日本オラクル特集記事

「クラウドはifではなくwhenの時期に入った」 - デジタル産業革命時代、ERPは再び進化する

「クラウドのちから・POCO (The Power of Cloud by Oracle)」をキーワードに、「早く」「安く」「簡単に」そして「安全・安心な」クラウドを打ち出している日本オラクルは、業務アプリケーション、データベース、アプリケーション開発基盤など企業のITシステムに必要な要素をパブリッククラウドサービスとして提供、顧客のイノベーションを全面支援する体制を構築している。オンプレミス時代に築いたグローバルベンダーの地位をクラウドでも維持する格好で、クラウド時代を見据えて一から作り直したという広範な製品ラインナップで攻勢をかけている。

デジタル産業革命が到来し、クラウドが新しい潮流であることは間違いないようだ。オラクルはアプリケーション製品をクラウド対応させるために、数年がかりで準備を進めてきた。その成果のひとつが、ERP(統合基幹業務システム)をクラウドで提供する「Oracle ERP Cloud」だ。2015年末には、製品の在庫やコストをクラウド経由で管理できる「Oracle SCM Cloud」を発表し、ERPとして必要な業務領域をカバーできる全てのポートフォリオを揃える。

オラクルでアプリケーション開発のシニア・バイスプレジデントを務めるリチャード・ジュエル氏は、「(クラウド型のERP製品は)完全に一から構築したまったく新しいアプリケーション」と胸を張る。競合他社がオンプレミスで提供していたものをマネージドとしてクラウド提供し始めているのに対し、「クラウド環境で、最新の技術で最新の機能をフルに活かすためには一から専用に作る必要がある。オラクルにとってクラウドとは次世代のコンピューティングであり、マネージドではない」と違いを強調した。

オラクルは、20年以上に渡るERPのノウハウを持ち、その集大成としてデジタル時代の新しいアプリケーションを作ったといえるだろう。世界標準の技術をベースにお客様の声を取り入れ、それを運用・サポートまで総合的に考え抜いたノウハウの集大成にクラウド技術が加わった。その結果、ERP導入にかかる時間を劇的に短縮しコストも抑える。ユーザー・エクスペリエンスの向上を志向し、あらゆるビジネスの変化にも短期間で対応できるソリューションを提供している。

オラクルのSaaS (Software as a Service)製品として登場した「Oracle ERP Cloud」は、現在、会計管理、会計レポート、調達、在庫・コスト管理、プロジェクト管理などの領域をカバーする。このほか、マーケティングや営業管理、カスタマー・サポートを支援する「Oracle CX(Customer Experience)Cloud」、タレント・マネジメントや人材管理の「Oracle HCM Cloud」、予算管理の「Oracle EPM Cloud」などSaaS製品のラインナップは多岐にわたる。これにより、人、物、金、顧客に関わる業務を全方位で支援し、22以上のインダストリーをサポートし、60カ国以上・28言語に対応できるのもオラクルの優位点だ。

ジュエル氏は、「Oracle ERP Cloud」の優位点として、「パーソナライゼーション」「連携性」「セキュリティ」の3つを挙げる。中でもパーソナライゼーションは重要な優位点となる。「Oracle ERP Cloud」自体が多数のパラメーターを持ち、設定のみで、業種・業態への対応から個々のユーザーに合わせたパーソラナイズが可能だ。さらに機能拡張が必要な場合はオラクルのPaaS(Platform as a Service)を利用することができる。「PaaSを利用して機能を拡張したり、新しいアプリやカスタムアプリを容易に開発できる」とジュエル氏。「アドオン機能開発の時代は終わった。迅速性、拡張性、これらを設定で行えることが重要だ」と続ける。

また、「オラクルは、オンプレミスとクラウドの両方をサポートし、IaaS/PaaS/SaaSの全ての層において、共通の基盤で製品をそろえることで、このデジタル時代に企業が必要とする仕組みを全て提供することができる。これらを採用することで、お客様はビジネスの成長だけに集中することができるようになる」と語った。

このことは、日本にERPが上陸した90年代初期に比べ、ERPの目的が変化したといえるだろう。拠点毎のバラバラな業務の仕組みを統合し、全体最適による「生産性向上」を目指すことが当初のERPの目的だった。しかし、デジタル産業革命により、IoTやFinTechなどインターネットを介した新しいサービスや他社とのコラボレーションによる新しいビジネスが創造されはじめ、それこそソーシャル・ネットワークなどこれまでERPが取り入れてこなかったデータの活用が重要になってきている、と日本オラクル クラウドアプリケーション事業統括 ビジネス推進部 担当ディレクターの中島 透氏は説明する。「ERPには新たなビジネスへの柔軟かつ迅速な対応と、経営データのリアルタイムで正確な提供、また、より徹底したオペレーション・コストの削減」が求められるようになった。オラクルの「Oracle ERP Cloud」なら、従来10カ月以上掛かっていたERP導入も3~4カ月で立ち上げられる。このスピード感が大切」と中島氏は続ける。

残る「連携性」は、Webサービスやファイル転送、またExcelからのデータアップロードなど、他のシステムとの連携が可能というもので、IoTデータ、カスタムやサードパーティ・システムとも接続できるという。「セキュリティ」に関しては、顧客毎に物理的に独立したデータベースで運用されるので他の顧客とデータが混ざることがない。厳格なデータセンター運用と合わせて、高レベルな安全性を約束するものだ。

クラウドのラインナップとしては、業務領域的にはほぼ網羅しつつあり、今後は機能面の強化を進めていく。年に2回程度のアップデートを行っていくという。

「Oracle ERP Cloud」の販売は急速に伸びている。「顧客の数は1,600社を数え、このうちの300社以上がすでに本番稼動に入っている」とジュエル氏は胸を張る。その1社がGEだ。思い切った事業再編で知られる同社は、オラクルのオンプレミス製品である「Oracle E-Business Suite」を本社と主要子会社で利用している。このオンプレミスは継続して利用しつつ、今までERPに取り込めなかった小規模事業へ「Oracle ERP Cloud」を導入することで、ガバナンスを高めるのが目的だ。この導入モデルを「2層ERPモデル」と呼ぶ。昨年、デジタル事業部が3カ月の導入期間を経て本番稼動に入ったとのことだ。

中島氏によると、GEのような2層ERPモデルは海外展開を進める日本企業でもよく検討されているという。また、大企業では2層ERPモデルに加えて、見積管理や物流管理といった一部の業務領域のみにクラウドを利用し、短期間に成果を上げるという形態も急速に増えているという。そして、オラクルが重要なターゲットとするのが中堅企業だ。海外展開、システムのモダン化など中堅企業が早急に解決しなくてはならない課題をSaaSなら手頃なコストで解決できるため、引き合いが非常に多くなっているという。

ジュエル氏は「クラウドはifではなくwhenの時期に入った」として、多くの顧客が「いつ」クラウドへ移行するかを真剣に考え始めたと語る。2025年には80%のシステムがクラウド上で稼働すると予想する。それまでの間、今後10年はオンプレミスとクラウドの共存時代が続く。オラクルはオンプレミスについても投資を継続することを約束すると同時に、クラウドへの移行パスも用意する。日本においては少し時期的なずれがあるが、クラウドの波が押し寄せていることは間違いない。ある調査会社では、日本のERPライセンス市場は2014年約1,600億円、そのうち約50億円がクラウドのサブスクリプションだった。2019年には約92億円と予想する。これは約2倍に膨れるということだ。オンプレミスの年平均成長率が約3%前後であるのに対し、クラウドは13%前後と急成長するといわれている。

インターネット、そしてIoTと新しいビジネスの拡大を目指す企業ほど、足下の企業基盤を見直し始めている。クラウド時代、ERPは再び進化することになりそうだ。