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日本オラクル特集記事

クラウドの少し先にある未来
─あなたの生活がここまで変わる!
“超進化系”分散コンピューティングが描く未来予想図

“持たざるIT”を可能にするクラウド・コンピューティングは、企業のIT環境やビジネス環境を大きく変えつつある。だがこの変化も、これから起きる変革に比べれば小さなものかもしれない。「スマートフォンをはじめとする数百億のインテリジェントなデバイスがクラウドとつながる時、かつてない超分散型のコンピューティング環境が出現し、それが付加価値の大きな源泉になる」と予言するのは、日経ICTサミット2016の講演のために緊急来日した米オラクル・コーポレーションのロバート・シンプ氏だ。同社のクラウド・インフラストラクチャ戦略を統括するシンプ氏に、近未来の分散コンピューティング環境のあり方と、それを支える技術について直撃取材した。

ロバート・シンプ氏
米オラクル・コーポレーション
クラウド・インフラストラクチャ プロダクト・マネジメント担当 グループ・バイスプレジデント

クラウドが企業ITにもたらす逆転現象とは?

 私たちは間もなく、究極の分散コンピューティングの時代を迎えようとしています。これから数年の間にITが引き起こす変化は、企業のビジネス、人々の日常生活のさまざまな領域に革新的な変革をもたらすでしょう。ここでは読者の皆さんに、その変化とはどのようなものか、それを可能にする技術は何か、そして近い将来に向けた準備として皆さんがすべきことは何かをお話ししたいと思います。

 今日、クラウドは企業ITの分野で急速に普及しつつあります。ITアナリストは、このトレンドが今後も続くと予測しています。皆さんも、ビジネスのさまざまな領域でいかにしてクラウドを活用するか、検討と試行錯誤を続けておられることでしょう。

 クラウドの信頼性やセキュリティが向上するのに伴い、企業ITの世界では徐々に大きな変化が進みます。皆さんがこれまで自社のデータセンターなどオンプレミスで運用してきたさまざまな業務アプリケーションがクラウドの上に移るのです。実際、世界中の企業が、営業支援や人材管理、マーケティング、Eコマース、さらにはERP、サプライチェーン、顧客管理、コールセンター、生産管理、CRMといった“コアアプリケーション”のクラウドへの移行を進めています。

 これらは、従来の企業IT環境に大きな「逆転現象」をもたらす変化だと言えます。なぜなら、これまで皆さんが自社のデータセンターでホスティングしていたコアアプリケーションがクラウドの上に移り、クラウドがコア(核)となるからです。その結果、アプリケーションの作り方も変わります。クラウド上に集約したさまざまなコアアプリケーションをサービスとして組み合わせることで、新たなアプリケーションの開発がスピーディに行えるようになるのです。

 また、クラウドを活用することにより、企業のIT予算の多くを占めていた運用コストが大きく削減され、他社との差別化、すなわち自社の競争力の源泉となる領域への投資に振り向けられるようになります。

クルマの自動運転や音楽フェスでの新たなエンターテインメントまで─未来型生活はすぐそこにある

 それでは今後、企業の競争力を大きく左右するIT投資領域とは何でしょうか。すでにお気づきでしょう。例えば、消費者の間に広く浸透したスマートフォンなどの高機能なスマート・デバイス、インテリジェント化されたクルマや各種デバイスで構成されるIoT(Internet of Things)、さらにはバーチャル・リアリティ(仮想現実)やミックスド・リアリティ(複合現実)などを活用したビジネスやサービスなどは、これから多くの企業がしのぎを削る分野であり、積極的に投資すべき領域だと言えます。

 この領域におけるコンピューティング環境には、1つの大きな特徴があります。それは、「ピア・ツー・ピア型の分散コンピューティング環境」であるという点です。膨大な数のデバイスや機器が逐一バックエンドのハイパースケールなクラウドやサーバを介することなく、ネットワークの先端部分で直接的につながり、一種のメッシュ・ネットワークを構成します。このメッシュ・ネットワーク上で情報が共有されることで、さまざまな付加価値が生まれるのです。

 そうした分散コンピューティング環境の一例として、自動運転(自律走行)機能を備えた“インテリジェントなクルマ”が挙げられます。皆さんも、加熱する開発競争に関する記事をさまざまなメディアで読まれていることでしょう。日本では、すでにTV CMまで始まっているのですから驚きです。

 このようなインテリジェントなクルマは、他の自律走行車と協調しながら安全かつ円滑に走行します。このとき、自律走行や他のクルマとの協調走行に関する制御を、バックエンドのクラウド上で動作するアプリケーションから逐一受けるのは非常に困難です。なぜなら、クルマの走行地点に応じて通信基地局が短時間で次々に切り替わり、常に安定した通信を確立するのは難しくなるからです。

 そのため、それぞれのクルマは直接的かつリアルタイムに相互通信しながら協調動作します。つまり、ネットワークの先端にあるクルマがメッシュ・ネットワークを構成し、その中である程度まで完結した処理が行われるのです。わかりやすく言えば、1台1台のクルマがそれぞれハーモニーを奏でるように動き、トラフィック全体が最適に運用されるといった具合です。

 別の例を挙げましょう。皆さんが日々のストレスを発散し、大いに盛り上がる娯楽分野、例えば大きなスタジアムでのコンサートや音楽フェスティバルでの楽しみ方も大きく変わります。あなたは自分の席からステージ上のアーティストを観ることができますが、他の観客の席からの眺めも楽しめたら素敵だと思いませんか? そこで、それぞれがスマート・デバイスでステージの様子を撮影してブロードキャスティングし、リアルタイムかつ相互に共有する──そんなサービスも近い将来、一般的になるかもしれません。他者の経験(仮想現実)と自らの経験(リアル)を融合させた複合現実としてコンサートを楽しめるようになるのです。もしかしたらチケット確保の煩わしさからも解放されるかもしれませんし、いまだかつて誰も経験したことのないエンターテインメント体験が生まれるかもしれません。

 一方、ビジネスの分野に目を向けると、ピア・ツー・ピア型の分散コンピューティング環境は製造業や建設業の現場にも適用することができます。インテリジェントなロボットや建設機械が周囲のロボットや機械をセンシングして自動的にメッシュ・ネットワークを構成し、相互にやり取りしながら作業をコーディネートして協調動作するといった具合です。これらの機械が現場のマネージャー、日本語で言えば“TO-RYO(棟梁)”の力強い右腕になるかもしれません(笑)

次世代の分散コンピューティング環境では、アプリケーションの作り方と展開方法が大きく変わる

 このような次世代の分散コンピューティング環境は、既存の仕組みや考え方だけでは実現できません。新たに鍵となることが2つあります。1つはアプリケーションのアーキテクチャと開発スタイルに関すること、もう1つはインターネットの遅延を克服するデプロイメント(アプリケーションの構成や配置)に関することです。

 今日、企業の業務で利用されているのは、オンプレミスやクラウドの上に一枚岩型(モノリシック)で作られた巨大なアプリケーションです。これに対して、ピア・ツー・ピア型の分散コンピューティング環境におけるアプリケーションは、「マイクロサービス」と呼ばれるビジネス上の最小単位の機能を備えた小さなサービスで構成されます。これらがネットワーク上に個別に配置され、それをビジネス上の目的に応じて組み合わせることによって必要なアプリケーションが作られ、エンドユーザーに提供されるのです。

 マイクロサービスの開発は、従来型のアプリケーションの開発とは全く異なります。これまで企業が利用してきたアプリケーションは、10年から20年の長期間にわたって使い続けることを前提に作られていますが、マイクロサービスで構成されるアプリケーションは頻繁に変化するニーズに応じて短期間で作り替えられます。そのため、開発は継続的に行われ、新たなサービス/アプリケーションがリリースされていきます。

 こうした次世代のサービス/アプリケーションは、「DevOps※」と呼ばれる新たな開発スタイルによって作られます。DevOpsでは、サービス/アプリケーションの開発とリリースを短いサイクルで繰り返し行い、継続的に改善していきます。また、サービス/アプリケーションの開発や展開には「コンテナ」と呼ばれる軽量かつ可搬性(ポータビリティ)の高い実行環境が使われます。

 ピア・ツー・ピア型の分散コンピューティング環境を実現する2つ目の鍵は、開発したサービスやアプリケーションをいかにして市場に届ける(展開する)かということです。これには、オンプレミスや既存のクラウドといった一極集中型のインフラの上でアプリケーションを展開するのとは別次元の仕組みが必要となります。

 次世代の分散コンピューティング環境では、ネットワーク上に散在する何百億ものインテリジェントなデバイスの上にアプリケーションを送り込んで実行します。ただし、これらのアプリケーションをバックエンドのハイパースケールなクラウドから逐一送信していたのでは、たとえ光ファイバー・ネットワークであっても途端にパンクしてしまうでしょう。

 そこで、アプリケーションやデータは極力、ネットワークの末端にあるスマート・デバイスの近くに配置します。この置き場所は「クラウドレット」と呼ばれる小さなクラウドであり、ここから各デバイスに必要なアプリケーションやデータを送り込みます。クラウドレットが、バックエンドのハイパースケールなクラウドに対して補完的な役割を果たすわけです。

 エンドユーザーが持つスマート・デバイスは、クラウドレットから受け取ったアプリケーションとデータを使い、周囲のデバイスと直接通信しながら協調動作します。スマート・デバイスは高い性能を備えていますから、これらが連携して動作することで、総体として大型コンピュータ並の処理能力が得られます。その上でリアルタイムにデータが共有されることにより、ここでも一種のクラウドが形成されます。これは今日「ポケット・クラウドレット」と呼ばれています。ポケット・クラウドレット上でデータを共有し、各スマート・デバイスが処理した結果をやり取りすることで、ネットワークの負荷を減らし、高度な情報をリアルタイムに共有することが可能になるのです。
※ Development(開発)とOperation(運用)を組み合わせた造語。

未来を描き、開発し、統合的に提供する─Oracle Labの研究と挑戦

シンプ氏は2016年6月、都内で開催された「世界ICTサミット2016」(主催:日経新聞、総務省)に講師として登壇し、近未来の分散コンピューティング・モデルについて見解を披露した

 ここまでお話ししてきたことは、決して夢物語ではありません。すでに一部は実現されており、また現在も実現に向けてさまざまな企業で研究開発が行われています。

 そうした企業の1社がオラクルにほかなりません。当社は研究開発組織として「Oracle Lab」を構え、常に3年後、5年後、10年後の未来を支える技術の調査および研究開発を進めています。ビットコインなどの仮想通貨や人工知能、機械学習やロボティクスなど、その対象領域はさまざまです。クラウドレットやポケット・クラウドレットのように、今回ご紹介したピア・ツー・ピア型の分散コンピューティング環境を支える多階層のアーキテクチャも、Oracle Labのメンバーで検討し、たどり着いた結論です。

 今後、この新たな分散コンピューティング環境でビジネスを行っていくために、皆さんもこれまでとは異なるアプローチを考える必要があります。アプリケーションの作り方を変え、開発したアプリケーションを展開するためのインフラを整えるのです。オラクルは、以上にご紹介したテクノロジーを包括的にカバーする唯一のITベンダーであり、次世代のアプリケーションに必要な開発ツールとインフラを皆さんにお届けします。いつでもお気軽にご相談ください。