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オラクル・コーポレーション
ロブ・プレストン
「engagement (エンゲージメント)」。この用語はマーケティング業界で頻繁に登場していて、このほかに “empower (エンパワー)”, “value proposition (バリュー・プロポジション)”, “ideation (アイディエーション) ”などもその類だ。さまざまなソーシャルメディアで顧客と密な関係を構築したいというマーケターは多くいるが、必ずしもそれが徹底されているとは言えない。
ゼネラルモーターズ (GM)は例外かもしれない。TwitterやFacebookで顧客にお世辞を言って関係構築を図るのでなく、ソーシャルメディア上で語られる自社や自社の製品の投稿に速やかに反応し回答する体制を社内の部門横断で構築している。
「Social Center of Expertise (CoE)」と呼ばれるGMのソーシャルメディア担当チームは、既存および潜在的な顧客との関係を構築している。その取り組みは単に顧客と会話するだけではない。
GMの本社がある米国デトロイトに拠点を置くSocial CoEは、ディスプレーに囲まれた “司令塔”で、チームのメンバーが自社の製品紹介や他社のプロモーションまでモニターしている。
状況の良し悪しを判断しながら、説得力あるコンテンツを提供したり、好意的な内容には賛同を示したり、時にはディスカッションの方向性を整理し、質問に回答する。また、GMのブランドをネガティブな方向に向かわせるソーシャル上の投稿には適切に対応を施している。
「『いいね!』だけではないのです」。GMでSocial CoEのプログラムを管理する顧客対応担当の役員であるデイビッド・ミングルは述べる。ミングルとともにこのプログラムを担当し、以前は同社の広報部門に従事していたレベッカ・ハリスは、「人々がまた戻ってきて、わたしたちのコンテンツに再び接してくれるには十分なバリューを提供しなくてはいけません。なぜなら、継続的に関心を示してくれる顧客は、GMのブランドにこだわりを持ってくれる “ロイヤルカスタマー”だからです」と説明する。
当然疑問は生じる。どのように顧客は再び戻ってきてくれるのだろうか?GMが実際に行った、ソーシャル上でのエクスペリエンスを紹介する。
奇抜なことも受け入れる
BatDad。アメリカン・コミックの主人公「バットマン」のコスチュームを着た男性が、Vineというビデオクリップ作成・共有アプリを使ってTwitterに投稿し話題になっている。そのBatDadが昨年2月の早朝に次のような質問をツイートした:「Suburban(訳注:GMの高級SUV)は6人の家族と2匹の犬、そしてバットマンのマスクをかぶってVineで撮影するオヤジのニーズを叶えることはできるのかな。難しいでしょうね。」
GMのソーシャルメディア担当者は数時間以内に、SuburbanがBatDadファミリーの要望に見合っているかを140文字で的確に回答した。その回答がソーシャルメディア上でリアルタイムの会話に発展し、その結果GMのPRやマーケティング担当者も巻き込み、BatDadに試乗車まで用意させた。次の週には、コスチュームをまとったBatDad自身がSuburbanの印象について語るショートビデオを公開した。
その2週間後、BatDadはSuburbanの新車を購入した。試乗や購入体験におけるBatDadの感想を語ったビデオは200万視聴に上った。
瓜のつるに茄子はならぬ
メジャーリーグベースボール2014年ワールドシリーズの閉会式で想定外の出来事が起こった。GMのブランド「Chevrolet(シボレー)」の地域担当マネージャーが、シリーズMVPを受賞した投手マディソン・バムガーナーにピックアップトラック「Colorado」を授与する際、あまりの緊張から口ごもり、そのトラックの新しい装備の説明を単に “テクノロジーとモノ(technology and stuff)“と紹介してしまい、そのままTVでライブ中継されてしまった。
Chevroletのソーシャルメディア担当者は、この偶然の失敗 ― 既にソーシャルメディア上で話題になっていたが ― を隠すどころか、この状況を受け入れ冗談半分のツイートを投稿した: “Truck yeah the 2015 #ChevyColorado has awesome #TechnologyAndStuff! (2015 Chevy Coloradoのテクノロジーとモノはいけている!)
ツイッターのフォロワーはこの自虐的な投稿に対して好意的に反応し、17万8,000回の閲覧、1,530回のリツイート、1,486のお気に入りを達成するまでになった。
Chevroletの役員は、このソーシャル上の会話により500万ドル(約6億円)相当のメディア露出を実現したと推定している。 “#TechnologyAndStuff”のハッシュタグは、新しいColoradoの広告に採用されることにもなった。
この出来事から得られる教訓は?ソーシャルメディア担当者はネガティブなソーシャル上の投稿やコメントに対して、拙速に被害対策を講じるべきではないだろう。先ずは目の前のざわめきを注視し、信ぴょう性を評価することが肝心だ。
聞くこと、本当に聞くこと。ただ話しているだけではダメ
すべてのソーシャル上の投稿に返信が必要なわけではない。顧客や潜在的な顧客が具体的な質問を投げかけたり、故意の虚偽投稿をしたりした場合は割って入ったほうがいい。しかし、時には身を潜め、企業の介入なしにソーシャルの会話を静観していたほうが良い場合もある。
企業のブランドや製品がソーシャル上で “炎上”することは避けては通れない。 “炎上”に反応しアクションが必要な場合もあるが、ほとんどの場合は収束するのを待つのが得策だ。
ソーシャルコミュニティとの真の関係を構築し、接点が確立できたとしよう。そして、あなたのブランドと製品が人々にとって守る価値があると判断すれば、必然的に守ってくれるものだ。 “忠実な顧客”として分類される ロイヤルカスタマーは、そのためにあなたのもとに戻って来てくれるだろう。先ずは自分自身が正直になることだ。