Oracle Cloud Computing

2016年に向けて押さえておきたい
クラウドに関する11の重要な予測

By Chris Murphy

 

2016年もクラウド・コンピューティングのブームが続くことはノストラダムスでなくとも予言可能です。しかし、どのような力がクラウドの成長を促進するのか、競争地図がどのように変化するのか、クラウドのセキュリティへの評価がどのように向上するのかといった問題を考えるとき、予測はがぜん面白さを増します。以下は、行く手に控える戦略的選択肢と競合他社との戦いについての11の予測です。

本番アプリケーションの80%がクラウドに移行する

Mark Hurd

クラウドは、今いる場所から目指す場所へ一気に到達できる唯一の手段です

—オラクル CEO マーク・ハード

CEOのマーク・ハードは、これを2025年までに実現する5つのクラウド予測の1つとしてあげています。彼の予測は、純粋な技術的要因ではなく、経済的要因に基づくものです。

企業の経営陣はテクノロジーを用いてイノベーションを進めなければならないという強い圧力を感じると同時に、強いコスト削減圧力にもさらされています。それというのも、大企業でさえ収益はほぼ横ばい状態であるためです。現在、クラウドで稼動している本番アプリケーションは全体の25%にすぎないが、CEOやCIOはイノベーションの迅速化とコスト削減という2つの相反する要求に応える手段を他に見いだせないため、採用のペースが加速するだろうとハードは述べています。

クラウドは「今いる場所から目指す場所へ、魅力的な[総保有コスト]で一気に到達できる唯一の手段です。この手段はセキュアでありながら、高度なイノベーションを実現します」とハードは語ります。

セキュリティはクラウドの採用を阻む壁からクラウドの主要なメリットの1つに変わる

Mark Sunday

「セキュリティはクラウドへの移行を促進する最大の要因の1つとなるでしょう」

—オラクル CIO マーク・サンデー

「現在、組織がクラウドに移行しない一番の理由にあげられているのはセキュリティです。しかし、セキュリティは今後、クラウドへの移行を促進する最大の要因の1つとなるでしょう」オラクルCIOのマーク・サンデーはこう語ります。

Harvard Business Review Analytic Servicesによる調査(オラクル後援)では、回答者の62%が、社内のクラウド採用を拡大する上での最大の障害は間違いなくセキュリティの問題であると考えていることが判明しました。回答者の半数近くが、クラウドではデータのセキュリティ確保が困難になると答えています。

しかし、他でもないこの問題が組織のクラウド移行を後押しするようになるまでそれほど時間はかからないでしょう。セキュリティの分野で確かな実績をもつ、定評あるクラウド・ベンダーは、何層もの防御策を講じることのできる専門知識やリソースを有しています。こうした防御策は、多くの企業にとって社内で再現するなど望むべくもないものです。

「これが、多くのCIOを定評あるクラウド・サービス・ベンダーへと向かわせている1つの要因です。こうしたベンダーは、最先端の物理的セキュリティと論理的セキュリティの両面に投資できるリソースを有しています」(同調査より)。物理的セキュリティへの投資には、生体スキャナー、セキュリティ・ゾーン、ビデオ監視などがあります。論理セキュリティとしては、権限付与によるユーザー・アクセス制御、デフォルトでの暗号化、定期的なパッチ適用とメンテナンスのスケジューリングなどがあげられます。

「階層化されたセキュリティ制御による包括的な統合型の防御策を有するオラクルのようなクラウド・ベンダーは、セキュリティを企業のクラウド導入を阻害する要因から可能にする要因へと変えることのできる存在です」とサンデーは述べています。

デジタル・ディスラプションにより、企業はERPをはじめとする前時代のITシステムを入れ替えざるを得なくなる

ビジネス・リーダーやITリーダーはクラウド・システムを受け入れつつありますが、多くの人々がまだERPを見て「あれに手をつけるのは最後にしよう」と考えています。

デジタル・ビジネス・モデルが俊敏性に優れた最新のITシステムを要求するにつれて、そのような考え方も2016年には変わり始めるでしょう。過去のERPプロジェクトはIT部門の報われない業務であり、たとえ最終的に効果が上がったとしても、複雑でリスクがあり、時間がかかるものと見なされていました。だからこそCIOは20年前の財務アプリケーションやサプライチェーン・アプリケーション、その他の基幹アプリケーションにしがみついているのです。

今後1年間に2つの力が考え方の変化を引き起こすでしょう。1つは、大規模なITプロジェクトに乗り出す際の内部リスクの低下です。クラウドITの導入は従来のオンプレミス・ソフトウェアのプロジェクトほど時間がかからず、リスクも高くないため、基幹的なITプロジェクトでさえ何年も要することなく数か月で終了します。さらに重要なのは、デジタル時代の変化するビジネス・モデルに適応しなければならないと企業が気づいたことです。企業のプロセスやパフォーマンス・メトリック、チャネル、データのすべてが急速な進化を遂げており、ビジネス・リーダーたちは、顧客の要求に追いつけないERPその他のシステムを容認しません。

AccentureのTechnology Vision 2015調査の参加者の81%は、「プラットフォームが、相互に結びついたエコシステムへと業界を再編する」につれ、業界の境界線は急激にあいまいになるだろうと考えています。また、PwCの2015 Digital IQレポートで調査対象となったCEOの大多数(86%)は、デジタル・テクノロジーの利用を擁護することがきわめて重要であると答えています。企業が今年、業界が激変を遂げようとしているこの時期に優位に立つためには基幹アプリケーションのモダナイズが必要であるとの結論に達するよう期待してください。

クラウドのアプリケーション、プラットフォーム、インフラに組み込まれた自動化機能のおかげで、IT部門はサポートからイノベーションへシフトする

 

Oracle Cloud Platform担当シニア・バイス・プレジデント スティーブ・ダハブが、クラウドのさまざまな層を結びつけることでどのようにビジネスに真の価値がもたらされるかを説明します。

クラウドのリソースを利用すれば、社内のITスタッフの手でデータベースのパッチ適用やバックアップ、データ暗号化と障害時リカバリの設定などをおこなう必要はありません。そうした業務を支えるハードウェア・システムの購入、インストール、構成や、大規模なデータセンターの管理、冷却、電力供給も不要です。

「Oracle Database Cloud Serviceでは、たとえばプロビジョニングとインストールのための業務の多くが完全に自動化されています」とOracle Cloud Platform担当シニア・バイス・プレジデント スティーブ・ダハブは語ります。「お客様は、もっとも重要性の高い業務、つまりビジネスへの影響がもっとも大きい業務に時間とリソースを集中させるべきだと我々は考えます。情報を集めるのではなく、利用するのです。Oracle Databaseの構築と管理にかけてはオラクルの右に出るものはいません。そのような業務はオラクルにお任せください」

自動化によってIT部門の手が空き、顧客の購買活動や従業員の業務処理を直接改善する創造的な新しいツールの開発に時間とリソースを集中させることが可能になります。ツールの目的が、モバイル・アプリケーションの開発なのか、業務改善のためのデータの利用なのか、カスタマー・エンゲージメント改善のための業務部門との連携なのかは関係ありません。

明確な投資対効果により、開発とテストは100%クラウドに移行する

2016年にCIOが採用することのできる有力な「クイックウィン」シナリオの1つは、開発とテストをクラウドに移行することです。ハードの予測によると、開発とテストは2025年までに完全にクラウドでおこなわれるようになります。

ITチームがオンプレミスのソフトウェアとハードウェアを使用して開発やテストをおこなう場合、開発環境を作るのに必要なサーバーからデータベースまですべてを購入してライセンスを取得し、構成しなければなりません。開発環境は、将来アプリケーションを本稼動させるときの環境と一致しているのが望ましいのです。ハードは、開発とテストに費やされたリソースの約80%は無駄になり、作業がペースダウンすると予測しました。

ITチームはクラウド環境で開発とテストをおこない、主に法規制上の理由でアプリケーションをオンプレミスに戻して本稼動に入りたいと考えることがよくあります。企業には、アプリケーションの本稼動を始める準備ができた時点で、パブリック・クラウドでスケールアップするのか、オンプレミスで実行するのかを選べるクラウド開発プラットフォームを選択することを期待してください。

アプリケーション、プラットフォーム、インフラのプロバイダー市場はクラウドによって再編される

クラウドは・テクノロジー・プロバイダーの格付けを揺るがしています。たとえば、オラクルがクラウド市場で相対する競合相手はほぼ新しい顔ぶればかりで、長年競合してきたSAPやIBMはそこにはいない、とオラクルの取締役会経営執行役会長 兼 CTOであるラリー・エリソンは言います。「このことは、我々の世界がいかに変化したかを物語っています」エリソンはこう語り、アプリケーション、プラットフォーム、インフラというクラウドの3層すべてでオラクルのように競争しているのはMicrosoftのみであると述べています。

競合するクラウド・プロバイダー各社はどのように淘汰されるのでしょうか。エリソンは、具体的な時期は示さなかったものの、その3つのクラウド・セグメントでオラクルが占める地位について予測しました。「我々はアプリケーションとプラットフォームの分野でNo.1になり、勝利を収めます。また、インフラ部門では確実にトップ3までに入るものと考えています」エリソンは財務アナリストたちにこう語っています。

CIOが基幹ビジネス機能をクラウドへ移行するのに伴い、顧客の期待と企業の経営モデルがクラウド・コンピューティング市場の急激な成長にさらに拍車をかける

Shawn Price

「こうした企業構想をより効果的に支えるため、CIOは基幹機能をクラウドに移行するでしょう」

—Oracle Cloud担当シニア・バイス・プレジデント ショーン・プライス

顧客の期待の高まりとビジネスの需要の変化を受けて、ほぼすべての業界がデジタル・ビジネス・モデルに移行しつつあります。この3年の間に流通方式の急激な変化を経験したテレビゲーム業界を考えてみてください。消費者がゲームを小売店で購入することにこだわらなくなった結果、現在ではテレビゲーム全体の4分の3近くがデジタルで販売されています。この種の大きな変化が起こると、こうした課題に対処できるよう開発された最新のテクノロジーが必要になります。残念ながら、ほとんどの企業が今日運用しているアプリケーションは20年以上前のもので、現在の顧客の期待に応えることも、デジタル・ビジネスの要件に応じて拡張することもできません。

「既存の業務システムのほとんどが、迅速な無機的成長、合併後の効率的な統合、非伝統的市場への拡大、イノベーション・サイクルの短縮、ビジネスの完全なデジタル転換といった今日のビジネス要件に対応できるよう設計されていないことは明らかです。こうした企業構想をより効果的に支えるため、CIOは基幹機能をクラウドに移行するでしょう」Oracle Cloud担当シニア・バイス・プレジデント ショーン・プライスはこう語ります。

パブリック・クラウドとオンプレミス・システムを隔てる壁のない、真のハイブリッド・クラウドを企業が期待するようになり、クラウドベースの統合がCIOの最優先事項となる

クラウドにおけるデータ・サイロもやはりデータ・サイロです。企業は2016年、この問題に取り組むために、クラウドとオンプレミス・システムの間のデータ共有をテーマに掲げ、ますます強力かつシンプルになるクラウドベースの統合ツールを利用してそれを実現するでしょう。

クラウドのアプリケーション、プラットフォーム、インフラのメリットは、企業が数週間から数か月で導入できる点にあります。一方、データ・サイロ化を加速するだけで終わることが多いというデメリットもあります。クラウドベースの統合は、カスタムコードによる統合に伴う複雑さの大部分を確実に解消します。

統合ツールがシンプルになれば、技術者ではなくデータ処理担当者が多くの統合を実行できるので、どのような情報がもっとも必要とされているかを知る人々がシステム間にデータ・リンクを構築できるようになります。そうしたツールを使用することで、ITスタッフは手が空いてもっとも重要な、あるいは高度な統合に専念でき、統合プロセスを管理するアーキテクトの役割を果たせるようになります。クラウド・システムとオンプレミス・システムは10年以上にわたって共存すると考えられるため、統合アーキテクチャに関するノウハウの需要が高まります。

クラウド・システムは自作のビッグデータに代わる選択肢となる

アーリー・アドプターは独自のビッグデータ・クラスタや環境を構築するしかありませんでした。しかし、HadoopやSpark、その他の新たなテクノロジーをベースに構築された独自のシステムの組立て、管理、保守はコストと時間のかかる作業です。また必要な人材は簡単に見つかりません。

2016年には、クラウド・サービスやアプライアンスがビッグデータ関連の取組みの主流となるまでに成熟するでしょう。その結果、社内のビッグデータ担当者に余裕が生まれ、その分析能力を利用する最善の方法を考えられるようになります。

クラウド・インフラの選択肢をもたないインフラ・ベンダーは苦境に陥る

Dave Donatelli

「大規模なハードウェア企業が長期的な成功を収めようと計画する場合、パブリック・クラウドを成功させることが必須です」

— コンバージド・インフラ担当オラクル・エグゼクティブ・バイス・プレジデント デイブ・ドナテーリ

クラウドは、企業がコンピューティング・リソースやストレージ・リソースを購入、消費、使用する方法を根本的に変えました。今やIT部門は、アプリケーションやワークロードの開発、デプロイ、実行をオンプレミスでおこなうのか、クラウドでおこなうのか、あるいはその両方でおこなうのかという明確な選択肢を手にしています。しかし企業は、マイクロ秒以下でのレスポンスが求められるアプリケーションのために、当分の間は既存のオンプレミス環境を手放さないでしょう。インフラ・ベンダーは、こうした変化による破壊の真っただ中にあり、「自社の製品がデータセンターでもパブリック・クラウドでも動作するように設計しなければならない」と語るのは、コンバージド・インフラ担当オラクル・エグゼクティブ・バイス・プレジデント デイブ・ドナテーリです。ハードウェアやクラウド・インフラのプロバイダーには、クラウドとオンプロミスの間でコードの変更なしにワークロードをシフトできるように、完全な互換性の提供を求める圧力がかかるでしょう。「大規模なハードウェア企業が長期的な成功を収めようと計画する場合、パブリック・クラウドを成功させることが必須です」Forbesの寄稿者であるJohn Furrierにドナテーリはこう語りました。現時点で、チップからクラウドまでの知的財産権を保有するオラクルは、この互換性を提供する唯一のサプライヤーです。共通のアーキテクチャ、共通の管理、共通のSLAを実現し、オンプレミスとOracle Public Cloudの全体にわたって可視性とサポートを提供しています。

分析ツールの主導により、セルフサービス・アプリケーションの需要が高まる

定期レポートの送信のような作業をIT部門に依頼する時代は間もなく終わります。従業員は独自の分析を実行することで、新しいチャンスや問題にも発生と同時に対処したいと考えています。クラウドベースのセルフサービス・ツールは、コラボレーション、デジタル・マーケティング、調達といった多くの分野でこのような迅速なアクションを可能にしますが、最近ブームになっているビジュアル分析ほどその価値が明白な分野は他にありません。データの量と複雑さが急激に増すなかで、ビジネスの世界ではデータにアクセスしてデータの意味を理解し、対処するためにビジュアル分析が使用されています。ビジュアル分析のベストプラクティスに関するTDWIの調査の回答者の46%が、分析の際はIT部門に頼っている、もしくは非常に頼っていると答えていますが、2年後も同じようにIT部門に頼っているだろうと考える回答者はわずか37%でした。

将来を見据えたITチームは2016年、このクラウドベースのセルフサービスによる自主性を奨励するでしょう。パーソナライズされたデータ視覚化、容易なデータ・マッシュアップ、自由なデータ・アクセスによって、経営陣は必要なスピードでインサイトを入手できるようになり、IT部門はレポートの作成ではなく、より革新的な業務に専念できるようになります。


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