CIA)に対応したときから変わらない。「同様にセキュリティを非常に重視している2番目の顧客は、エドワード・スノーデンが良い社員だったとは考えていない。彼を再雇用することはないだろう」

3. AWSはIBMメインフレームよりも閉鎖的

Oracle DatabaseはAmazonクラウドで稼働する。オラクルはMySQLデータベースを開発したり、自社バージョンのLinuxを開発したりしてオープンソース・コミュニティに貢献している。Amazon Web Services(AWS)はそれほどでもない、とエリソンは指摘する。

「Amazonはオープンソースだと思われている。AWSには多くのオープンソース・ソフトウェアがあり、Amazonとオープンソースが連携すると考えられている。しかし、実際はそうではない」 「AWSはIBMメインフレームよりも閉鎖的だ。とんでもない、どうしてそんなことが、という声があがるかもしれない」

エリソンは次のように説明する。IBMメインフレームがITの世界を牛耳っていたとき、アムダール、富士通、日立はIBMのクローンを作成し、顧客がIBMメインフレームのワークロードを引き上げてそれぞれのマシンで実行できるようにしていた。「そこには選択肢があったが、Amazonには選択肢がない」

AWSのRedshiftデータ・ウェアハウス・プラットフォームでワークロードを実行した場合、それはAmazonクラウドでしか実行できない。「いかなる選択肢も存在しない。AWSに足を踏み入れたら、出ていくことはできない。Amazonが価格を引き上げたら、支払うしかない」

4. オラクルはクラウドをオンプレミスで提供

オラクルのパブリック・クラウドのコスト、パフォーマンス、アジリティといったメリットは享受したいものの、規制などの理由でITワークロードをオンプレミスにとどめておきたい企業のために、オラクルは現在「Oracle Cloud at Customer」と呼ばれるプログラムを通じて両者の長所を提供している。

エリソンは「当社はこれらのマシンをユーザー企業のファイアウォールの内側に設置してネットワークに接続するが、パブリック・クラウド内と同様のサブスクリプション・サービスとして提供される。わかりやすく言えば、当社のパブリック・クラウドの延長が、ユーザー企業のデータセンターのフロアに配置される」と述べている。

オラクルが「Oracle Cloud at Customer」プログラムで提供するサービスには、インフラストラクチャ(コンピュート、ブロック・ストレージ、仮想ネットワーキング、ファイル・ストレージ、メッセージング、アイデンティティ管理サービス)、データ管理(データベース、「Oracle Exadata」マシン、Hadoopサービス)、アプリケーション開発(Java、Ruby、PHP)、統合および管理サービスなどがある。

「Oracle Cloud at Customer」のソフトウェアおよびハードウェアは、「Oracle Cloud」内やユーザー企業におけるソフトウェアおよびハードウェアと同一である。オンプレミスとクラウドのワークロードの共存は「可能な限り透過的」だとエリソンは述べている。「これは同じことだ。クリック1回でデータを移動し、クリック1回でアプリケーションを移動し、クリック1回でアプリケーションに高可用性を追加できる」

5. ヨット人生から得たビジネスの教訓

エリソンは、前回・前々回のアメリカズ・カップを勝ち取ったORACLE TEAM USAのマネージャーであり、人生の大半をアマチュア・セーラーとして過ごしてきた。自身のヨット「サヨナラ号」で、5回も世界チャンピオンに輝いたこともある。「その後、私は非常に愚かな決断を下した。プロへの転向だ」

エリソンはすぐに、友人や「ボートを所有する大勢の金持ち」と競い合うことと、ジミー・スピットヒルやディーン・バーカー、ベン・エインズリーなどと最高レベルで張り合うことはまったく別だと気付いた。競技に全力を尽くし、週4日、一日6時間もトレーニングを行い、毎週末レースに赴くことが必要になる。

「これは終わりがない、絶え間ない作業だ。腕前を磨く方法を、常に探さなければならない。オラクルにおいては、最高の人材を採用し、最高の戦略的決断を下そうと努めることを意味する。毎日、何か新しいことを学び、昨日まで存在しなかった機会を今日見つけようと試みる必要がある。才能は素晴らしいものだが、成功に必要な努力の量は途方もない。私にとってヨットは、最初はとても簡単だったが、トップ・レベルまで進んだとたんに驚くほどの労力が必要になる。しかし、それだけの価値はある」とエリソンは述べている。

本記事はForbes.com OracleVoiceの以下の記事を抄訳しています:
http://www.forbes.com/sites/oracle/2016/09/22/larry-ellison-lays-it-on-the-line-5-highlights-from-oracle-openworld/