FP&A(財務プランニングと分析)とは、組織が正確にプランニング、予測、予算編成を行い、会社の主要な経営判断と将来の財務の健全性をサポートするために設計されたプロセスのことを指します。このプロセスには、プランニング、予算編成、予測、シナリオ・モデリング、業績報告などが含まれます。FP&Aは単なる会計ではありませんが、会計はこのプロセスの基礎となるものです。CFOは、これらの重要なタスクを実行するために、FP&A専門のソフトウェアを購入しています。
多くの大企業では、財務プランニング担当および分析担当のディレクターは、CFOに直属しています。FP&Aチームの最も重要な任務は、現在および過去の財務データを使用して、将来の収入、支出、利益、キャッシュフローを正確に予測する、財務予測を作成することです。CFOは、これらの仮定をもとに、ビジネスの将来に関する長期的な意思決定を行っています。
FP&Aが適切に行われると、CFOはビジネスに関する多くの重要な問いに答えることができます。負債や株式による資金調達は必要なのか?買収や売却が収益に与える影響について有形固定資産(PP&E)投資すべき金額とそのタイミング損益分岐点はどのくらいか?売上が10%減少た場合に、利益の確保が維持できる可能性について収益が15%増加した場合、純利益は同じ割合で増加するのか?
FP&Aソフトウェアは、会計システムと連携することが多いものの、財務・業務データに加え、経営に関するインサイトを提供することで、会計ソフトウェアを補完するものです。言い換えれば、会計システムは日々の取引活動など、ビジネスの運営を支援するもので、FP&Aシステムは、ビジネス・パフォーマンスの分析、理解、報告など、ビジネスの管理を支援するものです。
現在、FP&Aソフトウェアは、財務および業務指標をインサイトに結びつけることで、あらゆる種類の企業を管理できるように進化し、最終的には組織全体の戦略、計画、実行を推進します。FP&Aソフトウェアを使用すると、財務および業務管理者は、予測や目標に対する財務結果を監視し、分析を使用して重要な傾向を認識し、結果を予測することによって、パフォーマンスの向上を推進することができます。
絶え間ない変化、新たな競合、不確実な経済情勢といった環境下において、FP&Aは組織がアジャイルな方法でビジネスを管理するためのフレームワークを提供します。CFOが指揮を執るFP&Aソフトウェア(財務モデリング、予算編成、プランニング、レポート、分析)は、企業がデータを理解し、それらをより良いビジネス上の意思決定のために活用できるよう支援します。
目標指向で要因ベースの計画を作成することにより、より適切な意思決定を行います。インタラクティブなダッシュボードとレポートを使用してパフォーマンスに対する見通しを即座に把握し、予測プランニングを活用して最適な方法を推奨します。
大規模な自由形式のアドホック・モデリングを使用して、複数の複雑な財務および運用のwhat-ifシナリオをモデル化します。予測プランニングの機能を使用して想定を検証し、意思決定のリスクを軽減します。
短期、中期、長期の時間軸で完全に統合されたキャッシュフロー計画を用いて、業務活動、投資活動、財務活動にまたがるキャッシュフローをモデル化します。
どの顧客、製品、その他の事業部門が収益性が高く、どの部門がそうでないかを見極め、それに応じてリソースを投入することができます。
デジタル経済では、スプレッドシートや部門ごとの計画プロセス以上のものが求められます。財務、オペレーション、事業部門を完全に統合したプランニング・プラットフォームで、ビジネスのあらゆる部分をつなげます。コネクテッド・プランニングを利用すれば、変化がビジネス全体にあたえる影響を即座に分析し、業務計画の変更に伴う財務的影響を確認することができます。
税法の変更により、グローバル企業は、これまでとはまったく異なる方法で税務の計画と管理を行わなければならなくなっています。最新のFP&Aソフトウェアは、財務プランニング、決算、規制当局への報告など、税務と財務が共有するプロセス、データ、メタデータをつなぎ合わせ、税務報告を効率化するとともに、より優れた可視性とコンプライアンスを提供します。
ビジネスに関連する特定のドライバのための項目を追加することで、将来の収益、利益、キャッシュフロー、売上総利益を正確に予測することができます。バランス・シートを損益計算書およびキャッシュ・フローと完全に統合することにより、全体像を確認できます。
どんなに多くの社内外の報告基準に準拠する必要があっても、報告書に記載するデータは正確で完全、かつ最新の情報であることを確認したいものです。FP&Aソフトウェアは、複数の報告システムの必要性を軽減します。
次世代のFP&Aは、人工知能(AI)や機械学習(ML)などの最新テクノロジーを取り入れた、新しい機能を備えています。FP&Aの未来は、より多くのデータを活用して、より多くの情報に基づいた意思決定を行うとともに、より付加価値の高い取り組みに集中することを妨げる雑多なタスクを排除することです。これらのテクノロジーは、分析と行動の間のギャップを埋める強力な意思決定ツールと言えるでしょう。これらのテクノロジーは、過去のデータから隠されたパターンやインサイトを検出することで、CFOがより良い意思決定を下せるよう支援します。MLモデルをプランニング・プロセスに組み込み、FP&Aが日常業務の中でMLモデルを利用できるようになったことで、財務部門はデータサイエンス・プロジェクトへの投資を活用できるようになりました。これにより、FP&A部門がデータ分析に費やす時間が短縮され、データの異常、偏り、ホットスポットに対応するためにより多くの時間を費やし、ビジネスの真のパートナーとして戦略を実行できるようになります。
最新のFP&Aプラットフォームは、経営管理ソリューション(EPM)の一部であり、決算、アカウント・リコンシリエーション、税務申告、プランニング、予算編成などのすべてのEPMプロセスを接続し、大規模な自由形式モデリングと企業データ管理を単一の完全に接続されたスイートで提供します。
ピンポイントのソフトウェア・アプリケーションを導入する場合と比較すると、クラウド・スイートはEPM要件の全範囲をカバーするだけでなく、FP&Aのすべての要件を満たす機能を備えているため、ビジネスにとって最高のアドバンテージとなります。クラウドベースのFP&Aソフトウェア・スイートは、FP&Aの長期的な戦略プランニングとモデリングに加え、財務および業務プランニングのための事前構築済み機能、カスタム・プランニング・アプリケーションやフルスケールのフリーフォーム、what-if分析のための完全サポートモジュール(設備投資、人材など)を、特定の要件に合わせて提供します。
つまり、最も効果的なEPMソリューションとは、最新の統合型スイートであり、コアとなるERPシステムとのシームレスなデータおよびプロセス統合によって、顧客が投資を活用できるようにするものです。完全なソリューションは、組織全体の管理プロセスを統合することで、ビジネスのあらゆる側面に対する可視性とインサイトを向上させます。また、迅速な行動と大胆な意思決定を可能とするための、分析を自動化する最先端テクノロジーも組み込まれています。今日の財務リーダーは、将来を見据えた財務組織を構築する必要があります。それを可能にするのは、クラウド・ベースの次世代FP&Aソリューションだけです。