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三井住友海上火災保険が進める“コンタクトセンター改革”

顧客の“知りたい”に応えるFAQサイトで自己解決を支援し、入電数の安定化を実現。今後は商品/サービス改善の起点に

 

「顧客との重要な接点となるコンタクトセンターをプロフィットセンターに変える」──三井住友海上火災保険がコンタクトセンター改革に取り組んでいる。FAQサイトを刷新し、顧客の“知りたい”に迅速かつ的確に応えることで入電数の安定化を実現。また、入電予測の精緻化やオペレーターの最適配置などにも対応し、ヘルプデスクの格付機関から業界最高ランクの評価を得た。同社コンタクトセンターは今、顧客満足度の向上はもちろん、商品/サービス改革においても最前線の役割を果たそうとしている。

顧客ニーズを満たさないFAQサイトが慢性的な応答率低迷の一因に

継続的な改善サイクルを確立
三井住友海上火災保険のコンタクトセンター改革を主導する3名。写真左より、コンタクトセンター企画部 部長(カスタマーセンター担当)の西村俊彦氏、コンタクトセンター企画部長の鈴木高志氏、岩前孝佳氏

 「損害保険会社にとって、商品に関する情報を的確にご提供し、お客さまと直接的に接するコンタクトセンターは、極めて重要な部門です。しかし、今だからお話しできますが、当社は1年前まで、その効率的な運営に苦慮していました」──こう打ち明けるのは、三井住友海上火災保険 コンタクトセンター企画部 企画チームで課長を務める岩前孝佳氏だ。

 MS&ADインシュアランスグループホールディングス傘下の同社は、1兆4441億円(2014年度)の保険料収入を上げ、業界大手の一画を占める損害保険会社である。東京、神戸、札幌の3カ所にコンタクトセンターを構え、損害保険の一般的な相談を受ける「お客さまデスク」を中心に、契約内容の変更/更新のサポートを行う業務デスクなどを担っている。総勢約700名のスタッフを抱え、年間約144.5万件の入電に対応する。

 同社はかつて「慢性的な応答率の低迷」という課題を抱えていた。

 「当時は3拠点がバラバラに運営されており、入電状況とオペレーターのシフト管理が適切ではありませんでした。また、当社のWebサイトにある『よくある質問(FAQサイト)』はお客さまのニーズに対応できておらず、FAQサイトだけではお客さまの疑問を解決できていなかったのです」(岩前氏)

 同社のコンタクトセンターでは、KPI(主要目標指数)の1つとして「応答率90%以上」を掲げている。これに対して、2013年度の年間応答率は85.2%であった。この数字は悪くないように思えるが、「つながりやすいコンタクトセンターは『応答率90%超』というのが業界の常識。85%では1回目のコールでつながることは、ほとんどありません」(岩前氏)という。

 応答率改善の対策として、早急に手を打たなければならないと感じていたのが、FAQサイトの刷新だった。当時、FAQコンテンツの数は約300で、年間を通じて同じものが固定で掲示されていた。自然災害などが発生した際には関連するFAQコンテンツにアクセスが集中するが、その数も内容も十分ではなかったという。そのため、顧客の疑問はFAQサイトだけでは解決に至らず、コンタクトセンターへの問い合わせが増加。その結果、さらに電話がつながりにくくなるという悪循環に陥っていたのである。

FAQコンテンツの数を4倍に増やし、“閲覧数ベスト3”は常に表示

 三井住友海上火災保険では、この課題を解決すべく、コンタクトセンターの「仮説/立案」から「検証」、「改善」に至るサイクルをすべて見直す。

ITを活用したコンタクトセンターの課題解決シナリオ
ITを活用したコンタクトセンターの課題解決シナリオ

 まず顧客からの入電応対履歴を分析し、入電状況を把握して対策を立案。入電予測を精緻化してオペレーターの配置を最適化するとともに、オラクルのコンタクトセンター向けクラウドサービス「Oracle Service Cloud」を導入してFAQサイトを刷新した。国内の損害保険業界で同サービスを導入したのは、同社が初となる。

 Oracle Service Cloudを選定した理由を、岩前氏は次のように説明する。

 「人工知能と自己学習機能を備えており、利用者のクリック数やキーワード検索のコンテキストを分析、FAQコンテンツの最適表示が行えることが大きな魅力でした。お客さまの利用動向に応じてFAQの表示優先度を自動変更できるため、その時点で多くのお客さまが知りたいFAQを目立つ位置に表示できます。以前のシステムでは、コンテンツの置き換え作業はシステム部門に依頼していましたが、Oracle Service Cloudではコンタクトセンター側で簡単に行えます。こうしたユーザビリティの高さや使い勝手の良さも大きな評価ポイントでした」

 オペレーター用と顧客用のFAQサイトを一元管理できることも大きなメリットだった。両サイトのFAQコンテンツが同じIDで管理されるため、顧客がどのFAQコンテンツを見て問い合わせてきたのかをオペレーターがすぐに把握できる。これにより、顧客とのコミュニケーションがスムーズに行えるようになった。また、顧客からの問い合わせをWebサイト上で受け付ける「Webフォーム機能」が備わっている点も大きなポイントであった。

Oracle Service CloudによるWebサイト改善例。主要なページでは常にベスト3のFAQを掲示し、顧客が抱える課題を速やかに解決
Oracle Service CloudによるWebサイト改善例。主要なページでは常にベスト3のFAQを掲示し、顧客が抱える課題を速やかに解決

 Oracle Service Cloudを導入した同社は、Webサイト内のコンテンツ配置についても、「とにかくわかりやすく」をモットーに工夫を凝らした。「よくある質問」のリンクをトップ画面中央のわかりやすい位置に配したり、契約者を対象にした各種手続きのページへのリンクを表示させたりといった「当たり前の工夫」はもちろん、主要ページには「よくある質問」のベスト3を常に表示させるようにした。これも、FAQコンテンツをWebサイトのどこにでも表示させられるOracle Service Cloudだからこそ実現できた改善である。

 さらに、FAQサイトの“入り口”も、保険商品ごとの「カテゴリー別」と目的ごとの「キーワード別」の2つを用意し、両方から同時に検索できるようにした。加えて、検索ワードについては“送り仮名の揺れ”(例えば、引き落とす/引落す/引き落とし、といった表記の揺れ)をキーワード登録し、曖昧なキーワードでも検索結果が表示されるように設定した。

 三井住友海上火災保険が最もこだわったのは、“FAQコンテンツの質と量”である。日本語解析システムを利用し、入電応対履歴から利用頻度の高い単語やコンテキストを抽出。その内容を参考にして、以前は約300だったコンテンツの数を1300超と4倍以上に増強した。

FAQサイトの充実で顧客の自己解決を助け、入電数を安定化

 こうした取り組みの結果、FAQサイトの利用者数はリニューアル前の8,000件から58,000件(いずれも、3カ月間の累計)と7.2倍に急増。「リニューアルしてからわずか3カ月ですが、ここまでアクセス数が伸びること、つまりはお客さまに積極的に利用して頂けるとは予想していませんでした」と驚きを隠さない。

 一方で、「お客さまデスク」への入電については一定数を保っている。岩前氏は「FAQサイトの刷新は始まったばかりであり、精緻な効果測定はこれからの段階ですが…」としながらも、「FAQサイトを充実させれば、入電数は抑制できます」と断言する。

 例えば、2015年9月に茨城県常総市を流れる鬼怒川が氾濫した際には、すかさず「水害は火災保険でカバーされるのか」といったFAQを目立つ位置に表示した。一般に、大きな災害が発生した場合、その翌日から3日後くらいに電話による問い合わせが増える傾向にある。しかし、この時はFAQサイトのアクセス数が急増したものの、電話による問い合わせはさほど増えなかったという。

 もう1つの例は、年末調整の控除証明書に関する問い合わせだ。この問い合わせは、毎年11月ごろから急増する。そのため、「控除証明書」というキーワードを分析し、関連する「契約内容照会」、「契約内容変更」、「解約(中断)」についてのFAQをWebサイトの上位に表示したところ、入電数は通常と変わらない推移だったという。

 さらに、2015年には保険控除証明ハガキの照会先を、それまでの営業部支店からお客さまデスクに変更し、順次送付するという改革にも着手した。その総数は約188万件にも上る。同時に、控除証明書に関する専用のFAQサイトも開設。その結果、FAQ参照数は過去最多になった半面、入電数はほぼ安定化させることができたという。

 「照会先が営業部支店だったころは、2万件近い電話が営業部支店に回っていました。これでは、営業部支店が電話対応に忙殺され、本来の営業活動に専念できません。そうした作業をコンタクトセンターが担うことで、当社全体の業務効率化に貢献できたと確信しています。実際、営業部支店からも『問い合わせの電話が減り、営業活動に集中できるようになった』と報告を受けています」(岩前氏)

応答率を改善。オペレーターの負荷軽減とスキル向上の余裕も

継続的な改善サイクルを確立
継続的な改善サイクルを確立

 現在、三井住友海上火災保険では、前年同月の電話問い合わせの内容を毎月分析し、分析結果とともに月ごとの催事や社会の動き、商品改定などを加味して次月のFAQ候補をピックアップしている。こうしたFAQの拡充活動により、新たな気づきを得ることもできた。

 「検索ワードを見れば、お客さまの『知りたいこと』が把握できますし、アクセスの多いFAQは、お客さまが今、抱えている悩みでもあります。例えば、電話による問い合わせが最も多い内容は『自動車保険は控除証明の対象になるのか否か』というものです。保険業界の者にとって『ならない』ことは当たり前のこととして軽んじてしまいがちなのですが、このFAQをWebサイトのトップに置いたところ、入電は減りました」(岩前氏)

 これらの取り組みが奏功し、平均で約85%だった応答率は約96%に向上。ヘルプデスクやサポートセンターのメンバーシップ団体である「HDI(Help Desk Institute)」のサポートポータル部門評価において、同社は損保業界トップの評点である最高格付けの“三つ星”を獲得した。

 コンタクトセンター改革のもう1つの大きな収穫は、オペレーターの負荷軽減とスキル向上である。シフトの最適化により、時間帯ごとの入電状況を予測できるようになり、FAQサイトの拡充により問い合わせにも的確に対応できるようになった。余裕のある時間帯には、さらなるスキル向上のため積極的に研修を行っているという。

 「コンタクトセンターは、お客さまのニーズとウォンツを直接伺える場所です。いただいた“声”を起点にして、仮説、分析、立案、実行、検証のサイクルを回し続けることで、顧客満足度と品質の向上、さらにはお客さまの隠されたニーズに応えられる新商品の開発もしていきたいですね。コンタクトセンターは、商品/サービス改革の最前線であると自負しています」(岩前氏)

日本オラクル株式会社 Oracle Digital 0120-155-096

※本記事は、nikkei BPnet特番サイト「Digital Transformation」に掲載された記事です。


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