マスターデータ管理（MDM）とは

マスターデータ管理（MDM）とは、企業のデータを信頼できる形で管理し、他のビジネス部門がそのデータを容易に利用できるようにするための規律やテクノロジーです。MDMを理解するためには、まずはマスタデータが何かを理解する必要があります。マスターデータとは、製品、サプライヤー、顧客情報を含む、組織の重要なビジネスデータのことです。

マスターデータ管理ソリューションは、エンタープライズ・リソース・プランニング（ERP）、顧客関係管理（CRM）、製品ライフサイクル管理（PLM）、経営管理ソリューション（EPM）などの企業アプリケーションにわたって、企業データが正確であり、正しく管理されていることを保証してくれます。

エンタープライズ・マスターデータ管理とは

多くの企業は、エンタープライズ・マスターデータ要素に関する合意を形成するために、メール、スプレッドシート、および電話会議に依存する手動プロセスを使用しています。このようなプロセスは、調整サイクルの長期化だけでなく、企業報告の整合性と信頼性の問題につながる可能性があります。

共通リファレンスにアクセスできないと、全社の数字が一致しないことは当然です。さらに、エンタープライズ・マスターデータを効果的に管理する方法がなければ、アプリケーションのクラウドへの移行、合併や買収の影響の管理、ビジネス部門やアプリケーション間のエンタープライズ・データの差異の調整など、企業は変化への対応が遅くなります。

エンタープライズ・マスターデータ管理ソフトウェアとは

エンタープライズ・マスターデータ管理ソフトウェアは、勘定科目表などの重要なエンタープライズ・データ要素を一貫して使用することで、ビジネスアプリケーション間の整合性を確保します。この重要なデータは、「エンタープライズ・データ」または「メタデータ」と呼ばれることもあり、多くの場合、アプリケーション固有の属性、代替えのビジネス観点、企業ディメンション、参照データ、マスターデータ資産などが含まれます。エンタープライズ・データの例には、勘定科目表、企業またはコストセンターの構造、市場セグメント、製品カテゴリなどがあります。

エンタープライズ・マスターデータ管理ソリューションは、エンタープライズ・リソース・プランニング（ERP）、経営管理ソリューション（EPM）（EPM）などの財務システムだけでなく、レポート、分析、調達、サプライチェーン、カスタマー・エクスペリエンス（CX）システムなどのトランザクション・アプリケーション全体にわたって、エンタープライズ・マスターデータの一貫性を確保するのに役立ちます。

エンタープライズ・マスターデータを管理するシステムがあれば、従業員は日常的に使用しているソフトウェア（会計、CRMなど）を使って必要なデータを操作できます。エンタープライズ・マスターデータ管理ソフトウェアは、これらの活動をクラウドソーシングし、共有フレームワークに追加します。このため、情報共有とデータ・ガバナンスは、柔軟性のない既成のルールではなく、人々がデータを実際に使用する方法に基づく正式なポリシーに成長できます。

製品マスターデータ管理とは

製品マスターデータ管理は、一般的に、企業が製品データを管理するために使用するソフトウェアであると認識されています。製品マスターデータ管理ソフトウェアが導入される理由は、異種システム内に隠れて存在していたり、複数のスプレッドシートやベスト・オブ・ブリードのアプリケーションにまたがって散在している、製品データに企業が悩まされているためです。

製品マスターデータ管理ソリューションを使用して製品データを統合し一元管理することで、企業はすべての製品情報を管理し、各部門で同じデータを活用できるようになります。組織戦略を策定する経営陣から、開発、マーケティング、サプライチェーン、および企業運営に製品情報を継続的に活用するユーザーまで、すべての人が対象です。

製品マスターデータ管理ソフトウェアは、正確な製品データを継続的に維持するためにも役立ちます。実際、販売、マーケティング、サプライチェーン、ERPの各プロセスに必要である正確な製品データの唯一の情報源を確保できることで、企業のビジネス変革の基盤を構築できることがあります。製品マスターデータ管理ソフトウェアを使用すると、統一されたエンタープライズ製品レコードとデジタルスレッドを確立し、グローバルな製造およびオムニチャネル・コマース向けに製品マスターデータを迅速に商品化、管理、公開することができます。さらに、単一のマルチドメイン・ソリューションで、内部と外部のアプリケーションやマーケットプレイスにデータをシームレスに公開し、信頼できる商品化された製品情報を提供することで、市場投入までの時間を短縮できます。

顧客マスターデータ管理とは

一貫性のあるクリーンなカスタマー・データは企業の成功に不可欠です。顧客マスターデータ管理ソフトウェアは、複数のソースとの間でデータを統合、クレンジング、補完、調整します。また、住所を標準化し、重複する記録の問題を解決し、営業チームにカスタマー・プロファイルおよびレコードの最適なバージョンがあることを確認できます。

顧客マスターデータ管理は、一貫性のない、不完全で不正確な顧客データから生じる、以下のようなよくある問題を解決します。

• 不正確なデータに起因するカスタマー・サービスの低下
• 重複するアカウントを担当する複数の担当者がいる、非効率的な営業チーム
• リードの重複による非効果的なマーケティング

企業は、信頼できる顧客記録によって、さらに効果的な管理プラットフォームだけでなく、複数のシステムと部門で使用できる1つの正確なカスタマー・ビューを獲得できます。優れたカスタマー・データは合理的なアカウント・プランニング、販売実行の改善、および顧客の収益性を実現する全体像を提供します。

製品情報管理とマスターデータ管理の違いとは

製品情報管理（PIM）は、ビジネスに関連するすべてのチャネルで製品情報を扱うシステムです。製品情報管理は、サプライチェーンの効率性、生産性、市場投入までの時間、製品品質、さらには顧客満足度にとって非常に重要です。

一方、マスターデータ管理は、企業のすべての取引および業務データ、簡単に言えば、社内に存在するすべてのデータで構成されています。マスターデータ管理は、製品だけでなく、より広く、より大きなものです。マスターデータ管理には、製品データだけでなく、従業員、顧客、サプライヤー、ベンダーなどに関するあらゆるデータが含まれます。

営業、マーケティング、サプライチェーン、およびERPプロセスに必要な正確な製品データの同じ唯一の情報源を共有できると、新しい製品とサービスを効率的に商品化できます。マスターデータ管理ソリューションは、一貫性のある完全な製品情報を販売チャネルで公開するだけでなく、信頼できる製品データをバックエンドのSCM、ERP、および受注システムで効率的に共有できます。

オラクルのマスターデータ管理ソリューションを使い始める

組織戦略を策定する役員から、開発、マーケティング、サプライチェーンに携わるユーザーまで、社内の誰もが、正確でタイムリーなデータを活用して、意思決定を行っています。ポートフォリオとプロセスを戦略および成長目標に合わせて、引き続き調整するにつれて、信頼できるマスターデータを全社にシームレスに流すと、時間とコストを削減し、サプライチェーンと営業の効率を大幅に向上し、カスタマー・ロイヤルティを向上し、健全なコーポレート・ガバナンスをサポートできます。レガシー・システムは、個別のサイロで動作しているため、現在の変化するビジネス・モデルとさらに複雑な製品とサービスをまったくサポートできません。

オラクルのマスターデータ管理ソリューションは、ビジネス全体でマスターデータを統合、クリーニング、管理、および共有するために設計された専用のアプリケーションです。オラクルのMDMソリューションは、クラウドベースであり、Software as a Service（SaaS）モデルで構築されています。つまり、最新の特徴、機能、およびベストプラクティスを常に実装しているということです。

Oracle MDMソリューションでは、更新が定期的に導入されるため、最新のテクノロジー・イノベーションを継続的に活用できます。ERP、サプライチェーン・マネジメント（SCM）、PLM、およびCXにわたる共通データ・モデル上のマスターデータ管理によって、複数のチャネル、部門、および地域でマスターデータの信頼できる唯一の情報源を確保できます。