日本オラクル特集記事

オラクルの開発責任者が語る、膨大なデータから価値を生み出す自律型データベース

AIやIoTを活用したデジタルビジネスの取り組みが加速するなか、多くの企業にとって新たな課題となりつつあるのが大量に生成されるデータのマネジメントである。

ただ、こうしたデータは企業にとって極めて大きな価値をもたらすことも見逃せない事実だ。AT&T CommunicationsのCEOであるジョン・ドノバン氏は、「我々はデータを製品のように使いたいと思っています。我々はデータの生成からデータドリブン(駆動型)のビジネス強化に移行しようとしています」と語っている。この言葉からも分かるとおり、これからのビジネスにおいてデータドリブンな経営によってもたらされる価値は極めて大きい。

データから価値を生み出すために、企業はデータマネジメントの課題をどのように解決するべきなのか。オラクルでデータベースの開発陣を率いるエグゼクティブ・バイスプレジデントのアンディ・メンデルソンは、日本オラクル主催のイベントで、”次世代の自律型データベースによるデータマネジメント”に関する講演で、その解決策を説明した。

オラクルに30年以上在籍し、長年、データベース開発責任者を務めるアンディ・メンデルソン氏

S&P500社、企業価値の45%がデータを中心とした無形資産

冒頭、メンデルソンはビルや工場、あるいは人的資源と同様に、データも組織にとっての資本として価値を生み出していると指摘した。その根拠として提示したのは、米国のS&P 500社の時価総額における無形資産の割合である。

「S&P 500社の時価総額はおよそ8兆ドルです。そのうちの45%は物理的な資産ではありません。触れることができない、無形資産なのです。つまりデータの価値が非常に高まっているわけです。たとえばUberは自動車を資産として所有していません。それでもデータを活用して、誰かをどこかで乗せて運ぶというサービスを提供し、価値を生み出しています」

そのデータを蓄積するための場所として、現在多くの企業が活用しているのはクラウドである。しかし大半のクラウドベンダーはパブリッククラウドにフォーカスを当てている一方、規制の影響やセキュリティへの懸念から、パブリッククラウドの利用をためらう企業は少なくない。メンデルソンはこのようにクラウドを巡る現状を述べた上で、「我々のサービスは非常にユニークです」と語った。

「オラクルであれば、パブリッククラウドで使われているテクノロジーを皆さまのデータセンターで走らせることができます。それを我々は『Cloud at Customer』と読んでいます。パブリッククラウドと同様に、従量課金制で利用していただくことができます。たとえば『Oracle Exadata』のような価値あるテクノロジーがあります。これはオンプレミスでもパブリッククラウドでも、そしてCloud at Customerでも利用できます」

Cloud at Customerの事例として紹介されたのはAT&T Communicationsだ。同社が示した要件を満たすサービスとして選ばれたのが「Oracle Database Exadata Cloud at Customer」であり、すでに何千ものデータベースの移行作業が進められている。

データベースにも“自動運転技術”が登場

続けてメンデルソンが言及したのは、自動車の自動運転技術に例えられる、“自律型データベース”に対するオラクルのビジョンだ。

「オラクルは自律的に動作するデータベースを作ろうとしています。これには3つの側面があります。まず1つはSelf-Driving(自動稼働)で、データベースが自動的に最適化されるためデータベース管理者は何もしなくていいということです。そしてSelf-Securing(自動保護)により、すべてのベストプラクティスが盛り込まれた形でデータベースを保護します。可用性を確保するのはSelf-Repairing(自動復旧)で、すべてのダウンタイムから自動的にデータベースを保護します」

この自律型データベースでは、「Oracle Automatic Storage Management」などオラクルが時間をかけて開発してきた自動化のためのテクノロジーが活用されると説明する。さらに機械学習を使ったデータベースのパフォーマンス低下の検知や問題の診断に加え、自動チューニングも実現すると話した。

「自動チューニングというのは非常に大きなチャレンジです。データベース管理者はこの作業に多くの時間を費やしてきました。しかりオラクルが開発する自律型データベースでは、チューニングを完全に自動化していきます。インデックスやパーティションを作るといった作業から解放されるということです」

データ管理の世界にも”自動運転技術”が到来

Oracle Autonomous Database Cloud とは?

それらを具現化したクラウドサービスとして提供するのが「Oracle Autonomous Database Cloud」である。これはいくつかのサービスに分かれるが、その1つとしてデータウェアハウス(DWH)やデータマートでの利用に特化した「Oracle Autonomous Data Warehouse Cloud」がある。メンデルソンは「サービスのプロビジョニングはCPUの数とストレージの容量を指定する、それだけです」と話した上で、次のように続けた。

「その先も非常にシンプルです。データベースのテーブルを作り、それにデータを入れていくだけですぐに使えます。インデックスやパーティションを作成する必要はありません。SQLクエリーのワークロードをいただければ、我々の方で動的にクエリーを最適化します。DWH、データマートを作るという作業が今までよりもずっと楽になるはずです」

OLTPや混合ワークロードに対応したサービスとして、「Oracle Autonomous Database OLTP」のリリースも予定されている。こちらはオラクルが提唱する高可用性のベストプラクティスである「Maximum Availability Architecture」を実装することで、ミッションクリティカル用途で利用できる。ダウンタイムなくコンピュートとストレージを瞬時にスケールできる、高い拡張性も備えていることも見逃せない利点だろう。

NoSQLのテクノロジーをベースにした「Oracle Autonomous NoSQL Database」の開発も進められている。こちらもOracle Autonomous Data Warehouse Cloudと同様、自動的にパーティショニングを行うなど自律的に動作するサービスとして近く提供される予定だ。

すべてのデータを対象にした分析を可能にする“データ・オーシャン”

資本としてのデータから利益を生み出すためには、分析が非常に重要な意味を持つ。そこでポイントとなるのは分析対象となるデータをどのように持つかであり、そのための考え方としてデータレイクが提唱されている。しかしメンデルソンはデータレイクについて「古いコンセプト」だと話す。

「我々が提案したいのは、データオーシャン、つまり海です。そこここに湖(レイク)を作るのではなく、オラクルのデータベースやブロックストレージ、オブジェクトストア、あるいはNoSQLやHadoopのどこにあったとしても、シームレスなかたちでアナリティクスの機能を適用できるべきだと考えています」

そして最後に「皆さんは膨大なデータ資産をお持ちです。それを活かしてビジネスを成功させるために、ぜひOracle Autonomous Data Warehouse Cloudを覚えておいてください。皆さまが最大限の価値をご自身のデータから引き出せるように、そしてもっとも成功するようにお手伝いをすることができます」と述べ、プレゼンテーションを締めくくった。

参考記事
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