日本オラクル特集記事

世界23カ国55万人が体験した環境教育プログラム
「正解のない世界だからこそ、より良い選択を」

日本オラクル 広報室
谷地田 紀仁

明治神宮外苑イチョウ並木側の緑生い茂る場所で、7月27日、幼児から小学生20名超を対象とした環境教育プログラムが開催された。日本オラクルの呼びかけでこのプログラムを提供したのが特定非営利活動法人「FEE Japan」。世界23カ国、約55万人が体験した「LEAF(Learning about Forests)」という国際的な森林教育プログラムを日本の子ども向けにアレンジし開講している。

今回の環境教育では、FEE Japanに認定されたインストラクターと日本オラクルのボランティアスタッフが協力してプログラムの運営を行った。子どもたちが親とともに神宮外苑の緑地を訪れ、木の葉、松かさ、どんぐり、銀なん、さらに蝉の抜け殻までも収集し、自然を体感しながら新たな気づきを発見していた。そのあと屋内に移り、木片を積み上げて接着し、一輪挿しを工作するなど、約半日のプログラムに最後は親の背中にもたれかかる子どももいるぐらい内容満載であった。

子どもたちが明治神宮外苑で集めた植物で、「キツネのお弁当」を創作

子どもが自然を体感し、環境の大切さを知る教育機会は目新しいものではない。LEAFは、子どもが自然を体感するだけの単なる環境教育に留まらない。前述したとおり、“日本の子供向けにアレンジ”というところにヒントがあるのではないか。FEE Japan 代表理事の伊藤正侑子氏へのインタビューを通じて探ってみた。

間違っても叱られない雰囲気を作る

「今日のプログラムに正解はありません」と、インタビューの冒頭で語る伊藤氏。「子どもたちが将来直面するのは『正解のない世界』です。実際に森の中に入り正解のない課題に対して、自分の気づきや人の意見を聞きながら仲間と一緒に取り組んで、互いに協力しながらより良い答えを見つけるプロセスを体験するのが狙い」と語る。

世界中で55万人が体験したLEAFを日本の子ども向けに再開発したポイントもこの“狙い”と連動している。「日本人はとかく、他国に比べ人前で自分の意見を発言するのがあまり得意ではありません。調和が推奨されるためか、子どもでも気づいたことを率直に表現し、友だちと共有することは難しいです。そのため、質問の仕方を工夫し、発言しやすい状況、例えば、『思ったことを自由に言っていいよ』という雰囲気を作り上げることが大切です」と伊藤氏は“日本版LEAF”の特徴を語る。

FEE Japanは2010年からLEAFプログラムを開始し、現在では直接実施するプログラムが年20回ぐらい、認定のインストラクターが行うものも含めると年間200回以上に及ぶ。「プログラムを開始してから6年経ちますが、普及の足がかりになったのがインストラクター制度の導入です」と伊藤氏は語る。現在インストラクターは60名を超え、全国を飛び回りプログラムの開催を支援する「ナショナルインストラクター」と、地域を限定し活動を行う「ローカルインストラクター」に分けられる。「インストラクターになるには、安全性を確保するための知識、例えばスズメバチが来た時の対応や、ウルシの見分け方、応急処置について知っている必要がありますが、最も大切なのは子どもたちが自ら気づき、発言できる環境を作るように導くことです」とその資格を紹介する。

アクティブラーニングの手法を取り込んだ環境教育

今回、環境教育プログラムとして日本オラクルの社員の子どもと青山に本社がある近隣企業の社員家族を対象に行なった。企業との“コラボ”によるLEAFの開催は比較的まれだと語る伊藤氏。「これまでは工場などを有している環境負荷の高い企業と共同で、地域の住民の方を巻き込んで実施したことはありました。日本オラクルのようなIT企業など、環境への負荷が低い企業がLEAFに関心を示し、共同で実施したのははじめてかもしれない」

日本オラクルで社会貢献活動を担当する川向緑氏は、FEE Japanとコラボした理由を“環境”と“教育”の2つを重視したNPO法人としてユニークな存在だったからと語る。「オラクルでは世界中で数多くのNPO法人を、金銭面、運営面で支援しています。その基準となるのが、“環境”、“教育”、“コミュニティ”の3つの柱です」と説明する。「環境保全の体験を1日して終わりというプログラムでも、『環境にいいこと』を一方的に伝えるだけのプログラムでもありません。未来を担う子どもたちがアクティブラーニングの手法で体験しながら、新たな気づきを発見し、それを仲間と共有するプログラムであり、次になにかを選択をする際に自分でいろいろな可能性を考えられるようになるという点が新しいと感じました。それはまさしく、新たな発想で、デジタルを活用して社会に貢献しようという日本オラクルの方向性と親和性が高いと考えています」と川向氏は述べる。

日本オラクルの呼びかけで青山近隣の会社に務める社員とその子どもが参加。「将来的に『青山ファミリーデイ』のような家族参加イベントに発展させていきたい」と川向氏は語る

子どもの引率で参加した親は、我が子の愛らしい姿をはたから微笑ましく見守る ― そんな風景を想像していたが、実際は親が大人同士で別のグループを作り、森の中では木の葉の種類の違いを学び、屋内のワークショップでは、木が普段の生活の中で生み出すメリットとデメリットをグループでディスカッションしていた。「子どもと親が同じ時間を共有し、それぞれが体験したこと、感じたことを自宅に帰って話し合える機会をバックアップしています。新たな気づきを家庭でも話題にして、環境をより身近に感じてほしいです」と、LEAFを通じたコミュニケーションの大切さを説明する伊藤氏。

伊藤氏はインタビューの中で終始、「自分たちが生きる持続可能な未来のための、より賢い選択ができるチカラを身につけて欲しい」と繰り返し唱えていた。

日本オラクルはFEE Japanと共同で、東京に続き、北海道・札幌市(8月27日)、愛知県・名古屋市(11月5日)でもLEAFを開催する予定だ。